36 / 76
1.幼少期
36.ある夏の日の余暇。
しおりを挟む
このままいけば、ジル様はアリアと結ばれる事になるのよね。まぁ、アリス次第だが。全力で応援させて頂く所存です!
そして、今私達はフランソワーズ家の別邸にて余暇を過ごしています。夏真っ盛り!私達は避暑地である別邸に休んでいます!きっと、束の間の平穏なのだろうけど、でも今はいっぱい楽しみましょ!!楽しめる時に、楽しまなくては!そして、私はリュート様ともっと深い仲になるのよ!!
きっと、リュート様だけではお休みにならないだろうから、レイスも一緒に連れています。とは言っても、昼間は別邸の庭園の花を手入れしているのだけど。熱中症には気を付けてほしいわ!この世界には熱中症という言葉は存在しない。だから、私が注意してあげなくては。
でも、絶好の行楽日和だわ!・・・辺りもプライベートスペースで、フランソワーズ家に仕える人間しかいない。しかし、リュート様がレオン様な事は秘密。
けれども、リュート様は仕事人間であった。私に何かないかすぐに確認するのだもの。でも、これってチャンスよね!・・・と思っていた数時間前の私は今はいない。
ここまで、リュート様が仕事人間だなんて思ってもみなかったわよ!抱き着こうとしても、何気に躱されるし、愛の告白をしても、笑顔(仕事顔)でスルーされる。積極的に接点を持とうとするが、リュート様はそれを全部躱してしまうのだ。うぬん・・・。
だけど、私は諦めません。この想いを伝えるのにはどうしたらいいのかしらね?
・・・朝に別邸にやってきたのに、早くも夜になってしまったわ。その間、収穫なし!私とした事が、リュート様を置いてけぼりにして、途中レイスとお茶していたわ。・・・だって、こちらも気掛かりだったものね。
レイスは何気なく呟く。
「フローディアは本当にリュートの事が好きだね」
「えぇ!そりゃあ、勿論!!」
私はレイスの肩を揺さぶる。レイスがちょっと痛そうな顔をする。ちょっと、力を入れすぎたかしら?
「・・・でも、リュートは身分の差を深く気にしている」
「・・・例え、身分に差があっても・・・私は気にしないのに」
「しかし、リュートは気にしてる。それが、一番の障害だね」
・・・身分か。リュート様は本来ならば王族のお方。こちらが気にしなくてはいけないのに、今は逆の立場。今は・・・色んな問題が山積みで、それを全部かたをつけなきゃ、私達は幸せにはなれない。今は・・・リュート様と結ばれてはいけないって、分かってる。分かっているけれど、この想いは日を増す毎に大きくなっていくの。
結局、それが逃げなのは解っているのよ。でも、言葉にしなきゃ、私の想いは・・・
私はレイスとは一旦離れて、お風呂に入り、気分がさっぱりしたところで、自室の窓辺に近寄る。外はすっかり月が空高く世界を照らしている。私はふと、とある曲を口ずさむ。
♪~~ ♪~~
これは、前世の私が、好きだった曲。メロディーが好きで、でもこの曲は”嫌われ者の悪役の歌”。この恋は叶わないのだと、嘆く歌。今の私にはピッタリな歌ね。悪役だもの。半端な優しさは毒にも薬にもならない。だから、リュート様は私を心の奥には入れてはくれない。
幸せを願うなら、傷つける勇気がいる。
きっと、これから私はリュート様を傷つけるのだわ。・・・真実を明らかにするには、私がしでかした事を告げなければならないだろう。自分が幸せになりたいと思うなら、きっとそれがリュート様を傷つける事になるのだろう。
歌い終わると、気が付けば傍にリュート様がいらっしゃった。
「・・・フローディア様は決して悪役ではございませんよ」
そう、優しい笑みで言う。
「だから、そんな悲しい歌を歌わないでください。こちらまで、悲しい気持ちになってしまいます」
「でも、私は悪役令嬢なのだわ。欲しいものは何としてでも得る為に、どんな情報でも利用するの。それが、私なのだわ」
ふぅ・・・とため息をつくリュート様。これで、話は終わりと言わんばかりに話を強制的に変えられてしまった。リュート様が外を指さす。
「・・・ほら!見てくださいよ!!フローディア様!月が綺麗ですよ!!」
・・・!その言葉は、私にとって甘美なものだわ。でも、この言葉の意味を知らないリュート様にはこの言葉で返す。
「・・・私、死んでもいいわ。だって、今日はとても幸せだから!」
そして、今私達はフランソワーズ家の別邸にて余暇を過ごしています。夏真っ盛り!私達は避暑地である別邸に休んでいます!きっと、束の間の平穏なのだろうけど、でも今はいっぱい楽しみましょ!!楽しめる時に、楽しまなくては!そして、私はリュート様ともっと深い仲になるのよ!!
