アスペでADDな母娘

PoliteFlower

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自閉症児 in Canada

【他者の気持ち】

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私達は、無意識に他者の気持ちを考えています。
むしろ、考えないことの方が難しいです。
その証拠に、私達はよくないことをすれば
「罪悪感」を感じます。
これは、無意識に相手の立場になって考えることができるからです。


これは私の母もそうでしたが、
自閉症児達はとにかくこの「他者視点」がわかりません。


皆さん、相手の考えは置いていて
例えば、もし職場で自分の意見が誰にも全く聞いてもらえなかったらどうでしょう?
何を言っても却下され、
何をしても「止めなさい」と言われ
何をやろうにも「あなたが悪い」と言われたら?
どんな人だってストレスを感じます。


でも、仮に自分の日頃の行いが悪いからという事実があったとしても
本人にそれに気づく能力がなければずっと苦しむことになります。


アンナはまだ他者の気持ちがわかりません。
それを説明しても通じない。
だから本人からしてみれば「何をしても却下される」状態にあります。
何をしても悪いと言われたら、大人でもつらいのに、子供であればもっとつらいです。

誰もわかってくれない
そんな思いの中でアンナもチャーリーも生きていることでしょう。

だからこそ、怒鳴ったりすることは避けなければなりません。 
でも、私はアンナが好ましくない行動をした時、
それが危険である場合は止めに入ります。

前回のコンロの上に立つこともそうですが、
そのまま続ければ大怪我に繋がるようなことは止める必要があります。


その時は、理由をベラベラ話しながら
止めなさい!と止めるのはよくありません。
アンナは他者の気持ちがわかりません。
私がということにはなかなか気づけない。


でも危険なことは仕方がありません。
私はくどくどと話さず、
やめてくださいの一言で
後は冷静に無言で止めます。

責めているわけではないという姿勢を見せます。
アンナにとって自分の意見が聞いてもらえないのはつらいことです。
それはわかっていますが
だからといって全てを許すことはできないのです。


こうやって止めなければならない状況に備えて、
普段はなるべくアンナの意見を尊重し、
好ましくない行動もなるべく怒ったり突然止めることはしないようにしています。


例えば、こんなことがありました。
アンナは、お菓子の袋などのゴミを食べ終わったあとに床にポイッと投げ捨ててしまいます。
ここで、私は特にその行動に対しては何も言わず、
アンナには優しく
「一緒に拾おうね」
と言って拾うことに集中させます。
最初はもちろんあまり通じないので、アンナをゴミのところまで連れて拾わせ、拾った後に思いっきり褒めました。

これを何度も繰り返すことで、
アンナはそのうちあまりお菓子の袋を投げなくなりました。

投げた後に拾わないといけないことに気づいたからです。
褒められるから拾うことに抵抗はしません。 
でもはっきり言って毎回はやはりめんどくさいのでしょう。

これでアンナは怒られずして
投げることを止めることができたのです。



また、バナナを途中までしか食べないため
最初に半分だけ渡すと凄まじくキレるという声もありました。
これに関しては、バナナを半分に切ってから
切ったバナナ両方を見せ
どちらがいいか選ばせるとアンナは落ち着いて半分だけ食べることができました。

「やりなさい」と言われるのは嫌ですが、
「選んでいいよ」と言われれば悪い気はしない。
全くガキめ!って思ったけどまぁ仕方ない。


たくさんの工夫が必要だけど、
自閉症の子供達は工夫次第でしっかり落ち着いて過ごすことができる。

その環境づくりができるのは、周りの大人達だけ。
本人がなるべく荒れなくていい環境をこれからも作れるよう日々がんばるぞ!

そう思った金曜日の夜。
これからも子供達との日々は続いてゆく。
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