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午前の授業の終了の鐘が鳴ると同時に、私たちは教室を抜け出し最上階にある空き教室のひとつに向かう。
そこにはメラニーがすでにランチボックスと水筒を用意して置いてあった。『階下からの侵入者は排除しておきます』のメモ付きで。

「仕事ができるな。」
「でしょ。」

2人きりでランチをしても、今日は甘い雰囲気になるより、今は聖女様対策会議になってしまう。

「授業がほとんど被っていなくて良かったが、ダンスは困ったな。」
「そうね。ほぼパートナーが決まっていたから、聖女様がアーノルドにくっついて来ると私がアラン殿下と踊らなきゃならないという最悪な状況になるのよね。」
「それは、私も嫌だ。アランと踊るエイミーなんて、もう見たくない。」
「まぁ結婚してから、賓客で来た場合は諦めて踊るけど。私も今は嫌だな。」

あの人、変な勘違いしそうだし。

「普通ならエイミーは、お妃教育もいらないから、ゆっくり2人で結婚式の準備でもしていたいところなんだがなぁ。」
「ごめんなさい。私が学年末まで学園に通うって言わなきゃ良かったのよね。でも今しか授業受けて、同じ授業取っている同級生と意見を交わせることはできないから、貴重なのよね。」
「私はお姫様の希望は全て叶えたいから、努力するよ。」
「ありがとう。アーノルドのそういうところ大好きよ。」

その日の帰りは、アーノルドが聖女様に捕まって、仕方なく別行動。
翌日から待ち伏せが始まり、登下校もランチも聖女様が私たちの間に割り込むようになった。

「エミルフェシアさん。あなた、ただの従妹なんだからアーノルド様に張り付くのはやめたらどうなの?」
「私はアーノルドと同じ授業を取っているし、アーノルドの希望で一緒に行動しているのですが。」
「あなたがそんなだから、優しいアーノルド様が断れないんです。
ねぇ。アーノルド様はマリナとの時間、大切ですよね。」
「いや、マリナ殿。私はあなたといたいとは言っていないのだが。」
「照れないでください。マリナはちゃんと分かっているんだからっ。」

すみません。今の会話で照れてるって意味が分からないです。
誰か、このお花畑さんにわからせる方法を教えて!

それでも授業中は、諦めて自分の教室に戻ってくれるので良かったのだが、週に一度のダンスの授業は、そうもいかない。
 
「アーノルド様っ。マリナとパートナーになって。」
「私はエイミーが…」
「あら、エミルフェシアさんにはアラン様がいるじゃない。私がアーノルド様となら、ちょうどいいわ。」

お花畑は、もう1人いたわ。
アラン王子が、にこにこと近寄ってきた。

「エイミー。従兄殿は、マリナとパートナーになるのだろう。ちょうどいいじゃないか。将来、結婚するもの同士、今からダンスを一緒に練習する必要もあるだろう。」
「アラン殿下?私はあなたと結婚すると言った覚えは、ありませんが。」
「エイミー、照れるな。もう父上にも話してあるから、婚約のお披露目も近いうちにしよう。」

アーノルドの目が怖いんだけど、全く気づかないアラン王子とマリナの行動に私はダンスを踊る前からとっても疲れていた。
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