雪の国の花

里中一叶

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フェリシア

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部屋を移動する途中にいままでの仕事仲間たちに挨拶していくと、みんな祝福してくれたので、フェリアは本当に良かったと思う。

新しい部屋は客間のはずだが、可愛らしい家具が揃えられていた。

「シャルロット様がお嫁入りした頃に使っていた家具ですが、よろしいでしょうか。」

レリアがさっきから丁寧な物言いでなんとなく慣れない。

「可愛らしい家具は嬉しいですが、レリアさんの話し方が...」

「レリアです。さんはいりません。フェリアさま。」

そう言われてもいままでの上司を急に呼び捨てにするのはなかなか難しい。

「失礼いたします。フェリア様付きの侍女になります。サリーです。」

「サリー!あなたが来てくれるの?」

「はい。一応、いとこってことで。」

「従姉妹?」

「フェルは、私の従姉妹で両親を亡くし我が家にひきとられたが、負担になりたくないとサーディス邸に仕事に出るわたしと一緒に雇ってもらい、カイン様に見染められた。我がベルド家からでも領主夫人になれるが、辺境伯の立場を考えて王弟のホレスト公爵の養女格で結婚予定。それに伴いフェルという名前をフェリシアに改名、フェリシア・ホレスト公爵令嬢ということよ。」

カインとシャルロットの仕事の速さに驚く。普通公爵家の養女ってそう簡単に許可下りないはずだ。

「シャルロット様は、フェリシア様が養女となるよう依頼書を鷹便で送ったそうです。それを王城で受け取った陛下がホレスト公爵を呼び出し、その場でお二人がサインして鷹便で先ほど戻りました。」

レリアの説明にシャルロットが緊急事態時の王城との連絡用の鷹を使ったこと、陛下とホレスト公爵がすぐ動くシャルロットという状況にこの国で1番強いのはシャルロットなのではないかと思ってしまった。

レリアとサリーの先導によって、侍女たちに徹底的に磨き上げられるとフェリア改めフェリシアは、侯爵家にいた時より髪は艶やか、肌はすべすべになる。

しばらく着ていなかったドレスは、カインが用意してくれた淡いオレンジ色で控えめに同色系のフリルの付いたかわいらしすぎないもので、フェリシアの好みに合うので嬉しかった。
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