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【ハクとは】
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「さて、まずはお名前をお伺いしようかしら、お嬢さん。」
女王は足を組んで椅子にもたれかかった。
「社 真愛と申します!」
私はなるべくハキハキと答えるよう意識した。
「社、ねぇ....」
女王はぽそりと言った。
「真愛、ひとつ伝えておくわ。
ここでは名字は名乗らない。
相手は下の名前で呼ぶ。
わかった?」
「は、はい...!」
「私は小夜。
ここ日本の最高権力者及び20代目女王。
私が死ねと言ったら死んでもらうわよ。
全ての権力は私が握ってる。
この国ではね。」
「え.....っ」
私は思わず恐怖でちぢみこまった。
すると女王ははははっと顔をあげて笑った。
「冗談よ。自分の国民やゲストに向かって
死ねなんて言ったことないわ。
思ったことはあるけど。」
思ったことはあるんだ....
私ははははっと下手な苦笑いをした。
冷や汗がまたも出てくる。
「ちなみにおいくつ?」
「20歳です」
「まだガキんちょね。
私はちなみに720歳よ。」
「えええぇ!」
私は思わず声を上げた。
一体この人達は何年生きるの!!?
「知ってるわ。
あなた達は長くても100年程度の寿命だものね。」
そして女王は手をパチンと合わせると
「さて。まずいろいろ聞きたいことがあって。」
まっすぐに私の目を見てくる。
やっぱりノアさんやあの真千さんと同じ藍色の目。
でもその目は少し違った。
細長い瞳孔をしていて、
まるで目の前にいる獲物を仕留めてやるとも言わんばかりの目力だった。
「どこから来たの?」
「日本にいるのにこう言うのは変なんですが...
一応日本にある香川県から来ました。」
「ふーん香川県ね。
それって古い呼び名があったりする?」
「古い呼び名....?
あ、確か讃岐だったと思います。」
「なるほどね」
「社 英ってあなたの先祖?」
社 英?
まったく知らない。
でももしかして、お父さんが言ってたひいがいくつつくかわからないくらいのひいおじいさんのことかもしれない。
「私の父が、社家はハクという白い鷲を飼っていたことがあると言っていました。
それがもしかしたら社 英という人が生きていた時代なのかもしれません。」
「超隔世遺伝か....」
女王がぽそりと呟いた。
「え?超隔世遺伝??」
私はよく分からずその言葉を繰り返した。
「そう。何百万年も何千万年も昔の遺伝が突然飛んでくる現象のこと。
あなた、周りの家族は南国風じゃないでしょ?」
全くその通りだ。
どうして自分だけこんなに黒い肌でくるくるパーマなのかずっと不思議だったけどそういうことなのか。
「それで、その超隔世遺伝と社 英と何の関係が...?」
「あなたも、社 英も、古代の特別な遺伝子が飛んできている特殊な血統を持った人間だったってことよ。」
「はぁ...」
私はあまりよく分からないまま唖然としていた。
それで?その血統とハクと何の関係があるんだろう?
「ハクは形を成さない知的生命体。
強大なエネルギーの塊で、何にでも擬態できる
意味不明な生き物よ。」
女王がさらりと言ってのけた。
「ハクは細胞が全て透明で人の目はもちろん私達の目にも見えない。」
「はぁ....」
私はさらに唖然とした。
「ハクは通常目に見えない。
でも、特別な血統の人間だけ見ることが出来る。」
「それがその、私ってことですか?」
「そういうことね。」
「ハクは一体何のために私をここへ連れてきたんでしょうか?」
「探してほしいやつがいるからよ。」
「探してほしいやつ...?」
「730年前、私が生まれる前に
とんでもなく大きな戦争があったの。
ハクの同種が私達を襲って、私達は見事に敗戦して日本を含め国々は壊滅状態になった。」
「大きな問題はハクの同種はハク同様私達には見えない。
でもあなたには見える。
ハクは人間が大好きで、私達を守ろうとしてくれてるの。」
「だから社 英をこっちに送り込んで私達を助けようとした。」
「でも残念ながら730年前に社 英はその戦争に巻き込まれて亡くなってるんですよね。」
ノアさんが横から言った。
「そう。つまりあなたの先祖は役には立たなかったってことね」
「な、なるほど...」
役に立たなかった、かぁ...
そうだったんだ...
社 英という人はハクと時間を過ごしたことで超隔世遺伝のことを知って、それを後世に残そうとしたんだ。
だからずっと語り継がれてきてたんだ...
またいつか同じ遺伝が来た時のために。
でもハクはそうまでしてなぜこの人達を守ろうとするんだろう?
それに、確かに私にはハクの同種もきっと見えるんだろうけど、
それだけじゃ私は何の役にもたてない。
私の先祖もそれを知っていたはず。
ハクは本当は他にも何か伝えたいことがあるのかもしれない。
私にはもしかしたらもっとできることがあるのかもしれない。
そもそもこの人達は一体何者?
しかもこっちって言ったけど、ここは一体何?
