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第5章:王立冒険者学校編(1)
第55話:望外
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「かっかっか! グレイはスキル【聖魔法】で作った仮初の姿なんじゃ。教会の者を欺くのにちょうど良い技能でな。ゆっくりと解いていくこともできたんじゃが、つい、お主たちを驚かしてしまった。年寄りの戯れだと思って許してくれ」
そう言って、変装を解いたグラディウスは頭を下げた。
「いつ見ても趣味の悪いジジイだよ」
冷ややかな目を作ってアピアナは言ったけれど、口元は僅かに弧を描いていた。
「色々と込み入った話があるじゃろうが、まずは料理と飲み物が届くのを待つとしよう。話はそれからじゃ」
茶目っけのあるグラディウスの笑顔にセネカたちは何となく和んでしまうのだった。
◆
用意が整うと、堰を切ったようにグラディウスは話し出した。
「料理も揃ったようだし、まずは本題から話そうか。ルキウスのことじゃ。
大事なことから言うが、ルキウスはいまこの国にはいない。隣国のケメネス帝国におる。不甲斐ない事態になって悔悟の念が湧いてくるが、そんなことを言ってもわしの気持ちが埋められるだけじゃから省いておこう。
ただ、とにかく後見人であるわしの力不足であったと思ってくれて構わない」
グラディウスは申し訳なさそうな顔でそう言った。
セネカはやっと手がかりを掴んだと思ったのに、ルキウスが近くにいないと聞いて、とにかく切ない気持ちになった。
「ルキウスがどうしてそんなことになってしまったのかということじゃが、そのためには教会内の情勢を知る必要がある。
いま教会は教皇派と聖女派の派閥闘争の真っ最中なんじゃ。平和な世になると、却ってこういう闘争というのが増えてきてしまうというのは人間の性じゃな。おかげで、わしもルキウスも迷惑しておる。
だったら派閥なんてものがない方が良いかと思うかもしれんが、そうも行かんのじゃよ。教会というのは非常に微妙な組織で、例えば聖女が多くの人を癒すためには聖女派の者たちの働きが欠かせないものになってしまっておる。
その上でお嬢ちゃん達に知っておいて貰いたいんだが、教皇と聖女自身はルキウスの味方なんじゃよ。それなのに周りの者が暗躍していて身動きが取れなくなっておる。辻褄が合わないと思うかもしれんが、教会組織というのはそういうものなのだと思ってくれたらよい」
グラディウスは少しだけ疲れた表情を見せた後で話を続けた。
「煩わしい話はこの辺りにするが、そんな派閥闘争の最中に新たな聖者が見つかりおった。奴らは自分の派閥に取り込もうとルキウスに迫りおってな。その闘争が激化して混沌とした状態になって行ったのじゃよ。
ルキウス自身も聖者として敬われるのに嫌気がさして来ているようじゃったし、運良くわしが後見人になれたもんだから、一緒に巡礼の旅に出ることにしたのじゃ。
旅に出ることが決まった時、あやつが心底嬉しそうな顔をしておったのが忘れられん」
セネカはルキウスの心からの笑顔を思い浮かべて、晴れやかな気持ちになった。
けれど、すぐにその顔が記憶の中でぼやけはじめていることに気がついてしまった。
「ついでに言っておくが、わしは教会の中では中立派じゃ。正確に言えば魔導派とでも言うのかのう。聖に関するスキルに興味があって、旅をしながら学究に勤しみたいのじゃけれど、血筋とスキルのせいで偉い立場に祭り上げられて今のような立場におる」
グラディウスは友人に向けるような親しみのこもった目をアピアナとセーミアに向けた。
「ルキウスが王都の教会を出ることで派閥闘争は一時おさまったのじゃけれど、今度はどの学校に入れるかで揉め始めてしまってな。ルキウス自身も教会に縛られながら生きるのが嫌と言っておったから、ケメネス帝国に亡命させたのじゃ。それ以外にあやつが平穏な日々を過ごせる方法がわしには思いつかんかった⋯⋯」
グラディウスは下を向きながら静かにそう話した。けれど、すぐに顔をあげて、声のトーンもあげた。
「いまはお主らと同じように学校に通っておる。今年わしの孫と入学したのじゃ。
ウマが合うようじゃったから二人で暴れておるに違いない」
「ねぇ、グラディウスさん。ルキウスは強くなってますか?」
セネカは堪えきれなくなってそう聞いた。
「なに? あやつが強くなっておるかって?