きっと、リュート様だけではお休みにならないだろうから、レイスも一緒に連れています。とは言っても、昼間は別邸の庭園の花を手入れしているのだけど。熱中症には気を付けてほしいわ!この世界には熱中症という言葉は存在しない。だから、私が注意してあげなくては。
でも、絶好の行楽日和だわ!・・・辺りもプライベートスペースで、フランソワーズ家に仕える人間しかいない。しかし、リュート様がレオン様な事は秘密。
けれども、リュート様は仕事人間であった。私に何かないかすぐに確認するのだもの。でも、これってチャンスよね!・・・と思っていた数時間前の私は今はいない。
ここまで、リュート様が仕事人間だなんて思ってもみなかったわよ!抱き着こうとしても、何気に躱されるし、愛の告白をしても、笑顔(仕事顔)でスルーされる。積極的に接点を持とうとするが、リュート様はそれを全部躱してしまうのだ。うぬん・・・。
だけど、私は諦めません。この想いを伝えるのにはどうしたらいいのかしらね?
・・・朝に別邸にやってきたのに、早くも夜になってしまったわ。その間、収穫なし!私とした事が、リュート様を置いてけぼりにして、途中レイスとお茶していたわ。・・・だって、こちらも気掛かりだったものね。
レイスは何気なく呟く。
「フローディアは本当にリュートの事が好きだね」
「えぇ!そりゃあ、勿論!!」
私はレイスの肩を揺さぶる。レイスがちょっと痛そうな顔をする。ちょっと、力を入れすぎたかしら?
「・・・でも、リュートは身分の差を深く気にしている」
「・・・例え、身分に差があっても・・・私は気にしないのに」
「しかし、リュートは気にしてる。それが、一番の障害だね」
・・・身分か。リュート様は本来ならば王族のお方。こちらが気にしなくてはいけないのに、今は逆の立場。今は・・・色んな問題が山積みで、それを全部かたをつけなきゃ、私達は幸せにはなれない。今は・・・リュート様と結ばれてはいけないって、分かってる。分かっているけれど、この想いは日を増す毎に大きくなっていくの。
結局、それが逃げなのは解っているのよ。でも、言葉にしなきゃ、私の想いは・・・
私はレイスとは一旦離れて、お風呂に入り、気分がさっぱりしたところで、自室の窓辺に近寄る。外はすっかり月が空高く世界を照らしている。私はふと、とある曲を口ずさむ。
♪~~ ♪~~
これは、前世の私が、好きだった曲。メロディーが好きで、でもこの曲は”嫌われ者の悪役の歌”。この恋は叶わないのだと、嘆く歌。今の私にはピッタリな歌ね。悪役だもの。半端な優しさは毒にも薬にもならない。だから、リュート様は私を心の奥には入れてはくれない。
幸せを願うなら、傷つける勇気がいる。
きっと、これから私はリュート様を傷つけるのだわ。・・・真実を明らかにするには、私がしでかした事を告げなければならないだろう。自分が幸せになりたいと思うなら、きっとそれがリュート様を傷つける事になるのだろう。
歌い終わると、気が付けば傍にリュート様がいらっしゃった。
「・・・フローディア様は決して悪役ではございませんよ」
そう、優しい笑みで言う。
「だから、そんな悲しい歌を歌わないでください。こちらまで、悲しい気持ちになってしまいます」
「でも、私は悪役令嬢なのだわ。欲しいものは何としてでも得る為に、どんな情報でも利用するの。それが、私なのだわ」
ふぅ・・・とため息をつくリュート様。これで、話は終わりと言わんばかりに話を強制的に変えられてしまった。リュート様が外を指さす。
「・・・ほら!見てくださいよ!!フローディア様!月が綺麗ですよ!!」
・・・!その言葉は、私にとって甘美なものだわ。でも、この言葉の意味を知らないリュート様にはこの言葉で返す。
「・・・私、死んでもいいわ。だって、今日はとても幸せだから!」
8
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