私も知りたいことがたくさんある。
「あの、私も色々お聞きしてもよろしいですか...?」
私は勇気を振り絞って女王に伝えた。
女王は足を組んで椅子にもたれかかった。
「社 真愛と申します!」
私はなるべくハキハキと答えるよう意識した。
「社、ねぇ....」
女王はぽそりと言った。
「真愛、ひとつ伝えておくわ。
ここでは名字は名乗らない。
相手は下の名前で呼ぶ。
わかった?」
「は、はい...!」
「私は小夜。
ここ日本の最高権力者及び20代目女王。
私が死ねと言ったら死んでもらうわよ。
全ての権力は私が握ってる。
この国ではね。」
「え.....っ」
私は思わず恐怖でちぢみこまった。
すると女王ははははっと顔をあげて笑った。
「冗談よ。自分の国民やゲストに向かって
死ねなんて言ったことないわ。
思ったことはあるけど。」
思ったことはあるんだ....
私ははははっと下手な苦笑いをした。
冷や汗がまたも出てくる。
「ちなみにおいくつ?」
「20歳です」
「まだガキんちょね。
私はちなみに720歳よ。」
「えええぇ!」
私は思わず声を上げた。
一体この人達は何年生きるの!!?
「知ってるわ。
あなた達は長くても100年程度の寿命だものね。」
そして女王は手をパチンと合わせると
「さて。まずいろいろ聞きたいことがあって。」
まっすぐに私の目を見てくる。
やっぱりノアさんやあの真千さんと同じ藍色の目。
でもその目は少し違った。
細長い瞳孔をしていて、
まるで目の前にいる獲物を仕留めてやるとも言わんばかりの目力だった。
「どこから来たの?」
「日本にいるのにこう言うのは変なんですが...
一応日本にある香川県から来ました。」
「ふーん香川県ね。
それって古い呼び名があったりする?」
「古い呼び名....?
あ、確か讃岐だったと思います。」
「なるほどね」
「社 英ってあなたの先祖?」
社 英?
まったく知らない。
でももしかして、お父さんが言ってたひいがいくつつくかわからないくらいのひいおじいさんのことかもしれない。
「私の父が、社家はハクという白い鷲を飼っていたことがあると言っていました。
それがもしかしたら社 英という人が生きていた時代なのかもしれません。」
「超隔世遺伝か....」
女王がぽそりと呟いた。
「え?超隔世遺伝??」
私はよく分からずその言葉を繰り返した。
「そう。何百万年も何千万年も昔の遺伝が突然飛んでくる現象のこと。
あなた、周りの家族は南国風じゃないでしょ?」
全くその通りだ。
どうして自分だけこんなに黒い肌でくるくるパーマなのかずっと不思議だったけどそういうことなのか。
「それで、その超隔世遺伝と社 英と何の関係が...?」
「あなたも、社 英も、古代の特別な遺伝子が飛んできている特殊な血統を持った人間だったってことよ。」
「はぁ...」
私はあまりよく分からないまま唖然としていた。
それで?その血統とハクと何の関係があるんだろう?
「ハクは形を成さない知的生命体。
強大なエネルギーの塊で、何にでも擬態できる
意味不明な生き物よ。」
女王がさらりと言ってのけた。
「ハクは細胞が全て透明で人の目はもちろん私達の目にも見えない。」
「はぁ....」
私はさらに唖然とした。
「ハクは通常目に見えない。
でも、特別な血統の人間だけ見ることが出来る。」
「それがその、私ってことですか?」
「そういうことね。」
「ハクは一体何のために私をここへ連れてきたんでしょうか?」
「探してほしいやつがいるからよ。」
「探してほしいやつ...?」
「730年前、私が生まれる前に
とんでもなく大きな戦争があったの。
ハクの同種が私達を襲って、私達は見事に敗戦して日本を含め国々は壊滅状態になった。」
「大きな問題はハクの同種はハク同様私達には見えない。
でもあなたには見える。
ハクは人間が大好きで、私達を守ろうとしてくれてるの。」
「だから社 英をこっちに送り込んで私達を助けようとした。」
「でも残念ながら730年前に社 英はその戦争に巻き込まれて亡くなってるんですよね。」
ノアさんが横から言った。
「そう。つまりあなたの先祖は役には立たなかったってことね」
「な、なるほど...」
役に立たなかった、かぁ...
そうだったんだ...
社 英という人はハクと時間を過ごしたことで超隔世遺伝のことを知って、それを後世に残そうとしたんだ。
だからずっと語り継がれてきてたんだ...
またいつか同じ遺伝が来た時のために。
でもハクはそうまでしてなぜこの人達を守ろうとするんだろう?
それに、確かに私にはハクの同種もきっと見えるんだろうけど、
それだけじゃ私は何の役にもたてない。
私の先祖もそれを知っていたはず。
ハクは本当は他にも何か伝えたいことがあるのかもしれない。
私にはもしかしたらもっとできることがあるのかもしれない。
そもそもこの人達は一体何者?
しかもこっちって言ったけど、ここは一体何?
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