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18.蠱毒。
しおりを挟む「・・・ヴォルフ!!ここら辺で、魔の気配が強いところは何処か分かります?」
“黒狼”は俺の真剣な口調に、何かあると思ったのか、顔つきが変わる。
「つーか、そもそもこの街はやたら魔の気配が多すぎる。ミノタウロス以外にも元凶がいるんじゃねーか?」
“有明月”さんはハッと気が付いたみたいで、思わず叫ぶ。しかし、俺の近くにいるので、というか、まだこの年齢だと男女で身長にあまり差がない。つまり、何が言いたいかと言うと、耳元近くで叫ばれている。すごいうるさい。
「・・・蠱毒ですね!」
「・・・蠱毒・・・?」
メイディスは分からない様子。そりゃあ、メイディスルートじゃ、まず蠱毒のこの字も出てこない。どっちかって言うと、ハルディーンとの邂逅、そして対決の方に重きを置いているからなぁ。そもそも、魔法騎士隊にいる時点で、おかしい状況である。
そんなメイディスに“黒狼”は蠱毒の説明及び、蠱毒の気配を察知しようとしている。納得するのは早かった。
「蠱毒か。確かにそれなら説明がつく。この街は、今からちょうど4年前から魔物の襲撃事件が起きていたと報告されている。もし、これが蠱毒の影響なら強い魔物が出現が横行しても、説明が付く。・・・魔物は呪いの力でも力を増すからな。」
「蠱毒は呪いと考えていいのですね?」
「簡単に言えば、そう言う事だ。しかも、強い呪いな。」
蠱毒は正直、説明するとめちゃくちゃグロい。だが、敢えて説明する。俺ってSっ気強いのかね?
「蠱毒は最初色んな虫を壺に入れて、互いに共食いさせて放置しておくんですよ!!それで、最後に生き残ったのが最強って事じゃないですか?これで蠱毒の完成です。そいつは強い魔の力を持っていて、それが解き放たれると呪いが発動します。この呪いのポイントは、一定期間で人が死ぬんですよ!!では、この世界では約5年と言ったところですね。」
実際、ゲームでは“黒狼”がミノタウロスを倒した年に壊滅して、魔物の棲む場所になってしまったとあった。これが“黒狼”の最大の後悔。でも、決して今の“黒狼”には後悔させたくない。あんまり、ハルディーンの出番はないんだけどね!
説明をすると一同、顔をしかめる。“黒狼”は文句を口にする。
「いちいち、説明しなくていーっての!!想像したら、気持ち悪いんだから。」
「一定期間で人が死ぬ事はとても重要じゃないですか?要するに、この街は呪われている。だから、街全体に魔の気配が漂っている。ヴォルフ、それに、蠱毒の在処見つかりました?」
「土魔法と闇魔法を併用したら、大体の位置は把握した。どうやら、俺の土魔法は大地を司るものみてーだから。」
うわぁ。流石は“黒狼”。与えられた魔法でも、スゲー能力発揮するなぁ。より最強になっていくよ。“黒狼”に勝てる者は出てくるのだろうか?・・・あっ。だから、ワーウルフの登場か。ハルディーン様しか勝てる奴いないのね。どの役でも悪役ヒーロー。徹底しているなぁ。
“黒狼”が目的地に進んでいく程に魔の気配を強く感じる。“有明月”さんは俺の左腕にしがみつく。流石に、気持ち悪い話したからなぁ。これくらい、甘んじて受けよう。
そうして、辿り着いたのは、小さな祠があった。それ以外、原っぱ以外で目立つものがない。メイディスは気分が悪くなって、“有明月”さんのいない逆の俺の右腕にしがみつく。・・・兄弟じゃなかったら、殴っているからなぁ!
光魔法を保有しているせいかなぁ?魔の気配には、察知しやすいのは闇魔法だが、魔の気配に気圧されやすいのは光魔法を持っている者なんだよな。俺は両方保有しているが。正直、半々。それか、光魔法の方が強い。
閑話休題。
「しかし、ここが一番魔の気配が強いのに、あるのは祠だけか。なら、祠が怪しいが。」
“有明月”さんは震えながらも、声に出す。
「この祠・・・!見た事ある!?確か、魔法騎士隊が持っている指輪を填めれば、元魔法騎士隊の寮があるはず!!」
“黒狼”は魔法騎士隊の持つ指輪を祠に填めると、地下に降りる階段が現れた。
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