Wヒロインの乙女ゲームの元ライバルキャラに転生したけれど、ヤンデレにタゲられました。
舘野寧依
恋愛
ヤンデレさんにストーカーされていた女子高生の月穂はある日トラックにひかれてしまう。
そんな前世の記憶を思い出したのは、十七歳、女神選定試験が開始されるまさにその時だった。
そこでは月穂は大貴族のお嬢様、クリスティアナ・ド・セレスティアと呼ばれていた。
それは月穂がよくプレイしていた乙女ゲーのライバルキャラ(デフォルト)の名だった。
なぜか魔術師様との親密度と愛情度がグラフで視界に現れるし、どうやらここは『女神育成~魔術師様とご一緒に~』の世界らしい。
まあそれはいいとして、最悪なことにあのヤンデレさんが一緒に転生していて告白されました。
そしてまた、新たに別のヤンデレさんが誕生して見事にタゲられてしまい……。
そんな過剰な愛はいらないので、お願いですから普通に恋愛させてください。
【完結】伝説の悪役令嬢らしいので本編には出ないことにしました~執着も溺愛も婚約破棄も全部お断りします!~
イトカワジンカイ
恋愛
「目には目をおおおお!歯には歯をおおおお!」
どごおおおぉっ!!
5歳の時、イリア・トリステンは虐められていた少年をかばい、いじめっ子をぶっ飛ばした結果、少年からとある書物を渡され(以下、悪役令嬢テンプレなので略)
ということで、自分は伝説の悪役令嬢であり、攻略対象の王太子と婚約すると断罪→死刑となることを知ったイリアは、「なら本編にでなやきゃいいじゃん!」的思考で、王家と関わらないことを決意する。
…だが何故か突然王家から婚約の決定通知がきてしまい、イリアは侯爵家からとんずらして辺境の魔術師ディボに押しかけて弟子になることにした。
それから12年…チートの魔力を持つイリアはその魔法と、トリステン家に伝わる気功を駆使して診療所を開き、平穏に暮らしていた。そこに王家からの使いが来て「不治の病に倒れた王太子の病気を治せ」との命令が下る。
泣く泣く王都へ戻ることになったイリアと旅に出たのは、幼馴染で兄弟子のカインと、王の使いで来たアイザック、女騎士のミレーヌ、そして以前イリアを助けてくれた騎士のリオ…
旅の途中では色々なトラブルに見舞われるがイリアはそれを拳で解決していく。一方で何故かリオから熱烈な求愛を受けて困惑するイリアだったが、果たしてリオの思惑とは?
更には何故か第一王子から執着され、なぜか溺愛され、さらには婚約破棄まで!?
ジェットコースター人生のイリアは持ち前のチート魔力と前世での知識を用いてこの苦境から立ち直り、自分を断罪した人間に逆襲できるのか?
困難を力でねじ伏せるパワフル悪役令嬢の物語!
※地学の知識を織り交ぜますが若干正確ではなかったりもしますが多めに見てください…
※ゆるゆる設定ですがファンタジーということでご了承ください…
※小説家になろう様でも掲載しております
※イラストは湶リク様に描いていただきました
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
クラヴィスの華〜BADエンドが確定している乙女ゲー世界のモブに転生した私が攻略対象から溺愛されているワケ〜
アルト
恋愛
たった一つのトゥルーエンドを除き、どの攻略ルートであってもBADエンドが確定している乙女ゲーム「クラヴィスの華」。
そのゲームの本編にて、攻略対象である王子殿下の婚約者であった公爵令嬢に主人公は転生をしてしまう。
とは言っても、王子殿下の婚約者とはいえ、「クラヴィスの華」では冒頭付近に婚約を破棄され、グラフィックは勿論、声すら割り当てられておらず、名前だけ登場するというモブの中のモブとも言えるご令嬢。
主人公は、己の不幸フラグを叩き折りつつ、BADエンドしかない未来を変えるべく頑張っていたのだが、何故か次第に雲行きが怪しくなって行き────?
