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カフェテリアの隅、日当たりのいい場所で1人、ランチセットを食べることにした。
今日のランチセットは、白身魚のフライやカニクリームコロッケという恵美の好物ばかりで、食べていると少し落ち着いてくる。

食べ終わり、なんとなく外を眺めていると後ろから声がした。

「エイミー。私を置いて先にランチ食べちゃったのかい。」
「アーノルド。ごめんなさい…」
「え、エイミー!怒ってないよ。ごめん。泣かないで。」

アーノルドに言われて、自分が涙を流している事に初めて気づいた。
私のすぐ横に座り、アーノルドは周りに気付かれないように私を大きな背中で隠してくれる。

人前で泣くなんて、はしたないわよね。アーノルドに幻滅されちゃう…

そんな風に思って、更に涙が止まらない。
急に私の背中を優しく撫でていたアーノルドが、急に立ち上がると、私をそのまま抱き上げて横のは掃き出し窓から外へ出た。

いくら目立たない隅に座っていたとはいえ、お姫様抱っこで出入口じゃない場所から外へ出たら、目立つ。周りから悲鳴なのかため息なのか声がいくつか上がっていた。

「アーノルド。目立ってる。注目浴びちゃう。」
「大丈夫。エイミーの泣き顔は見えないと思うよ?」
「そうじゃなくて…」

人がいない裏庭のベンチに着いたアーノルドは、私をお姫様抱っこしたまま、そっと座る。
いきなりのお姫様抱っこにびっくりして、私の涙は止まっていたが、ハンカチ代わりになっていたアーノルドの胸のあたりが少し湿っていて、申し訳ない。
慌てて横に降りようとするが、アーノルドは離してくれず、そのまま横抱きで座ることになる。

「エイミー、落ち着いた?」
「ん…ごめんなさい。」
「謝らないで。エイミー、怒ってないから。それとも何か私が泣かしてしまうことがあったのか?」
「アーノルドは、悪くない。私が悪いから…私がアーノルドを好きになっちゃいけないのに、好きになって…」
「ちょ、ちょっと待って。なんで好きになっちゃいけないの?」
「だってアーノルドに真実の愛の相手が現れたら、私は邪魔な存在なのに、相手にやきもち妬いちゃって虐めて、アーノルドに嫌われて…」

落ち着いたと思っていたが、まだ感情は昂ぶっていたらしい。涙がまた溢れてくる。

そんな私をアーノルドは優しく抱きしめてくれた。

「あのね、エイミー。根本的に間違っているよ。エイミーがそんなこと心配する必要は何にもないんだから。私はエイミー以外は欲しくない。言ったはずだよ。私が何年もエイミーのことが好きで、認めてもらえる為に頑張ってきたか。でも泣くほど私が好きでやきもちを妬いてくれたなんて嬉しいよ。」

熱を帯びた瞳で見つめられて、どきりとする。

「このままエイミーを食べちゃいたいところだけど、アルヴィン兄上に殺されたら、エイミーと一緒にいられなくなるから我慢するよ。」

そう言ってアーノルドは、さっきまでの表情を変え、今まで見たことのないいたずらっ子のような笑顔を見せた。



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