あぁ、強くなっておるぞい。
王都にいるうちは教会の騎士団長たちに扱かれておったし、旅に出てから多様な魔物と対峙してさらに腕を磨きおったわ。
幼い時に天才だと囃し立てられても伸び悩んでしまう子供というのは多いが、あやつの才には底が見えんかった。その上、【神聖魔法】が使えるというのは、わしには反則に見えたわい」
セネカはその話を聞いて、久しぶりに心から愉快な気分になった。
「なんじゃ、嬢ちゃんは楽しそうな顔をするもんじゃな。
ルキウスが良く話しておったぞ。『棒振り』という名の世界で一番強い剣士の話をな。
『棒振り』は初めて歯が立たなかった剣士だそうじゃ。
アッタロスからお嬢ちゃんの話を聞いておったが、噂通りのお転婆のようでわしは安心したわい」
グラディウスは蜂蜜酒をちびっと飲んでから三人の少女たちのことを一旦見つめ、また怒涛の勢いで話し始めた。
「正直スペルンカには一人が来れれば良いと思っておった。手がかりは散りばめておったが、三日というのは短いとわし自身も感じていた。だが、蓋を開けてみればどうじゃ。二人ならまだしも、一人増えて三人になっておる。
こういう課題というのは、答えが分かってしまえば出来ない訳がなかったと思うものだけれども、実際に対してみるとなかなか骨が折れる。何処から手をつけて良いか皆目見当がつかんからな。
さっきも話したが、わしはアッタロスからセネカの話を聞いておったのじゃよ。
だからきっとアッタロスの伝手を辿って来るじゃろうと思って、【聖魔法】で姿を装ってグレイとして待ち受けておったんじゃ。
そうして待ち侘びていたら、アッタロスが連れてきたのは別の子じゃった。それが話に聞くマイオルだと分かっても何が起きているのか訳が分からんかった」
グラディウスは人好きのする笑顔を浮かべて言った。
「お主たちは望外の成果を出した。
この『スペルンカ』の課題を出すことはあるのじゃけれど、これだけ鮮やかに、しかも三人同時に解いたという話は聞いたことがない。
わしもここまで明け透けに話すつもりはなかったんじゃ。だけど、お主たちのその才と情熱に敬意を表して、話せることを全て話そうと覚悟を決めた」
アピアナとセーミアはパクパクと食事進めているが、セネカたちはとても食べられず、話を食い入るように聞いている。
「わしはルキウス達に今後のことを委ねた。このまま学校に通って卒業するのも良いし、諦念に身を任せて、わしの手の届かないところに逃げてしまっても良い。
だが、ルキウスは幼馴染達と再会して冒険することを望んでいるようにわしには見えた。会いたい時に人と会って、行きたい時に旅に出る。そんな生活を奴は渇望しておる。
もしそうだとしたら必要なのは結果じゃ。結果で教会の者を黙らせ、民を味方につけるしかない。残酷じゃけれど歴代の聖女・聖者はそうやって我を通して来た。
ルキウスが結果を示し、立場が明確になったらその時は新たな聖者の存在を世界中に公表することになるだろう。そうなるまで、ルキウスは不安定な立場のまま、歩いてゆくことになる。
ここまで来たお主らは、今からでもケメネス帝国に向かってルキウスを助けたいと思うかもしれん。だが、それは逆効果で中途半端じゃ。
本当に必要な時に行動を開始して、電光石火の間に為さねば事は成らぬ。
聖者を取り巻く環境はそれだけ複雑なのじゃ。
そのことを覚えていて欲しい。
セネカよ。キトよ。
来る時のために力を矯めるのじゃ。
ルキウスもまた猛者達がひしめき合う環境でひたすらに己を磨いておる。
時は必ず来る。その時までに今の自分に誇れる自分になりなさい。
そして、マイオルよ。
友人のために前に進むお主の心意気を好ましく思った。
お主が何を成したいのかは知らぬが、その二人といることを選んだのじゃ。生半可な気持ちではおらぬじゃろう。
さっき、わしはお主のスキルに思いがけない性質があると感じた。
もし自分の可能性に迷っているのであれば、このグラディウスが導を授けよう」
三人は噛み締めるようにグラディウスの言葉を聞いた。
そして、グラディウスは三人の顔をもう一度見てから静かに締めくくった。
「⋯⋯若者たちよ、この老耄に会いに来てくれたことを感謝する」
◆
話が終わったことを確認してからセネカは純真な目をグラディウスに向けて、疑問を投げかけた。
「何で私たちにそんなに良くしてくれるの?」
グラディウスは答えようとしたけれど、うまく言葉が出てこないようだった。
「その爺さんは自分のスキルに散々翻弄されたからね。あんた達みたいに運命に抗おうとする子供達の力になりたくて仕方がないのさ」
アピアナが明瞭な口調で言った。
「聖女フィデス様とグラディウスさんは幼い頃からの馴染みなんです。だから、ルキウス君や貴方達を見ていてほっとけなくなったのでしょう」
セーミアにも言われてしまったけれど、グラディウスは黙ったままだ。
「さてと、そろそろご飯を食べることにしよう。せっかくのご馳走が台無しになっちまうからね。細かい話は食べながらにしよう」
アピアナがそう言って食事をそれぞれに配り始めたのでセネカ達も食べ始めた。
◆
それからセネカ達は、グラディウスやアピアナ、セーミアから様々な話を聞いた。
有益な話が沢山あったのでマイオルは大満足の結果であった。
しかし、帰り道ではセネカもキトも深く何かを考えていて、マイオルが話しても生返事ばかりが返って来た。
その日の月は糸のように細くなっていて、微かな輝きを放っていた。
そう言って、変装を解いたグラディウスは頭を下げた。
「いつ見ても趣味の悪いジジイだよ」
冷ややかな目を作ってアピアナは言ったけれど、口元は僅かに弧を描いていた。
「色々と込み入った話があるじゃろうが、まずは料理と飲み物が届くのを待つとしよう。話はそれからじゃ」
茶目っけのあるグラディウスの笑顔にセネカたちは何となく和んでしまうのだった。
◆
用意が整うと、堰を切ったようにグラディウスは話し出した。
「料理も揃ったようだし、まずは本題から話そうか。ルキウスのことじゃ。
大事なことから言うが、ルキウスはいまこの国にはいない。隣国のケメネス帝国におる。不甲斐ない事態になって悔悟の念が湧いてくるが、そんなことを言ってもわしの気持ちが埋められるだけじゃから省いておこう。
ただ、とにかく後見人であるわしの力不足であったと思ってくれて構わない」
グラディウスは申し訳なさそうな顔でそう言った。
セネカはやっと手がかりを掴んだと思ったのに、ルキウスが近くにいないと聞いて、とにかく切ない気持ちになった。
「ルキウスがどうしてそんなことになってしまったのかということじゃが、そのためには教会内の情勢を知る必要がある。
いま教会は教皇派と聖女派の派閥闘争の真っ最中なんじゃ。平和な世になると、却ってこういう闘争というのが増えてきてしまうというのは人間の性じゃな。おかげで、わしもルキウスも迷惑しておる。
だったら派閥なんてものがない方が良いかと思うかもしれんが、そうも行かんのじゃよ。教会というのは非常に微妙な組織で、例えば聖女が多くの人を癒すためには聖女派の者たちの働きが欠かせないものになってしまっておる。
その上でお嬢ちゃん達に知っておいて貰いたいんだが、教皇と聖女自身はルキウスの味方なんじゃよ。それなのに周りの者が暗躍していて身動きが取れなくなっておる。辻褄が合わないと思うかもしれんが、教会組織というのはそういうものなのだと思ってくれたらよい」
グラディウスは少しだけ疲れた表情を見せた後で話を続けた。
「煩わしい話はこの辺りにするが、そんな派閥闘争の最中に新たな聖者が見つかりおった。奴らは自分の派閥に取り込もうとルキウスに迫りおってな。その闘争が激化して混沌とした状態になって行ったのじゃよ。
ルキウス自身も聖者として敬われるのに嫌気がさして来ているようじゃったし、運良くわしが後見人になれたもんだから、一緒に巡礼の旅に出ることにしたのじゃ。
旅に出ることが決まった時、あやつが心底嬉しそうな顔をしておったのが忘れられん」
セネカはルキウスの心からの笑顔を思い浮かべて、晴れやかな気持ちになった。
けれど、すぐにその顔が記憶の中でぼやけはじめていることに気がついてしまった。
「ついでに言っておくが、わしは教会の中では中立派じゃ。正確に言えば魔導派とでも言うのかのう。聖に関するスキルに興味があって、旅をしながら学究に勤しみたいのじゃけれど、血筋とスキルのせいで偉い立場に祭り上げられて今のような立場におる」
グラディウスは友人に向けるような親しみのこもった目をアピアナとセーミアに向けた。
「ルキウスが王都の教会を出ることで派閥闘争は一時おさまったのじゃけれど、今度はどの学校に入れるかで揉め始めてしまってな。ルキウス自身も教会に縛られながら生きるのが嫌と言っておったから、ケメネス帝国に亡命させたのじゃ。それ以外にあやつが平穏な日々を過ごせる方法がわしには思いつかんかった⋯⋯」
グラディウスは下を向きながら静かにそう話した。けれど、すぐに顔をあげて、声のトーンもあげた。
「いまはお主らと同じように学校に通っておる。今年わしの孫と入学したのじゃ。
ウマが合うようじゃったから二人で暴れておるに違いない」
「ねぇ、グラディウスさん。ルキウスは強くなってますか?」
セネカは堪えきれなくなってそう聞いた。
「なに? あやつが強くなっておるかって?
あぁ、強くなっておるぞい。
王都にいるうちは教会の騎士団長たちに扱かれておったし、旅に出てから多様な魔物と対峙してさらに腕を磨きおったわ。
幼い時に天才だと囃し立てられても伸び悩んでしまう子供というのは多いが、あやつの才には底が見えんかった。その上、【神聖魔法】が使えるというのは、わしには反則に見えたわい」
セネカはその話を聞いて、久しぶりに心から愉快な気分になった。
「なんじゃ、嬢ちゃんは楽しそうな顔をするもんじゃな。
ルキウスが良く話しておったぞ。『棒振り』という名の世界で一番強い剣士の話をな。
『棒振り』は初めて歯が立たなかった剣士だそうじゃ。
アッタロスからお嬢ちゃんの話を聞いておったが、噂通りのお転婆のようでわしは安心したわい」
グラディウスは蜂蜜酒をちびっと飲んでから三人の少女たちのことを一旦見つめ、また怒涛の勢いで話し始めた。
「正直スペルンカには一人が来れれば良いと思っておった。手がかりは散りばめておったが、三日というのは短いとわし自身も感じていた。だが、蓋を開けてみればどうじゃ。二人ならまだしも、一人増えて三人になっておる。
こういう課題というのは、答えが分かってしまえば出来ない訳がなかったと思うものだけれども、実際に対してみるとなかなか骨が折れる。何処から手をつけて良いか皆目見当がつかんからな。
さっきも話したが、わしはアッタロスからセネカの話を聞いておったのじゃよ。
だからきっとアッタロスの伝手を辿って来るじゃろうと思って、【聖魔法】で姿を装ってグレイとして待ち受けておったんじゃ。
そうして待ち侘びていたら、アッタロスが連れてきたのは別の子じゃった。それが話に聞くマイオルだと分かっても何が起きているのか訳が分からんかった」
グラディウスは人好きのする笑顔を浮かべて言った。
「お主たちは望外の成果を出した。
この『スペルンカ』の課題を出すことはあるのじゃけれど、これだけ鮮やかに、しかも三人同時に解いたという話は聞いたことがない。
わしもここまで明け透けに話すつもりはなかったんじゃ。だけど、お主たちのその才と情熱に敬意を表して、話せることを全て話そうと覚悟を決めた」
アピアナとセーミアはパクパクと食事進めているが、セネカたちはとても食べられず、話を食い入るように聞いている。
「わしはルキウス達に今後のことを委ねた。このまま学校に通って卒業するのも良いし、諦念に身を任せて、わしの手の届かないところに逃げてしまっても良い。
だが、ルキウスは幼馴染達と再会して冒険することを望んでいるようにわしには見えた。会いたい時に人と会って、行きたい時に旅に出る。そんな生活を奴は渇望しておる。
もしそうだとしたら必要なのは結果じゃ。結果で教会の者を黙らせ、民を味方につけるしかない。残酷じゃけれど歴代の聖女・聖者はそうやって我を通して来た。
ルキウスが結果を示し、立場が明確になったらその時は新たな聖者の存在を世界中に公表することになるだろう。そうなるまで、ルキウスは不安定な立場のまま、歩いてゆくことになる。
ここまで来たお主らは、今からでもケメネス帝国に向かってルキウスを助けたいと思うかもしれん。だが、それは逆効果で中途半端じゃ。
本当に必要な時に行動を開始して、電光石火の間に為さねば事は成らぬ。
聖者を取り巻く環境はそれだけ複雑なのじゃ。
そのことを覚えていて欲しい。
セネカよ。キトよ。
来る時のために力を矯めるのじゃ。
ルキウスもまた猛者達がひしめき合う環境でひたすらに己を磨いておる。
時は必ず来る。その時までに今の自分に誇れる自分になりなさい。
そして、マイオルよ。
友人のために前に進むお主の心意気を好ましく思った。
お主が何を成したいのかは知らぬが、その二人といることを選んだのじゃ。生半可な気持ちではおらぬじゃろう。
さっき、わしはお主のスキルに思いがけない性質があると感じた。
もし自分の可能性に迷っているのであれば、このグラディウスが導を授けよう」
三人は噛み締めるようにグラディウスの言葉を聞いた。
そして、グラディウスは三人の顔をもう一度見てから静かに締めくくった。
「⋯⋯若者たちよ、この老耄に会いに来てくれたことを感謝する」
◆
話が終わったことを確認してからセネカは純真な目をグラディウスに向けて、疑問を投げかけた。
「何で私たちにそんなに良くしてくれるの?」
グラディウスは答えようとしたけれど、うまく言葉が出てこないようだった。
「その爺さんは自分のスキルに散々翻弄されたからね。あんた達みたいに運命に抗おうとする子供達の力になりたくて仕方がないのさ」
アピアナが明瞭な口調で言った。
「聖女フィデス様とグラディウスさんは幼い頃からの馴染みなんです。だから、ルキウス君や貴方達を見ていてほっとけなくなったのでしょう」
セーミアにも言われてしまったけれど、グラディウスは黙ったままだ。
「さてと、そろそろご飯を食べることにしよう。せっかくのご馳走が台無しになっちまうからね。細かい話は食べながらにしよう」
アピアナがそう言って食事をそれぞれに配り始めたのでセネカ達も食べ始めた。
◆
それからセネカ達は、グラディウスやアピアナ、セーミアから様々な話を聞いた。
有益な話が沢山あったのでマイオルは大満足の結果であった。
しかし、帰り道ではセネカもキトも深く何かを考えていて、マイオルが話しても生返事ばかりが返って来た。
その日の月は糸のように細くなっていて、微かな輝きを放っていた。
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