「────婚約破棄? 何故俺がお前との婚約を破棄しなきゃいけないんだ? ああ、そうだ。この肩書きも煩わしいな。いっそもう式をあげてしまおうか。ああ、心配はいらない。必要な事は俺が全て────」
「…………(わ、私はどこで間違っちゃったんだろうか)」
これは、どうにかして己の悲惨な末路を変えたい主人公による生存戦略転生記である。
地味令嬢と地味令息の変身
蓮
恋愛
ルテル伯爵令嬢ミラベルは、地味で野暮ったい見た目と内気な性格のせいで周囲から馬鹿にされている。
一方、モンカルム侯爵令息ナゼールも、小太りで地味な見た目と他者とのコミュニケーションが苦手な機械オタクということで周囲から馬鹿にされている。
そんな2人は周囲の悪意により無理矢理出会わされるものの、相性はそんなに悪くなかった。
出会ったきっかけはどうであれ、ミラベルとナゼールは交流を重ねてゆっくりと仲を深めていく。そのうちに、お互いの為に頑張って変わろうと決意する2人。
これはそんな2人がゆっくりとではあるけれど確実に成長し、見た目も中身も変身して周囲を見返して幸せになる物語。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
魔性の悪役令嬢らしいですが、男性が苦手なのでご期待にそえません!
蒼乃ロゼ
恋愛
「リュミネーヴァ様は、いろんな殿方とご経験のある、魔性の女でいらっしゃいますから!」
「「……は?」」
どうやら原作では魔性の女だったらしい、リュミネーヴァ。
しかし彼女の中身は、前世でストーカーに命を絶たれ、乙女ゲーム『光が世界を満たすまで』通称ヒカミタの世界に転生してきた人物。
前世での最期の記憶から、男性が苦手。
初めは男性を目にするだけでも体が震えるありさま。
リュミネーヴァが具体的にどんな悪行をするのか分からず、ただ自分として、在るがままを生きてきた。
当然、物語が原作どおりにいくはずもなく。
おまけに実は、本編前にあたる時期からフラグを折っていて……?
攻略キャラを全力回避していたら、魔性違いで謎のキャラから溺愛モードが始まるお話。
ファンタジー要素も多めです。
※なろう様にも掲載中
※短編【転生先は『乙女ゲーでしょ』~】の元ネタです。どちらを先に読んでもお話は分かりますので、ご安心ください。
完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい
咲桜りおな
恋愛
オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。
見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!
殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。
※糖度甘め。イチャコラしております。
第一章は完結しております。只今第二章を更新中。
本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。
本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。
「小説家になろう」でも公開しています。
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか〜
ひろのひまり
恋愛
生まれ変わったらそこは異世界だった。
沢山の魔力に助けられ生まれてこれた主人公リリィ。彼女がこれから生きる世界は所謂乙女ゲームと呼ばれるファンタジーな世界である。
だが、彼女はそんな情報を知るよしもなく、ただ普通に過ごしているだけだった。が、何故か無関係なはずなのに乙女ゲーム関係者達、攻略対象者、悪役令嬢等を無自覚に誑かせて関わってしまうというお話です。
モブなのに魔法チート。
転生者なのにモブのド素人。
ゲームの始まりまでに時間がかかると思います。
異世界転生書いてみたくて書いてみました。
投稿はゆっくりになると思います。
本当のタイトルは
乙女ゲームに転生したらしい私の人生は全くの無関係な筈なのに何故か無自覚に巻き込まれる運命らしい〜乙女ゲーやった事ないんですが大丈夫でしょうか?〜
文字数オーバーで少しだけ変えています。
なろう様、ツギクル様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる