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5.悪役ヒーローと。
しおりを挟む「俺達は魔術師を基本的に信用していない。まして、噂では貴様はまだ新人らしいじゃないか。そんなのあてにならない。俺達で原因を追究するから、お前は勝手にやってろ。」
そう、はっきりと言われた。正直、ムカついた。だったら、俺の実力見せてやろうか。まだ、5歳だがやれる事は多いんだ。チートなだけに。早速、”小望月”の命令には背く事にはなるが、俺にだってプライドくらいはあるんだよ。あんなにはっきりと言われたら、やり返さなくては気が済まない。
俺は街の人達に聞き込みをする。変な格好と魔術師という事もあってか、有力な情報は得られない。そこに、見覚えのある人物がいた。・・・ディランさんである。思わず、俺は声をかけてしまった。
「ディランさん!」
「え?」
ディランさんは驚きと共に、何故だかすぐに状況を把握したのだ。俺はそれに、驚く。
「君、もしかしてだけど、ヒロトかい?何で、この街に・・・?」
「・・・はっ!?しまった。うっかり、声かけちゃったよ!!そして、何故に分かったんですか!?」
「ジャーナリストの勘をなめないでくれ。それにしても、その格好は・・・もしかして、ヒロトは魔術師だったのかい?」
俺はもう騙せないと踏んで、状況を説明する。
「はい。俺、魔術師です。今日は初任務です。そして、魔法でこの姿になっています。早く状況を解決させないと、魔法が解けてしまいます。」
「・・・ふーん?なるべく情報が欲しいが、得られていないと言ったところか?本来ならば、ギブアンドテイクなんだけど。ヒロトが魔術師だと言う情報を得たから、ちょっとだけ、情報を教えてあげよう。」
「本当ですか!?助かります!」
本当に助かる!!ディランさんが理解ある人で本当に良かった!!ディランさんは意味ありげに口を開く。
「・・・この状況、どこかで似たような事が起きたように思えないかい?」
「え・・・?」
そう、言われて俺は状況を理解できない。でも、ディランさんは俺が理解しないと、これ以上の情報はくれないだろう。考えろ!思い出せ!
そう考えている内に、一つの可能性に思い当たった。
「・・・もしかして、死の森の混乱、ですか!?あれ、起きたのはもう5年程になりますよ!?俺が分かるとでも?」
「でも、その可能性に到達したという事は君もよく知っているんだろう?あの事件の悲惨さを。」
うぐ・・・。そう言われると、俺の良心が思いっきり抉られる。あれ、起こしたの俺だからな。それは秘密にしておこう。ディランさんはそんな俺の様子を見て、勘違いしてくれたようです。
「・・・あれは、本当に悲惨な事件だったんだよ。とても辛い思いを思い出させたかもしれない。でも、あれは後世に伝えないといけないんだよ。でも、今回その事件とよく似ていないかい?」
あの事件とよく似ている・・・?一体、どういう事?あの事件は・・・。死の森に棲んでいた鳥獣型の魔物を棲み処から追い出した事。そこから、起因する事件。つまり、普通の魔物が追い出される状況にあるという事だ。そいつらを追い出している元凶を倒せば、万事OKじゃない?
「つまり、本来であれば、そこに棲みついているはずが、何らかの影響で追い出される状況になっているという事ですね。」
「君は5歳なのに、そんなに考えが及ぶなんて年齢詐欺じゃないのかい?」
「いえ、俺は本当に5歳です。だってー・・・。」
俺は右手だけ王族紋章継承魔法を解く。ディランさんは驚いた表情を浮かべる。
「それは、王族の紋章・・・!?君はもしかして。」
俺はサッと王族紋章継承魔法で隠す。
「こんなの、手につけている時点で、俺が誰なのか考えられるのはただ一人じゃないですか?」
「・・・ハルディーン第五王子・・・。彼は生きていればメイディス第四王子と同じ5歳になるね。」
ちなみに、サッと左手の紋章も見せる。俺が生きている理由が分からないだろう?
「・・・!?それは、王族紋章継承魔法!?・・・これは、失礼しました。」
またしても、左手の紋章も隠す。
「そんなに、畏まれたら、俺を誘拐した連中?にバレてしまうじゃないですか。下手に彼らを刺激したくないんですよ。それに、これこそギブアンドテイクでしょう?貴重な情報は、俺は提供しましたよ?これで、共犯者関係ですね。」
俺は悪役スマイルを浮かべる。俺は順調に悪役ヒーローに近付いています。
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