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月夜

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朝、目覚めると横に皇帝陛下の寝顔がある。昨夜アナスタシアは、初めて抱かれ、ちゃんと皇帝陛下の側妃となった。少し痛みはあるが、初めてのアナスタシアに優しく接してくれた。

「ん?アナスタシア起きたのか。」
「おはようございます。陛下。」
「身体は大丈夫か。辛かったら今日は寝ていていいよ。」
「大丈夫だと思います。」
「本当は、このまま一緒にいたいがそろそろ部屋に戻らないとならないな。また来るから待っていてくれ。」
「はい、お待ちしております。」

皇帝陛下はサッと服を着るとベッドの中のアナスタシアの頰にキスをして去って行った。
立ち去る音で気づいたのか、リリーとレインが部屋に入って来る。

「おはようございます。お風呂に入られますか。」
「お願い。」

なんとなく恥ずかしくて、リリーの顔を見れずにいると

「あんな素敵な陛下に一晩中愛されて、アナスタシア様は幸せですね。」

と言われてしまう。
皇帝陛下の御渡りは、それから毎日続き、アナスタシアは一緒の時間を楽しんでいながら、ふとエドは何をしているだろうかと思ってしまう。

『今日は執務にて、そちらに伺えず残念だ。』

半月ほど経ち、皇帝陛下から直筆の手紙が届いた夜のこと。
最近ずっと一緒にいたせいか、ひとりの夜になかなか寝付けないでいると窓に人影がうつる。
そっと近づいてみるとエドが、庭に立っていた。
慌ててガウンを羽織って、外に出て行くと向こうも気付き手を挙げた。

「エド様、どうしたの?」
「お前に会いたくなった。」
「私は陛下の花よ。」
「知ってる。夜になって月を見たらお前が何をしているんだろうと思って、つい来てしまった。寝ていたら諦めようと思っていたら、お前が出て来た。」
「私は民のためにここへ来たけれど、今は陛下の御渡りがあるのよ。お願いだから立ち去って。」
「この前みたいに手は出さないから、話をしないか。そこの東屋で。」

あまりに寂しそうなエドに絆されアナスタシアは、東屋へ一緒に向かった。
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