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自販機戦争
しおりを挟む最近の自販機には沢山の種類が並んでいる。
天然水やお茶などの有名所から、
ちょっとよく分からない名前の飲み物まで。
本当に沢山の種類がある。
色々な味が楽しめて、美味しいものが多いから
いい事なのだが。
ちょっと困ったこともある。
「あー、疲れた……」
大きく背伸びをする辻の隣で
「あの先生、話長いよね。」
先程まで受けていた授業の担当の愚痴をこぼす八神。
二人は中庭に設置されている自販機へと向かっている途中だった。
「ほんと、いらねぇ話をベラベラと…聞いてるこっちの身になれって。」
八神の愚痴に乗っかる辻の横顔は
うっすらと赤くなっていた。
「辻くん、寝てたじゃん。」
「あ?」
なんてどうでもいい話をしていたら目的の場所に到着。
八神は財布から小銭を取り出し自販機へ。
光るボタンをひとつ押すと
ガタンっと荒々しく落ちてきた。
「お前、またそれかよ。」
飽きねぇなっと一部始終を見ていた辻が五百玉を入れながら笑った。
自販機にあるボタンが全て光る。
それを少し後ろに下がって辻が見渡した。
「……どれにすっかな」
「決めてから入れた方がいいのに」
八神は自販機を睨めつける辻の背中を見て呟いた。
八神の勘はよく当たる。
当たって欲しくない時ほど、
ポチッ
ひとつボタンが押された。
荒々しく落ちてくるものを確認すること無く辻が走り出す。
「やーまーだぁぁああ!!!」
ボタンを押した本人は既に背中を向けて全力疾走。
二人の姿は校舎の奥に消えた。
ため息をつきながら落ちてきたペットボトルを取り出す。
「だから言ったのに。」
八神は独り言を呟き
お釣りをポケットに仕舞い。教室へと戻った。
息切れした辻が、何故か満足気の山田を捕まえて
教室へ帰ってきたのは
昼休みが終わる十分前だった。
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