アスペでADDな母娘

PoliteFlower

文字の大きさ
上 下
77 / 80
自閉症児 in Canada

【諦めという名の成長】

しおりを挟む
諦めるなんてとても夢のない言葉に聞こえますが、
人生諦めは重要です。



アンナはとてつもなく諦めの悪い子です。
それはとても素晴らしいことに聞こえますが、
それは同時に
「これはできない」
と判断する力がないと言えます。



物事には不可能なこともあります。
どんなにがんばっても私達は空中には浮けません。

割れたものを元通りきれいに修復はできないし、
サイズが合わないものを着ることはできません。


私達は日常生活でたくさんの諦めをしています。

あ、もうサイズが合わないから服を買い換えよう。
あ、コップが割れたから新しいのを買おう。
あ、雨が降ったから予定を変えよう。
これらは全て諦めです。
「それはできない」と判断し、諦め、
次のステップへと進む。

これは人生でとても重要です。


アンナはこの諦めがつけられず、
おもちゃが壊れれば直せと言わんばかりに喚き散らし、暴れました。


でも壊れたら元には戻りません。
同じものを買い与えることもできるでしょう。
でもそれは私の経験の限り、しない方がいいです。


壊れたら直らない。
これは、とても辛いですが学んでもらわなければなりません。
同じものを買い与えてしまうと、「また戻ってくる」と学習してしまい、直らないという事実を学ぶのに余分な時間がかかってしまいます。 


私達はアンナが物を壊す度アンナの心に寄り添い続けました。
暴れても叱らず、
落ち着いた後に
壊れたね、辛いね、と話しかけ続けました。



そしてある日のことです。
アンナはケチャップの容器の上になぜかバニラエッセンスの容器を置こうとしていました。

しかし残念ながら形が合わず、落ち続けます。
いつものアンナなら発狂です。
私はアンナが発狂する前に助けに入ろうかと身を構えました。


ところが、5回ほどバニラエッセンスが落ちた時のことです。
アンナはバニラエッセンスがケチャップの容器の上には立たないと判断し、ケチャップの容器の横に並べて置いたのです。

つまり、諦めたのです。


私はアンナのこの行動に大きな成長を感じ、
ひとりしみじみと感動してしまいました。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

鬼母(おにばば)日記

歌あそべ
現代文学
ひろしの母は、ひろしのために母親らしいことは何もしなかった。 そんな駄目な母親は、やがてひろしとひろしの妻となった私を悩ます鬼母(おにばば)に(?) 鬼母(おにばば)と暮らした日々を綴った日記。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

処理中です...