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再会

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夏の暑さは、思った以上にアナスタシアの体力を奪っていたらしく、いつまでも続いていた暑さにやられ、とうとう寝込んでしまった。
皇帝陛下からお見舞いにと部屋を涼しくする氷柱が届けられ、陛下の侍医も往診に来ているが、なかなか回復しない。元々細い身体がさらに細くなり、ベッドの中でうつらうつらとして毎日が過ぎていく。陛下も何度か来てくださったが、ほとんど会話も出来ず、痛ましげな表情で優しく手を握り帰って行くのを見送るだけだった。


「アナスタシア様、食べたいものはありませんか。果物でも召し上がってくださらないと体力がつきません。」

リリーが、なんとか摂れるようにとすりおろしたり絞って果物を食べさせてくれる。

「あ、りがと…」

弱っている時ほどエドに会いたい。でもこんなに痩せちゃって嫌われちゃうかしら…その前に陛下を差し置いてエドがここへ来れるはずないわよね。
そんな事をボーッとする頭で考えているとレインが枕元にやって来た。

「アナスタシア様、お客様です。」
「誰?」
「私ですよ。姫様。」
「⁈ マリナ?」

クレア王女時代、ずっと側にいた侍女のマリナだった。

「どうして?」
「姫様が寝込んでしまわれたと聞きまして、大好きなメーナを持ってお見舞いに来ました。」

幼い頃、熱を出して食欲がない時いつもマリナが食べさせてくれた甘い果実。マリナの出身地である寒い地方の特産で、貴重なものなのに、マリナは実家から取り寄せてくれた。これがあれば元気になるとアナスタシアが刷り込みさせられている果物だ。
早速、マリナがメーナを切り分け、アナスタシアに食べさせてくれる。甘くて柔らかな果肉は喉をすっと通るほどジューシーで、思わず笑みが浮かんだ。

「こちらは夏がクレアより暑いですから、バテてしまったようですね。元々、塔の中で過ごしていて体力のない姫様ですから。」
「ありがとう、マリナ。メーナは美味しいわね。」
「しばらくこちらに逗留させていただきますので、元気になってくださいね。」
「私が寝込んでいるのをなぜ知っているの?」
「姫様がこちらに移られる時に責任者だったエド様と言う方を覚えていらっしゃいますか。」
「ええ。」
「皇帝陛下のご命令だとは思いますが、あの方が、数日前に私の実家に突然訪ねていらして、姫様が寝込まれてしまいかなり弱っているので助けて欲しいとおっしゃったんです。こちらまでの移動の手配もしてくださったので、来ることが出来たんですよ。」

マリナが来てくれた事はうれしいがエドがマリナを呼んで来てくれた、自分の事を心配して、いままでを知っているマリナを探して来てくれたことがうれしい。

「姫様、落ち着いたら少し眠りましょう。私は、ここに泊まりますから。」

久しぶりにマリナに会えてメーナも少しだが食べて安心したのかアナスタシアはぐっすり眠ることが出来た。


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