8 / 9
8
しおりを挟む
光が消えると、黒髪ストレートロングの女が立っていた。
恐らく転送を読まれたのだろう。
女は先手を打って、何か魔法を使った。
辺りが靄に包まれる。
「ようこそ、勇者か何かなのかしら?」
勝ち誇った笑顔で女は聞いてくる。
「お前が、世界を滅ぼそうとしていた狂った神だな!?」
狂った神と呼ばれているのか。
「狂ってなんかいないわよ。この世界は駄目だから、私が造り直してあげようとしているだけ。」
剣を構えたロジャーに女は言い返す。
「世界の何が駄目なの?貴女が自分に都合の良い世界じゃないから?」
ネネが続ける。
「そうね…誰しも自分の都合の良い世界を求めるものではなくて?」
女は手に魔力を集め始めた。
黒い…闇魔法だと!?
闇魔法と光魔法にはその他の属性は通じない。
俺もこの身体では魔法を使っても意味が無いという事で。
「く、黒い魔法…。」
ダリアが障壁の魔法を使おうとした。
「ま、魔法が発動しない!?」
「この靄のせいよきっと!」
クララは靄を剣で払おうとするが、靄は一向に無くならない。
「物理でいくしかないってことか。俺とクララで行くぞ!」
ロジャーとクララは女に突進する。
女は面白そうにホーミング弾を放ち、避けられない二人に何発も当てる。
靄を作った本人は魔法を使えるようだ。
ロジャーがジャンプした際に、ホーミング弾が上から叩き落とすように放たれて、モロに喰らってしまう。
俺は回復魔法は持ち合わせていない。
回復はポーションを持ったダリアに任せるしかなかった。
そして俺はそろそろ頃合いだと考えていた。
「…お前らに頼みがある。」
「な、なあに、こんな時に?」
このタイミングでこの台詞は『俺に任せて逃げろ』とでも言いそうだと思うよな。
クララに心配されてしまう。
半分当たりではあるが。
「今からここで起こることを内緒にしてくれるか?」
ロジャーは倒れたままでダリアにポーションで回復してもらいながらこちらを見る。
ネネが悲痛な顔をする。
「まさか…一人で戦う気じゃ?駄目よそんなの!」
「貴方が死んだら悲しむ人も居るんだからねっ!」
クララが涙を流し始めた。
大袈裟になってしまった…。
「とにかく、約束したぞ。そうそう…もう一つ。」
俺は言葉を口にしながらダッシュで女に詰め寄る。
「この事が済んだら、功績はお前らの物に。俺の事は言わないこと、だ。」
言い終えると、俺は放たれる弾をかわしながら女の懐に入り、掌底を喰らわせて吹っ飛ばす。
「なっ……!?」
その場の誰もが驚いたようだ。
「かっ…ごほっ!お、お前……魔道士じゃなかったの!?」
掌底を喰らって倒れ伏す女は咳き込みながら、己の計算違いに慌て始める。
「そんなことは誰も言っていない。」
「チッ!」
女は戦法を変える気で靄を消す。
そしてすぐにホーミング弾を先程のように、俺に向けてくる。
靄に魔力を割いていない分、弾の数が多い。
余程腹パン喰らったのが気に食わなかったのだろう。
俺は全てかわしながら女を飛び越して、魔力弾を女に被弾させようとする。
「なっ、何なのよあなた!」
自分の魔法が当たりそうになって、咄嗟に魔法を打ち消す女。
俺の動きが読めずに戸惑っているようだ。
「こちらも聞きたい。お前はどうしてこの世界を滅ぼそうとしている?」
「あなたに関係ない話よ!」
女はヒス状態で詠唱を始める。
闇のオーラが漂い始める。
大技は面倒だ。
この世界にダメージを与える可能性があるからだ。
俺は元の姿に戻ると、即結界で女と俺を覆う。
もう正体を隠す必要も無いだろう。
これできっと帰れる筈だから。
「や…闇の結界ですって!?」
気付いた女が詠唱をやめてくれた。
恐らく転送を読まれたのだろう。
女は先手を打って、何か魔法を使った。
辺りが靄に包まれる。
「ようこそ、勇者か何かなのかしら?」
勝ち誇った笑顔で女は聞いてくる。
「お前が、世界を滅ぼそうとしていた狂った神だな!?」
狂った神と呼ばれているのか。
「狂ってなんかいないわよ。この世界は駄目だから、私が造り直してあげようとしているだけ。」
剣を構えたロジャーに女は言い返す。
「世界の何が駄目なの?貴女が自分に都合の良い世界じゃないから?」
ネネが続ける。
「そうね…誰しも自分の都合の良い世界を求めるものではなくて?」
女は手に魔力を集め始めた。
黒い…闇魔法だと!?
