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【勇者が仲間になりたそうにこちらを見ている② ~五大王国合同サミット~】
【第十三章】 水晶の試練
しおりを挟む約二時間程が経ってサミットが終わると、僕達は王様の部屋に集められていた。
王様や王女様からミランダさんやアルスさんまでこの島に上陸した全員が揃っている。
「ご苦労様でした、リュドヴィック王」
大きなテーブルに座る僕達の前に紅茶(のような味と匂いのする飲み物)が配られると、全員に行き渡るのを待ってセミリアさんが話を切り出した。
上座に座る王様はカップを一口啜るとお疲れの様子で大きく息を吐き、苦笑を浮かべる。
「苦労といっても、いつも通りの流れであったがな。時折ジェルタール王が見解を述べたりわしが意見を求められたりはしたものの、ほとんどクロンヴァール王の独演会の様なものだ。相変わらずユノの女王は聞かれた事に答える以外はだんまりだしのう」
「ていうか、そもそもどんな事を話し合うん? この国のことすらよー分からんし聞いても理解出来るかどうか怪しいけども」
「基本的に対魔王軍における情報の共有だとか、連携の強化だとかそういった話が一番多いことは間違いない。あとは……いつも通り勝手に居なくなったフローレシアとその王の件も相当割合が増していたように思うが、それ以外では武器の輸出入についてだとかサミット参加国以外の国々のことだな。そして今回に至ってはもう一つ議題があったが、それは後ほど王から話があるだろう」
代わりに夏目さんに説明をするのはセミリアさんだ。
というか、やっぱりあの煙草の人は勝手に抜け出していたのか……なんだってそんな滅茶苦茶な真似をするのか。
確かに外見も言動もいい加減そうな人ではあったけど、場を弁えないとどうなるかぐらい僕でも分かるというのに。
「それはそうとコウヘイ、先は見事な答弁であったぞ。あのクロンヴァール王を引き下がらせるとは、わしは大いに感服した」
不意に、会話の切れ目で王様が思い出した様に手を叩いた。
正直その件のことは完全に忘れていたんだけど、勝手にありもしない話をでっち上げただけに怒られやしないかと心配していたので大丈夫そうで何よりだ。
「なんだ? なんかしたのか康平たん」
「そっか、TKはあのときおらんかったんやな。凄かったで康平君、あの完璧超人に堂々と言葉で対抗しとったもん」
「うむ、私もあれには驚いた。さすがはコウヘイと言う以外の言葉がない」
「せやろ? 康平君弁護士とか向いてるんちゃう?」
「いや、さすがに弁護士は……」
やっていることはどちらかというと詐欺師だし。
「あの時僕が口にしていたことは全部作り話なので、むしろ勝手な事を言ってすいませんでした」
「何を言うかコウヘイ、むしろわしには思い付きもしない立派な対策案だったとすら思うぞ。あの話を実際に行うために知恵を貸してもらおうと決めた程だ」
決めた程なのか……勝手に決められても。
「え? ていうか、あれ作り話なん?」
「ええ、馬車の中で聞いた話を元に向こうが強く言えないだけの努力をしようとしている風に聞こえる話をしただけです。実際に出来るかどうかなんて考えずに言っていたので細かく掘り下げられたら不味かったかもしれないですしね」
「例えそうだとしても、恐らく我が国の大臣では真似出来なかっただろう。内容も理に適っておる。早急に実現に動くべきだと思えるだけの価値がな」
「しかし、あれをその場の思い付きで言っていたのかコウヘイ。それはそれで凄いことだと私も思うぞ」
なんだか褒め殺しだった。
半分は二人が話していたことだし、そこまで大袈裟なことではないと思うのだけど……。
なんて事を考えていた時、
「ていうか完璧超人って誰なんだよ。ビッグザ武道でも見たのかコンニャロー」
