45 / 213
第5章:王立冒険者学校編(1)
第45話:魔法の天才
しおりを挟む
二週間後、セネカたち四人はキトと一緒に王都の森に入った。
ガイアとプラウティアは初対面だったので互いに自己紹介をした。
キトはセネカとマイオルの冒険者としての動きを目の当たりにして改めて見直したり、ガイアとプラウティアの博識さに感嘆したりした。
特にプラウティアは植物素材に関して実践的な深い知識を備えていたので、キトはしっかりと記憶して、帰ってから紙にまとめることにした。
キトの濃縮ポーションは不味すぎたので不評だったが、プラウティアが苦味を和らげる花の蜜を教えてくれたので、味についても改良をする予定である。
キトは実地を学び、製薬は素材採集方法の制限を受けるということを改めて実感したので、定期的に護衛をお願いして勉強することにした。
◆
ガイアは授業が終わると毎日のように魔法練習場に通っている。この施設の高威力魔法練習室はたいてい空いているので、【砲撃魔法】を使ってから他の鍛錬に入る。
最近はセネカが魔法理論の勉強に力を注いでいて、ガイアはセネカとよく議論をする。魔法理論を理解するためには物理学や数理の知識が欠かせないため、セネカはその辺りのことについても猛烈に勉強していて、成績が非常に良くなってきた。
セネカは魔法を使えるようになるために魔法理論を勉強しているようだが、苦戦している。魔法理論というのは魔法スキルを持つ人が向上するための理論であって、新たに魔法を使えるようになるための理論でないのだから当然だ。
マイオルは「セネカのことを良く知る良い機会だから付き合った方が良いわよ」とガイアに言った。セネカの質問は鋭くて勉強になるのでガイアもいやではなかったが、マイオルの発言の意味がいまだによくわからない。
ガイアはセネカと話を重ねるうちに、魔法理論を使ってどうにか【砲撃魔法】を成長させられないか考え始めた。
最近では寝ても覚めてもそのことばかりに頭が行く。
ガイアの分析では、【砲撃魔法】を使うにあたって、工程が大きく五つあると考えている。
それは準備、魔力循環、魔力変換、魔力圧縮、発射だ。このうち、魔力圧縮と発射のところで異常に魔力を使ってしまうために、【砲撃魔法】は一日一回しか撃てない。
最初の三つの部分で止めるか、魔力圧縮の部分を調整できれば試行回数が増えて、熟練度を稼げるのではないかとガイアは考えているのだが、どうやってそれを実現したら良いのかが分からない。
ある日、うんうん唸りながら紙で計算をしていると、部屋に遊びに来たマイオルが言った。
「ねぇ、ガイア、それって前に言っていた【砲撃魔法】の件よね? ガイアさえ良ければSクラスの天才に相談してみるっていうのはどう? 答えは出なくても益はあると思うわよ」
マイオルは困ったら相応しい天才に相談し、それ以外のことは自分でなんとかするという方法を王都に来てから覚えた。ちなみにその天才の中にはセネカやキト、ガイア、プラウティアも入っている。
ガイアは是非にとお願いしたので、次の日には『魔法の天才』と話すことになった。
◆
授業後、ガイアが特別演習室に入ると、なぜかSクラスの大半の人がそこにいた。
「あー、ガイア! 来たのね。こっちこっち」
そう言ってマイオルが手を招いたので、ガイアはみんなに注目された。
「ガイア、紹介するわ! ストロー・アエディスよ!」
「よろしく、ガイアさん。あなたのことはよく知っているよ。俺やプルケルを抑えての学科一位だ! セネカさんやマイオルさんからも良く話を聞くしね。俺のことは気軽にストローと呼んで欲しい」
「ガイアです。よろしくお願いします」
ストロー・アエディス。プルケル・クルリスと並んで王都の冒険者ギルドでは有望株として有名だ。同学年の出世頭でもある。
周囲にあまり関心のないガイアでさえも、ストローが緻密な地魔法の使い手だと知っている。
「あなたが魔法の天才なのね」
ガイアは小さい声で呟いたがストローには聞こえていた。
「天才? なんのこと?」
「マイオルがあなたのことを魔法の天才だって言っていたのよ」
「いやぁ、俺なんかが⋯⋯」
自信なさげなストローを見てマイオルが言った。
「あなたが天才じゃなかったら誰が天才なのよ!」
それを聞いたストローの顔はみるみる赤くなった。
ガイアは心の中で『なるほどね』と言った。
「お、俺は模擬戦でもマイオルちゃんに負け越してるし⋯⋯」
「それは近距離戦だからでしょ。あなたが本気で魔法を使ったらあたしは土石流に潰されるわ」
その後もストローは何かモゴモゴ言っていたが、ガイアには聞き取れなかった。
マイオル以外はストローの気持ちを分かっているので、なんとも言えない空気が部屋に漂っている。
ちなみに、マイオルは「大人になったらお父さんのお嫁さんになる」と公言する幼年期を過ごしており、恋愛に対する免疫がない。
◆
収拾がつかないように思ったが、察したセネカがうまく話を進めてくれたため、ガイアはやっと魔法の相談が出来ることとなった。
隠すことでもなかったのでガイアは包み隠さず話をした。
「なるほどね。話は良く分かったよ。聞く限りでは魔力の操作性を高める訓練をすることが肝要に思えるけれど、どういう魔法なのかがいまいち分からないな。もしよかったらガイアさんの魔法を見せてはくれないだろうか?」
ストローは自信満々にそう言った。
「もちろん構わないけれど、ここにいる全員っていうのはちょっと⋯⋯」
「あぁ、ありがとう。もちろんそうだよね。関係の薄い人間に魔法を見せるのは本意ではないだろう」
「そうね。魔法スキルを持っていない人はここまでということにしてもらおうかしら。魔法が使える人にはむしろ見てもらって感想を聞くのが良いと思うけれど」
ガイアは見知らぬ人が多いのに戸惑って言っただけだったが、マイオルがうまくまとめたので、誤解を解くことはしなかった。そのため、該当しない者は散り散りになって行った。
ガイアとプラウティアは初対面だったので互いに自己紹介をした。
キトはセネカとマイオルの冒険者としての動きを目の当たりにして改めて見直したり、ガイアとプラウティアの博識さに感嘆したりした。
特にプラウティアは植物素材に関して実践的な深い知識を備えていたので、キトはしっかりと記憶して、帰ってから紙にまとめることにした。
キトの濃縮ポーションは不味すぎたので不評だったが、プラウティアが苦味を和らげる花の蜜を教えてくれたので、味についても改良をする予定である。
キトは実地を学び、製薬は素材採集方法の制限を受けるということを改めて実感したので、定期的に護衛をお願いして勉強することにした。
◆
ガイアは授業が終わると毎日のように魔法練習場に通っている。この施設の高威力魔法練習室はたいてい空いているので、【砲撃魔法】を使ってから他の鍛錬に入る。
最近はセネカが魔法理論の勉強に力を注いでいて、ガイアはセネカとよく議論をする。魔法理論を理解するためには物理学や数理の知識が欠かせないため、セネカはその辺りのことについても猛烈に勉強していて、成績が非常に良くなってきた。
セネカは魔法を使えるようになるために魔法理論を勉強しているようだが、苦戦している。魔法理論というのは魔法スキルを持つ人が向上するための理論であって、新たに魔法を使えるようになるための理論でないのだから当然だ。
マイオルは「セネカのことを良く知る良い機会だから付き合った方が良いわよ」とガイアに言った。セネカの質問は鋭くて勉強になるのでガイアもいやではなかったが、マイオルの発言の意味がいまだによくわからない。
ガイアはセネカと話を重ねるうちに、魔法理論を使ってどうにか【砲撃魔法】を成長させられないか考え始めた。
最近では寝ても覚めてもそのことばかりに頭が行く。
ガイアの分析では、【砲撃魔法】を使うにあたって、工程が大きく五つあると考えている。
それは準備、魔力循環、魔力変換、魔力圧縮、発射だ。このうち、魔力圧縮と発射のところで異常に魔力を使ってしまうために、【砲撃魔法】は一日一回しか撃てない。
最初の三つの部分で止めるか、魔力圧縮の部分を調整できれば試行回数が増えて、熟練度を稼げるのではないかとガイアは考えているのだが、どうやってそれを実現したら良いのかが分からない。
ある日、うんうん唸りながら紙で計算をしていると、部屋に遊びに来たマイオルが言った。
「ねぇ、ガイア、それって前に言っていた【砲撃魔法】の件よね? ガイアさえ良ければSクラスの天才に相談してみるっていうのはどう? 答えは出なくても益はあると思うわよ」
マイオルは困ったら相応しい天才に相談し、それ以外のことは自分でなんとかするという方法を王都に来てから覚えた。ちなみにその天才の中にはセネカやキト、ガイア、プラウティアも入っている。
ガイアは是非にとお願いしたので、次の日には『魔法の天才』と話すことになった。
◆
授業後、ガイアが特別演習室に入ると、なぜかSクラスの大半の人がそこにいた。
「あー、ガイア! 来たのね。こっちこっち」
そう言ってマイオルが手を招いたので、ガイアはみんなに注目された。
「ガイア、紹介するわ! ストロー・アエディスよ!」
「よろしく、ガイアさん。あなたのことはよく知っているよ。俺やプルケルを抑えての学科一位だ! セネカさんやマイオルさんからも良く話を聞くしね。俺のことは気軽にストローと呼んで欲しい」
「ガイアです。よろしくお願いします」
ストロー・アエディス。プルケル・クルリスと並んで王都の冒険者ギルドでは有望株として有名だ。同学年の出世頭でもある。
周囲にあまり関心のないガイアでさえも、ストローが緻密な地魔法の使い手だと知っている。
「あなたが魔法の天才なのね」
ガイアは小さい声で呟いたがストローには聞こえていた。
「天才? なんのこと?」
「マイオルがあなたのことを魔法の天才だって言っていたのよ」
「いやぁ、俺なんかが⋯⋯」
自信なさげなストローを見てマイオルが言った。
「あなたが天才じゃなかったら誰が天才なのよ!」
それを聞いたストローの顔はみるみる赤くなった。
ガイアは心の中で『なるほどね』と言った。
「お、俺は模擬戦でもマイオルちゃんに負け越してるし⋯⋯」
