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4.初恋、自覚したかもしれません

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 学園祭1日目は、一緒に回っただけで、いつもと変わらぬ吉田くんと私だったと思う。

 吉田くんにときめいた?と思ったけど、それからは何か変化があったわけでもなく、1日過ごしたから。

 吉田くんには目の腫れも治まったし友達も出来たから、登下校も断るつもりで学園祭1日目の帰り、自宅前で帰ろうとした吉田くんを呼び止めた。

「吉田くん、もう怪我も治ったし、1人で登校出来るから…」

「歌音は、目が悪いから気がつかないだけで、まだ内出血が残ってる。途中で投げ出す気はない。」

 吉田くんの送迎継続が、かなり強引に決められた。

 そして学園祭2日目は、別々の手伝いだったので、終わった後、吉田くんを探さずに一人で帰ろうとしたら靴箱の前で待ち伏せされた。

「ひとりで帰るつもりか?」

 熊が巣穴から出てきたのか?と思う感じで靴箱の影から出てきた時、悲鳴を上げなかった自分を褒めたい。

「よ、吉田くん。びっくりするからやめて。」

「歌音がいつ帰るかわからないから、待ってただけだ。」

 そう言って、ちょっと不貞腐れた顔をしている吉田くんにかわいいという感想は、黙っていた方がいいんだろうなと思ったけれど、またトクリと音がしたような気がした。

「吉田くんは、私が女の子同士で帰りに約束したら、送っていかないでしょう?」

「帰る時間まで時間潰しているから、気にすんな。
まあ、クラスが違うようになれば、帰る時間がずれるかもしれないが…」

「じゃあ、怪我が治ってクラスが違うようになるまで、この状態?」

 最初の頃の義務感だろうという思いから、なんとなく付き合わせて悪いなへと変わり、最近は少しこの当たり前のような毎日を楽しみにしている自分がいる。

 だけど…

「歌音に好きなやつが出来たら、そいつに譲らないとだけど…」

 吉田くんの一言で、気持ちが萎んだ。

 吉田くんは、私のことなんとも思ってないんだ。
それが、すごく寂しい。

 私、吉田くんのこと好きなんだって気付いちゃった。

 でもこの様子だと、最初の『責任取るから、俺のヨメになる?』というプロポーズ?も怪我に対する義務感だったみたいだし、告白して気不味くなるより、この距離でいた方がいいんだろうと思う。

「歌音?」

「ううん、なんでもないよ。」

 自覚しちゃうと吉田くんとの通学は、クラス替えするまでの期間限定だろうとは言え、2人きりで過ごせる貴重な時間だし、私のことそのうち女の子として見てくれるかもしれないと淡い期待を持ってしまう。

 だから…

ずっと同じクラスならいいなぁって思ってた。

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