とかとわけの分からないこ指摘をする高瀬さんの声はサミュエルさんがテーブルに拳を叩き付けた音によって掻き消される。
怒りに身を任せて、といった感じではなく単に会話を遮ろうとしただけなのだろうが、当然全員の視線がサミュエルさんに集まった。
「大事な話があるって言うから来たんだけど? 雑談するだけなら部屋に戻るわよ」
王をも恐れぬ物言いである。
幸い王様もセミリアさんも呆れた様に溜息を吐くだけだったけど、それすらも気にせずサミュエルさんは奥に見える個室の扉をチラリと見て舌打ちした。
あの部屋には一人だけここに呼ばれる事を拒否したロールフェリア王女が居る。
どう見ても人に従うタイプじゃないだけに王女一人が好き勝手していることが気に入らないのかもしれない。
「まったく、相変わらずせっかちなことだなセリムス」
「そうだぞサミュエル。国王の言葉を遮るなどと無礼であろう」
「つーかサミュたんはずっと不機嫌だな。女の子の日なのか?」
「死ねTK。サミュやん、なんぞ気に食わんことでもあるんかいな?」
次々に自分に向けられる言葉の数々にもサミュエルさんは『フン』と言っただけだった。
見かねた王様は仕方なくといった様子で話を本筋に戻し、その説明を始める。
「セリムス、お前に取っては退屈かもしれんが、それでも同行させたことにはちゃんと理由がある。これからお主等にはとある試練に挑んでもらわねばならぬのだ」
「「「試練?」」」
と、声を揃えた僕達の中にサミュエルさんは含まれてはいなかったが、それでもやる気なさげな表情が一変したことが分かった。
それはさておき、試練とはどういうことだろうか。
何のことやらさっぱりな僕達は上座に座る王様の言葉を待つ他なく、
「この島が結界や呪法によって外敵から守られていることは聞いているであろう。この島でサミットが行われるようになった頃、先人達の魔術によって施されたものだ。だが、だからといって放っておいても永続的に効果を発揮し続けるということなどあるはずもない。であるからこそ継続的に効果を発揮し続ける方法を取ったのだ」
そんな僕達に王は説明を続けた。
ところどころ初めて耳にする人物名や地名などが出て来たものの、要約するとその先人達はより長きに渡ってこの島を守る魔法の効果を持続させるためにその魔力の源を二つの水晶に分けたのだそうだ。
偶発的に、或いは作為的に水晶が失われてしまった場合に一切の効果が失われてしまうことを避けるべく、二つに分けた。
そしてその水晶はそれぞれ別の場所に封印してあるのだが、では水晶を残しておくだけで永続的な効果を得ることが出来るかといえばそうでもなく、そのためには定期的に十分な魔法力を注ぎ込むことが必要なのだとか。
その時期というのがこのサミット三回おきということらしく、今回は偶然……なのかそれを見越して僕達が呼ばれたのかは定かではないが、とにかく各国が協力して水晶の元へと向かわなければならないということだった。
「既に居なくなったフローレシアを除く四カ国がそれぞれ五名ずつを選抜し、さらに二カ国ずつに別れて水晶が封印されている場所へと向かうことになっている。当然ながら探せば見つかる様な場所に置いてなどいないし、封印されている洞窟には水晶を守るべく罠が張られている。他国に出入りしなければならないことや魔物との遭遇も含め戦闘もあり得るだろう。そういう危険な試練だ、だからこそセリムス、お前を同行させたのだ」
一転して真剣な表情で説明を続ける王様の言葉が途切れると、サミュエルさんはカタっと音を立てて椅子から立ち上がった。
「ま、そろそろ血が見たいと思ってたし、そういうことならやってやろうじゃない、その試練」
すぐに出発するんでしょ? と、サミュエルさんは不敵に笑った。
何が見たいと言ったのかは敢えて聞こえなかったことにするとして、やっぱり物騒な話ほどテンションが上がる奇特な人らしい。
「うむ、サミットも前倒しになった手前そういうことになっておる。間もなく一階に集合することになろう。元々はレザンも同行させようと思っておったが、幸いここには五人いることだし我が国の遠征メンバーはクルイード、セリムス、コウヘイ、カンタダ、アスカとする。それぞれ異論はあるか?」
「俺様の大冒険に意義なーし!!」
「ウチも連れていってくれるんか! ちょっと楽しみやん、全然文句なんかあらへんで」
「まあ……僕も異論はないですけど」
拒否しようものならいよいよ来た意味が無くなりそうだ。
目的の達成にこの二人の安全も考えないといけないというのも簡単な話ではないのだけど、それがこのパーティーで頭を使うぐらいしか役に立てない僕の仕事なんだもんなぁ。
聞く限りじゃ化け物と遭遇する可能性もあるみたいだし……どんどん最初に聞いていた話と違ってきている気がする。
「ちなみにですけど、四つの国が二チームに分かれるんですよね? 僕達はどの国とペアになるのかはもう決まっているんですか?」
ふとした疑問に答えてくれたのはセミリアさんだった。
僕達にとって良い結果だったのか悪い結果だったのか、どちらにせよ随分な不安の残る組み合わせがその口から発表される。
「私達はユノとチームを組むことになった」
○
「改めまして、ナディア・マリアー二と申します。どうぞよろしく」
「樋口康平です。ただの代理の身ですが、よろしくお願いします」
自己紹介を返して、マリアー二さんが差し出した手を握る。
王様の話が終わり、僕達とユノ王国勢は港……と表現していいのかどうかははっきりしないが、件の試練へと挑むべく各国の船が並んでいた海岸に集合していた。
僕達の側は、僕とセミリアさん、サミュエルさん、高瀬さん、夏目さんにミランダさんを加えた六人。
あちらは会場入りした時に顔を合わせた、若きユノ王国の女王であるらしい紫色の綺麗なドレスに身を包んだ綺麗な女性マリアー二王、サミュエルさんと因縁のあるらしい半分金髪の薙刀を背負った少女カエサルさん、そして背が高く片腕が武器で覆われている無口そうな女性キャミィさんに初対面の男女一人ずつを加えた五人だった。
最大五隻は並んでいたはずの海岸には二隻の船しかなく、その理由はすでにシルクレア王国、サントゥアリオ共和国チームがそれぞれ自国の船で出発しているからだ。残り一隻は勿論途中で帰ったあの煙草の人が乗って帰ったのだろう。
ではなぜ僕が向こうの王様と握手などしているかというと、僕が同行しない王様の代理に任命されてしまったからである。
コウヘイに任せられるならわしも安心だ、なんて言っていたが、どうもあの王様は僕のことを過大評価している節があるのが悩みの種だ。
といっても王様代行というから大袈裟な話になってしまうのであって、要はこの旅に参加するメンバーのリーダー的なポジションを任されただけの話なので別に偉くなったというわけでもないのだけど。
僕としては当然セミリアさんがやった方がいいと思うのだが、やっぱりセミリアさんも僕を推薦するのだから遠慮する方法を探すのも一苦労といったところか。
そんなわけで船を操る術を持たない僕達はユノ王国の船に目的地まで乗せていってもらうこととなり、そのユノ王国の船の前で集合しているというわけだ。
魔法を使えないという理由で融通を利かせてもらうだけでなく自分達で船も出せないというのは国の面子的にどうなんだろう……出来ないものは仕方ないけどさ。
「ケイト、シャダム、ご挨拶を」
マリアー二さんは僕にとってまだ名前も知らない二人の男女を見た。
共に二十歳前後であろう二人を含めて国を代表しているはずのこの場にはおおよそ大人と位置づけられるような歳の人は皆無である。
戦乱の世であるがゆえのことか、この世界ならではのことか。真っ赤な髪の完璧超人(これも僕と夏目さんが勝手にそう言っているだけ)ことクロンヴァールさんの国には大人もいたし、どちらかといえば前者なのかもしれない。
「我が名はシャダムだ。闇の帝王の名、よく覚えておくといい」
脳内で考察をしていると、男性の方が変なポーズをしながら言った。
短髪で上下ともに黒い衣服、腰にはクロスボウとかいったか、トリガーによって弓矢を発射するタイプの武器が装着されている。
いや、それよりも……。
「や、闇の帝王?」
「今宵の月は血を欲している、警告と捉えるか予兆と捉えるか……お前はどう考える?」
「……思いっきり昼間ですけど」
「ふっ、虚像に踊らされるのもまた一興というわけか」
「………………」
……わけ分からん。
「こら、シャダム。失礼でしょう、挨拶ぐらい普通になさい」
戸惑っている横からマリアー二さんの叱責が飛んだ。
普通にしろと言われるということは意図してこんな口調をしているということだろうか。
どういう意味があるのかは一切分からないけど、当のシャダムという男は全く気にしていなさそうだ。
「王よ、この俺の第六感が外れたことはない。この匂い……お前達、異界の者か」
一瞬、鼓動が早くなった気がした。
異界の者。
まさか僕達が別の世界から来た事に気付いたというのか。
知られて困ることがあるかどうかはともかく、不用意に触れ回ると立場を悪くすることもあると来る前にノスルクさんに言われたっけ。
とはいえこの場合、しらばっくれるのも不自然でもある。ならばどうするか……。
「えーっと、異界というのは一体どういう意味でしょうか」
どこまでのことをどういう根拠で気付いたのかを探ってみることにした。
その答えによって対応を考えるべきだと思ったのだが、しかしそれは杞憂に終わりそうだ。
「失礼しました、コウヘイ様。余りお気になさらないでください、このフレーズも会う人全てに同じ事を言っているだけで大した意味はないのです」
「あ、そうなんですか……」
心配して損したよ。
と思いつつ、やっぱり康平様だなんて呼ばれることがむず痒い。しかも相手は一国の王というのだから尚更だ。
「シャダムさん~、余り姫様に迷惑を掛けないようにといつも言っていますよね~。聞き分けが無いようだとまたご飯抜きにしちゃいますよぉ~」
と、そこで。
もう一人、二人の新参のうち女性の方がにこにこしながらほんわかとした口調で言った。
右目に片眼鏡を付けた、若い女性だ。
いかにも魔法使いな感じの黒と緑の混ざったローブに二次元で見掛けそうな魔法の杖を持っている。この人が魔法使いじゃなかったら誰が魔法使いなんだって感じだった。
「水晶に魔力を補充するにはそれなりの魔法力が必要なのだが、いかんせん我が国にはレベルの高い魔法使いがおらぬ。サントゥアリオも同じく元々魔力が使える者が極端に少ない国だ。シルクレアにはあのロスキー・セラムがいるし、ユノにもかなりのレベルの魔法使いがいる、それが理由だ」
これはペアとなる国がどうやって決まったのかということを質問した時に王様が僕に言った台詞である。
この人達の中にハイレベルかどうかは別としても、魔法使いがいるのであれば間違いなくこの人だろう。
「や、ちょっと待てよウェハスール。俺は別に迷惑なんざ掛けちゃいねえぜ」
「うふふ~、弁明よりも他に聞きたいことがあるんですけどねぇ」
「………………す、すまん」
「わたしは姫様ではないですよぉ?」
なんだか僕を放ったらかして奇妙なやり取りが展開されている。
というか、顔はニコニコ口調はフワフワな方眼鏡の女性の穏やかな圧力に変な男の人の方が完全に屈しているってどういう関係図なんだろう。しかも脅し文句がご飯抜きって……。
「なんですか、あれ」
あっちの連中が内輪であーだこーだ言ってる隙にこっそり後ろに居る二人に聞いてみる。
ちなみにサミュエルさんの舌打ちは聞こえなかったことにした。
「ありゃ……中二病だな」
「ちゅうにびょう?」
しかも重度のな、と。えらく深刻そうな顔をする高瀬さんの言葉に聞き覚えは無い。
あれって何かの病気なの?
と一瞬思ったが、僕が知らないことを高瀬さんが知っているとは思えないのできっと気にする程の回答でもないのだろう。
「お前失礼な奴だな康平たん」
「酷い誤解です。僕は何も言ってませんよ」
「ていうか康平君、中二病知らんの?」
「夏目さんは知ってるんですか?」
これでは僕一人が浅学みたいだ。
隣で一緒に首を傾げているミランダさんの頭を無意味に一度撫でると、謎の病気について夏目さんが説明してくれた。
完全に余談だが、妹キャラ推しである夏目さんはミランダさんが可愛くて仕方がないらしい。
確かに見た目は若干幼さの残る可愛らしいタイプなので分からなくもないけども、いちいち顔を赤くするミランダさんを愛でている姿は到底姉妹とは言い難いですよ?
「中二病っちゅうのは思春期特有の思考の変化とでも言うんかな。ゆーても実際の病気やなくてただのネットスラングや。簡単に言えば格好付けてみたり、自分は特別やとか人とは違う存在やとかって感じのイタい思い込みみたいなもんや。重度になるとアニメや漫画の世界と現実を混同しだしてもう周りからみたらそれこそ変な病気にでも掛かったと思わなしゃーない感じに見えるからこそ中二病っていうんやろうけどな。まあ簡単にいえばTKみたいな奴っちゅうこっちゃ」
「なるほど、最後の一文のおかげでなんとなく理解出来ました」
確かに言動というか、言葉の使い方とか高瀬さんを思い出したのは事実だったりする。
誰が中二病だオイ、と夏目さんを睨む高瀬さんだったが、説明を聞いてなお首を傾げたままのミランダさん含めてフォローは後回しだ。
向こうは向こうで内輪話が終わったらしく、あの片眼鏡の女性が戻ってきた。
戻ってきたというか、ただ視線が僕の方へ戻っただけなのだが、それでも女性はにっこりと微笑んで僕に手を差し出した。
「失礼しました、わたしはケイティア・ウェハスールと申します。以後お見知りおきを」
手を握ると、穏やかな表情のままウェハスールさんは僕の目を真っ直ぐに見つめる。
近くで見て気が付いたが、方眼鏡だと思っていた右目についている輪っか……レンズが入っていないんじゃないか?
ただのお洒落やファッションだとも思えないけど……。
「コウヘイ様、でしたね~?」
「あ、はい。樋口康平といいます。こちらこそよろしくお願いします」
「はい~、よろしくお願いしますね~。ところでコウヘイ様、コウヘイ様はリュドヴィック王の代理として遠征班を代表する立場なんですよねぇ?」
「え、ええ。その器であるかとうかは定かではありませんけど、王にその立場を託されているのは事実です」
「そうですかぁ、お若いのに立派ですねぇ」
「いやぁ……それは全体的にお互い様だと思いますけど」
今この海岸には十一人いるが、最年長が高瀬さんなんじゃないかというぐらいだ。
ほとんどが二十歳前後で、にも関わらず国を代表して戦っているというのだから恐るべしである。それに比べれば僕はただ若いだけだ。
「コウヘイ様はお城に仕えておられるのですか?」
「ええ勿論。長らく仕えているわけではないですけど」
「そうですかぁ、何やら事情がおありのようですねぇ。わたしが口を出す問題ではないのでしょうけど~」
うふふふ、ともう一度笑ってウェハスールさんは手を離し、後ろに下がった。
代わってマリアー二王が一歩前に出ると、
「それでは出発するといたしましょう。お部屋を用意しますので、当初の予定通りルートと合流地点をそちらで決めてお知らせください」
にこりと余所行きの笑みを向け、そのまま僕達を船へと促した。
こうして僕達は試練と銘打たれた旅へと向かうべく、どことも分からない国を目指してサミット会場のある島を出発する時を迎える。
前回の旅とは大きく違って他所の国の五名と共に、この個性的な面々のリーダーなんて役割を引っ提げて、僕はまた異世界での冒険へと足を踏み出すのだ。
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