「それは近距離戦だからでしょ。あなたが本気で魔法を使ったらあたしは土石流に潰されるわ」
その後もストローは何かモゴモゴ言っていたが、ガイアには聞き取れなかった。
マイオル以外はストローの気持ちを分かっているので、なんとも言えない空気が部屋に漂っている。
ちなみに、マイオルは「大人になったらお父さんのお嫁さんになる」と公言する幼年期を過ごしており、恋愛に対する免疫がない。
◆
収拾がつかないように思ったが、察したセネカがうまく話を進めてくれたため、ガイアはやっと魔法の相談が出来ることとなった。
隠すことでもなかったのでガイアは包み隠さず話をした。
「なるほどね。話は良く分かったよ。聞く限りでは魔力の操作性を高める訓練をすることが肝要に思えるけれど、どういう魔法なのかがいまいち分からないな。もしよかったらガイアさんの魔法を見せてはくれないだろうか?」
ストローは自信満々にそう言った。
「もちろん構わないけれど、ここにいる全員っていうのはちょっと⋯⋯」
「あぁ、ありがとう。もちろんそうだよね。関係の薄い人間に魔法を見せるのは本意ではないだろう」
「そうね。魔法スキルを持っていない人はここまでということにしてもらおうかしら。魔法が使える人にはむしろ見てもらって感想を聞くのが良いと思うけれど」
ガイアは見知らぬ人が多いのに戸惑って言っただけだったが、マイオルがうまくまとめたので、誤解を解くことはしなかった。そのため、該当しない者は散り散りになって行った。
34
お気に入りに追加
603
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
オカン公爵令嬢はオヤジを探す
清水柚木
ファンタジー
フォルトゥーナ王国の唯一の後継者、アダルベルト・フォルトゥーナ・ミケーレは落馬して、前世の記憶を取り戻した。
ハイスペックな王太子として転生し、喜んだのも束の間、転生した世界が乙女ゲームの「愛する貴方と見る黄昏」だと気付く。
そして自身が攻略対象である王子だったと言うことも。
ヒロインとの恋愛なんて冗談じゃない!、とゲームシナリオから抜け出そうとしたところ、前世の母であるオカンと再会。
オカンに振り回されながら、シナリオから抜け出そうと頑張るアダルベルト王子。
オカンにこき使われながら、オヤジ探しを頑張るアダルベルト王子。
あげく魔王までもが復活すると言う。
そんな彼に幸せは訪れるのか?
これは最初から最後まで、オカンに振り回される可哀想なイケメン王子の物語。
※ 「第15回ファンタジー小説大賞」用に過去に書いたものを修正しながらあげていきます。その為、今月中には完結します。
※ 追記 今月中に完結しようと思いましたが、修正が追いつかないので、来月初めに完結になると思います。申し訳ありませんが、もう少しお付き合い頂けるとありがたいです。
※追記 続編を11月から始める予定です。まずは手始めに番外編を書いてみました。よろしくお願いします。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
偽物の侯爵子息は平民落ちのうえに国外追放を言い渡されたので自由に生きる。え?帰ってきてくれ?それは無理というもの
つくも茄子
ファンタジー
サビオ・パッツィーニは、魔術師の家系である名門侯爵家の次男に生まれながら魔力鑑定で『魔力無し』の判定を受けてしまう。魔力がない代わりにずば抜けて優れた頭脳を持つサビオに家族は温かく見守っていた。そんなある日、サビオが侯爵家の人間でない事が判明した。妖精の取り換えっ子だと神官は告げる。本物は家族によく似た天使のような美少年。こうしてサビオは「王家と侯爵家を謀った罪人」として国外追放されてしまった。
隣国でギルド登録したサビオは「黒曜」というギルド名で第二の人生を歩んでいく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
幼少期に溜め込んだ魔力で、一生のんびり暮らしたいと思います。~こう見えて、迷宮育ちの村人です~
月並 瑠花
ファンタジー
※ファンタジー大賞に微力ながら参加させていただいております。応援のほど、よろしくお願いします。
「出て行けっ! この家にお前の居場所はない!」――父にそう告げられ、家を追い出された澪は、一人途方に暮れていた。
そんな時、幻聴が頭の中に聞こえてくる。
『秋篠澪。お前は人生をリセットしたいか?』。澪は迷いを一切見せることなく、答えてしまった――「やり直したい」と。
その瞬間、トラックに引かれた澪は異世界へと飛ばされることになった。
スキル『倉庫(アイテムボックス)』を与えられた澪は、一人でのんびり二度目の人生を過ごすことにした。だが転生直後、レイは騎士によって迷宮へ落とされる。
※2018.10.31 hotランキング一位をいただきました。(11/1と11/2、続けて一位でした。ありがとうございます。)
※2018.11.12 ブクマ3800達成。ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる