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たかくんの実家に泊まった翌日は、鎌倉散策をしてから帰ることにした。
鶴岡八幡宮にお参りした帰り道
「貴文?」
ふんわりとしたかわいい女性が、目の前に立っていた。
「音羽…久しぶりだな。」
私なんかより見た目たかくんに余程お似合いだと思う。
アイドルなんか目じゃない整った美少女が、年齢を経て落ち着きをプラスした感じのかわいさがある。
たかくんは、私を選ぶと言ってくれたけど、それを知らずに彼女を見たら、たかくんを信じる事なんか出来なかったと思う。
「貴文は、本社だと思ったからIDに入ったのにいないんですもの…
優香から子会社にいるって聞いて、びっくりしたけど。
えっと…そちらは?」
たかくんと一緒に立ち止まり、横にいる私が連れだとわかって、たかくんに尋ねてくる。
「俺の彼女。」
たかくんにそう言ってもらえてホッとする。
彼女の綺麗な顔が一瞬歪んだ気がしたが、気のせい?
「貴文、私は彼女じゃなかったかしら?」
「音羽、あれから何年経ったと思っている?10年近く会わずにいて、連絡も寄越さないで、彼女って、俺をからかっているのか?」
たかくんは、すごく不機嫌なのに音羽さんは、たぶん気づいていない。
傍目に見れば、彼女に放っておかれ、ヤキモチを妬かせたくて当てつけに他の女を連れているようにしか見えないから。
そのくらいたかくんが音羽さんへの接し方がソフトなのだ。
逆にたかくんを知っている私には、猫を被ったよそ行きの顔にしか見えないから、安心すると同時に音羽さんに不安を感じた。
音羽さんは勘違いしていそうだから。
「あれは、貴文と私が高校生にふさわしくない付き合い方だったからとお父様が、赴任先に私を無理矢理連れて行っただけで、私は離れたくなかったのよ。」
「で、そのまま向こうで大学出て、帰ってこないヤツを待っていたと思った?」
「貴文?優香に聞いたのよ。あれから誰とも付き合っていなかったって。私を待っていてくれたんでしょう?」
珍しく不機嫌が顔に出たたかくんに音羽さんは怪訝な顔をした。
「俺は恭子と結婚するつもりだから、過去の話はもう終わりにしてくれ。」
私の手を引いて、たかくんは歩き出した。
「ごめん、不快だったよな。」
「ううん。私よりたかくんが不機嫌だったから、そっちが心配だった。」
「いつも思うけど、きょんはよく俺のこと分かっているよな。
だいたいみんな俺のこと、温厚とか優しいとか言うのに。
猫被っているの、バレバレだよな。」
「元々、人の顔色みてばかりいたからかもしれないけど、たかくんが私には最初から素で接してくれてたからかな。
違いが分かるようになったのは。」
「やっぱりきょんは、いいなぁ。俺にとって最高の女だよ。」
そう言って抱きしめられて、嬉しかった。
一抹の不安はあるけれど…
鶴岡八幡宮にお参りした帰り道
「貴文?」
ふんわりとしたかわいい女性が、目の前に立っていた。
「音羽…久しぶりだな。」
私なんかより見た目たかくんに余程お似合いだと思う。
アイドルなんか目じゃない整った美少女が、年齢を経て落ち着きをプラスした感じのかわいさがある。
たかくんは、私を選ぶと言ってくれたけど、それを知らずに彼女を見たら、たかくんを信じる事なんか出来なかったと思う。
「貴文は、本社だと思ったからIDに入ったのにいないんですもの…
優香から子会社にいるって聞いて、びっくりしたけど。
えっと…そちらは?」
たかくんと一緒に立ち止まり、横にいる私が連れだとわかって、たかくんに尋ねてくる。
「俺の彼女。」
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傍目に見れば、彼女に放っておかれ、ヤキモチを妬かせたくて当てつけに他の女を連れているようにしか見えないから。
そのくらいたかくんが音羽さんへの接し方がソフトなのだ。
逆にたかくんを知っている私には、猫を被ったよそ行きの顔にしか見えないから、安心すると同時に音羽さんに不安を感じた。
音羽さんは勘違いしていそうだから。
「あれは、貴文と私が高校生にふさわしくない付き合い方だったからとお父様が、赴任先に私を無理矢理連れて行っただけで、私は離れたくなかったのよ。」
「で、そのまま向こうで大学出て、帰ってこないヤツを待っていたと思った?」
「貴文?優香に聞いたのよ。あれから誰とも付き合っていなかったって。私を待っていてくれたんでしょう?」
珍しく不機嫌が顔に出たたかくんに音羽さんは怪訝な顔をした。
「俺は恭子と結婚するつもりだから、過去の話はもう終わりにしてくれ。」
私の手を引いて、たかくんは歩き出した。
「ごめん、不快だったよな。」
「ううん。私よりたかくんが不機嫌だったから、そっちが心配だった。」
「いつも思うけど、きょんはよく俺のこと分かっているよな。
だいたいみんな俺のこと、温厚とか優しいとか言うのに。
猫被っているの、バレバレだよな。」
「元々、人の顔色みてばかりいたからかもしれないけど、たかくんが私には最初から素で接してくれてたからかな。
違いが分かるようになったのは。」
「やっぱりきょんは、いいなぁ。俺にとって最高の女だよ。」
そう言って抱きしめられて、嬉しかった。
一抹の不安はあるけれど…
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