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【エミルフェシア視点】
いつもギルフォード公爵邸に来た時に使う部屋に入り、侍女と執事を呼び出す。
「エミルフェシア様、御用はなんでしょうか。」
「クリスティア嬢のことなんだけれど…お兄様が役に立ちそうにないので、私とあなたたちで教育します。まず、公爵夫人としての立ち回り方からね。お兄様の助けとなり、王家の姻戚を取り仕切る女主人となってもらわなくちゃならないわ。まだ幼いなんて、お兄様に甘やかされていていい身分ではないのですもの。あの年で私はお妃教育やっていたから、出来ないなんて言わさないわよ。」
「かしこまりました。嫁いだとは言え、エミルフェシア様はギルフォード公爵の妹君ですし、旦那様と婚約者のクリスティア様の為になる事ですので、協力させていただきます。」
とりあえず、家の者達の協力を取り付けてから、お兄様に挨拶に向かう。
「おはようございます。お兄様、今日からしばらくお世話になるわね。」
「しばらく?」
お兄様は、私を見返す。
「そうね。1ヶ月か長くて半年?」
「ちょ、ちょっと待て。ずいぶん幅があるんじゃないか。」
「だって小姑ですもの。うふっ」
「ウフッじゃないだろう。アーノルドを放っておくのか?政務だってあるだろう。」
「もちろん、政務はこちらでやろうと思って、準備してあるし、パーティとかお茶会は、お兄様やクリスティア嬢も参加なんだから問題ないでしょう。」
「いや、しかし…」
「お兄様は、クリスティア嬢が公爵夫人に相応しくないと言われたいの?」
「そんなことはない。彼女を守りたいが、妻になる以上自分で出来るようにならないといけないのは、わかっている。」
「じゃあ私が小姑がんばらせてもらうわよ。」
お兄様の言質とったし、先ずは、直接相手をしましょう。
クリスティアの部屋を訪ねるとソファーに座ってお茶を飲んでいた。侍女に自分の分を頼み、私は向かい側に座った。
「はじめまして、かしら?」
「どちら様ですか?」
かなり警戒しているようだが、自分のかわいさと頼りなさを前面に出した雰囲気を醸し出しているので、天然なのか計算なのかは、まだ分からない。
「今日からしばらくお世話になりますので、ご挨拶に参りましたの。エイミーとお呼び下さいね。」
あえて愛称のみで自己紹介する。
「エイミーさん?アルヴィン様に何も聞いていないです。私のアル様を取らないで。」
「感情的にならない。まずは、相手がどのような存在か確認をしないといけないわよ。あなたの側には侍女だって執事だっているんだから、そこから情報を引き出すとか、もう少し相手と話して立ち位置を確認するとか、やることはあるわよ。公爵夫人になるんでしょう。」
「え?あなたは一体?」
私は改めて自己紹介する。
「未来のお義姉様、私はエミルフェシアです。よろしく。」
「エミルフェシア様?」
「今日から、クリスティア嬢の公爵夫人教育を始めさせていただきます。講師はこちらでご用意しますが、普段のチェックと指導は、私と侍女頭で行いますので、そのつもりで。」
「エミルフェシア様は、私がアルヴィン様に相応しくないとお思いなのですね。」
儚げな笑みをするクリスティアを見て、こちらは悪役令嬢の笑みを浮かべた。
「今なら歳のせいにしていられるけれど、公爵夫人として立ち回る事が出来なければ、お兄様の恥になるのよ。ビシビシやるので、ついて来てね。私がやってきたお妃教育に比べたら簡単なんだから。」
クリスティア嬢の笑顔が引きつっていた。
いつもギルフォード公爵邸に来た時に使う部屋に入り、侍女と執事を呼び出す。
「エミルフェシア様、御用はなんでしょうか。」
「クリスティア嬢のことなんだけれど…お兄様が役に立ちそうにないので、私とあなたたちで教育します。まず、公爵夫人としての立ち回り方からね。お兄様の助けとなり、王家の姻戚を取り仕切る女主人となってもらわなくちゃならないわ。まだ幼いなんて、お兄様に甘やかされていていい身分ではないのですもの。あの年で私はお妃教育やっていたから、出来ないなんて言わさないわよ。」
「かしこまりました。嫁いだとは言え、エミルフェシア様はギルフォード公爵の妹君ですし、旦那様と婚約者のクリスティア様の為になる事ですので、協力させていただきます。」
とりあえず、家の者達の協力を取り付けてから、お兄様に挨拶に向かう。
「おはようございます。お兄様、今日からしばらくお世話になるわね。」
「しばらく?」
お兄様は、私を見返す。
「そうね。1ヶ月か長くて半年?」
「ちょ、ちょっと待て。ずいぶん幅があるんじゃないか。」
「だって小姑ですもの。うふっ」
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「もちろん、政務はこちらでやろうと思って、準備してあるし、パーティとかお茶会は、お兄様やクリスティア嬢も参加なんだから問題ないでしょう。」
「いや、しかし…」
「お兄様は、クリスティア嬢が公爵夫人に相応しくないと言われたいの?」
「そんなことはない。彼女を守りたいが、妻になる以上自分で出来るようにならないといけないのは、わかっている。」
「じゃあ私が小姑がんばらせてもらうわよ。」
お兄様の言質とったし、先ずは、直接相手をしましょう。
クリスティアの部屋を訪ねるとソファーに座ってお茶を飲んでいた。侍女に自分の分を頼み、私は向かい側に座った。
「はじめまして、かしら?」
「どちら様ですか?」
かなり警戒しているようだが、自分のかわいさと頼りなさを前面に出した雰囲気を醸し出しているので、天然なのか計算なのかは、まだ分からない。
「今日からしばらくお世話になりますので、ご挨拶に参りましたの。エイミーとお呼び下さいね。」
あえて愛称のみで自己紹介する。
「エイミーさん?アルヴィン様に何も聞いていないです。私のアル様を取らないで。」
「感情的にならない。まずは、相手がどのような存在か確認をしないといけないわよ。あなたの側には侍女だって執事だっているんだから、そこから情報を引き出すとか、もう少し相手と話して立ち位置を確認するとか、やることはあるわよ。公爵夫人になるんでしょう。」
「え?あなたは一体?」
私は改めて自己紹介する。
「未来のお義姉様、私はエミルフェシアです。よろしく。」
「エミルフェシア様?」
「今日から、クリスティア嬢の公爵夫人教育を始めさせていただきます。講師はこちらでご用意しますが、普段のチェックと指導は、私と侍女頭で行いますので、そのつもりで。」
「エミルフェシア様は、私がアルヴィン様に相応しくないとお思いなのですね。」
儚げな笑みをするクリスティアを見て、こちらは悪役令嬢の笑みを浮かべた。
「今なら歳のせいにしていられるけれど、公爵夫人として立ち回る事が出来なければ、お兄様の恥になるのよ。ビシビシやるので、ついて来てね。私がやってきたお妃教育に比べたら簡単なんだから。」
クリスティア嬢の笑顔が引きつっていた。
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