闇魔法と光魔法にはその他の属性は通じない。
俺もこの身体では魔法を使っても意味が無いという事で。
「く、黒い魔法…。」
ダリアが障壁の魔法を使おうとした。
「ま、魔法が発動しない!?」
「この靄のせいよきっと!」
クララは靄を剣で払おうとするが、靄は一向に無くならない。
「物理でいくしかないってことか。俺とクララで行くぞ!」
ロジャーとクララは女に突進する。
女は面白そうにホーミング弾を放ち、避けられない二人に何発も当てる。
靄を作った本人は魔法を使えるようだ。
ロジャーがジャンプした際に、ホーミング弾が上から叩き落とすように放たれて、モロに喰らってしまう。
俺は回復魔法は持ち合わせていない。
回復はポーションを持ったダリアに任せるしかなかった。
そして俺はそろそろ頃合いだと考えていた。
「…お前らに頼みがある。」
「な、なあに、こんな時に?」
このタイミングでこの台詞は『俺に任せて逃げろ』とでも言いそうだと思うよな。
クララに心配されてしまう。
半分当たりではあるが。
「今からここで起こることを内緒にしてくれるか?」
ロジャーは倒れたままでダリアにポーションで回復してもらいながらこちらを見る。
ネネが悲痛な顔をする。
「まさか…一人で戦う気じゃ?駄目よそんなの!」
「貴方が死んだら悲しむ人も居るんだからねっ!」
クララが涙を流し始めた。
大袈裟になってしまった…。
「とにかく、約束したぞ。そうそう…もう一つ。」
俺は言葉を口にしながらダッシュで女に詰め寄る。
「この事が済んだら、功績はお前らの物に。俺の事は言わないこと、だ。」
言い終えると、俺は放たれる弾をかわしながら女の懐に入り、掌底を喰らわせて吹っ飛ばす。
「なっ……!?」
その場の誰もが驚いたようだ。
「かっ…ごほっ!お、お前……魔道士じゃなかったの!?」
掌底を喰らって倒れ伏す女は咳き込みながら、己の計算違いに慌て始める。
「そんなことは誰も言っていない。」
「チッ!」
女は戦法を変える気で靄を消す。
そしてすぐにホーミング弾を先程のように、俺に向けてくる。
靄に魔力を割いていない分、弾の数が多い。
余程腹パン喰らったのが気に食わなかったのだろう。
俺は全てかわしながら女を飛び越して、魔力弾を女に被弾させようとする。
「なっ、何なのよあなた!」
自分の魔法が当たりそうになって、咄嗟に魔法を打ち消す女。
俺の動きが読めずに戸惑っているようだ。
「こちらも聞きたい。お前はどうしてこの世界を滅ぼそうとしている?」
「あなたに関係ない話よ!」
女はヒス状態で詠唱を始める。
闇のオーラが漂い始める。
大技は面倒だ。
この世界にダメージを与える可能性があるからだ。
俺は元の姿に戻ると、即結界で女と俺を覆う。
もう正体を隠す必要も無いだろう。
これできっと帰れる筈だから。
「や…闇の結界ですって!?」
気付いた女が詠唱をやめてくれた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる