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最短ルートはさすがと言うかなんと言うか…テンプレ満載だった。
毒の沼……土魔法で強制的に埋め立てた。
山に山賊……見えない程度の風魔法を使い転ばせて捕縛。
山賊のアジトで捕まっていた少女を見つける……山頂付近にドラゴンが住み着いていて、少女はその生贄になるために山に入ったという事だった。
危ないから少女を連れて山を登り、立ちはだかったのは火龍だったので、少女に魔法の事を口止めし、敢えて火魔法でドラゴンを倒す。
俺の『降参するまで撃ち続ける魔法』で。
しかも俺の魔法は出が速いから、ドラゴンが一歩も歩けないまま戦闘は終了した。
自分の属性で倒される屈辱を与えてやる方が、屈服する率が高いからだ。
あとこいつを殺す気はないからな。
火龍は正気に戻ると、例の暴走した神の悪気の影響を受けて正気を失っていたと説明してきた。
成程、龍でさえ影響を受けるのだから、近しい精霊や下手すりゃ人も遅かれ早かれ悪に染まってしまうだろう。
大体この世界をどうすればいいか理解した俺は、効率重視でここからは回る事にした。
「魔道士様、アリアナと申します。」
「ウェルナートだ。」
山賊から助けた少女が、俺と龍が語り終えて解決したのを見て名乗った。
「ウェルナート様…。」
「呼び捨てで頼む。」
帰りたい気持ちが強まるので、様付けを遠慮した。
「あの、麓に降りたらそこに村があるので、是非歓迎させて下さい。」
「村には寄るが歓迎は辞退させてもらう。急ぎの旅だからな。」
「あの、ではせめてお礼を…。」
アリアナは服を脱ぎ始めた。
ここは山の中腹だから人は滅多に来ないのだろう。
暴れドラゴンも居たから尚更。
だから心配なしに服を堂々と脱げるのだろう。
脱いだアリアナに着衣の魔法を使って秒で服を着せる。
「俺には妻が居る。」
「居てもいいんです!私を…。」
「浮気する気も無い。俺は妻にベタ惚れで他の事が考えられないぐらいに夢中だからな。」
アリアナはやはりショックを受けた顔をした。
アリアナは確かに可愛い顔だ。
それゆえ振られる事に慣れていないようだ。
それでも本当の事だから仕方無い。
「急いでる。つまり妻の元に早く帰りたい。アリアナの村の位置を正確に頭に描く事は可能か?」
「あ、はい。」
ちょっと涙ぐんでいたアリアナが俺の言葉を真剣に聞いて頷く。
アリアナが村の位置を思い描き始めた瞬間、俺は転移の魔法でアリアナと村へ移動した。
村に着くと村人が姿を現し、アリアナからドラゴンとの一連の話を聞いていた。
そして俺の方へ振り返る。
「ウェルナート殿、アリアナを救っていただき有難うごさいました。」
「礼はその言葉で丁重に受け取らせてもらった。」
それだけでいいと話を打ち切るつもりだった。
「アリアナはドラゴンの生贄に選ばれる程の器量と魔力です。どうかアリアナを貰っては頂けませんか?」
「聞いているとは思うが、俺は妻帯者だ。」
話の感じアリアナの母らしかった。
「第二夫人でも…!」
「…俺の妻は類い稀な美しさだ。慈愛に満ち、誰からも愛されている。そんな妻と張り合えるとでも?」
「そんな方が…わかりました。」
この手のは少々強目に言わないと長引くだけだと考えたが、どうにか引き下がってくれた。
「妻の出過ぎた真似をお許しください。せめて歓迎の食事を。」
アリアナの父が祝宴を申し出てくれたが、俺は急いでいるので丁重にお断りした。
「そうだ、山の中腹に山賊の群れを捕縛してある。それを引き取ってくれ。俺への礼ならそれで頼む。」
村人達はキョトン顔になる。
そりゃそうだろう。
山賊をギルドのような場所に突き出せば、恐らく金になる。
それを、恩ある相手に逆にくれてやると言われているのだから。
「俺は急いでいる。だからそれが俺に取って助かる。」
今一納得出来ない風ではあるが、受け入れる住民達。
すぐに村の男達が山へと向かう。
「う、ウェルナート殿。せめてこれを受け取ってくれまいか?」
アリアナの父に渡された物を見て、どうすべきか迷う。
アイテムボックスだった。
俺は腐っても神。
上位互換である空間に仕舞う…ゲームで言うところのインベントリ的な能力は当然持っている。
恐らくこのアイテムボックスは村の宝。
これを「持っている。」と断るのは色々と都合が悪い。
更に時間を食うことにもなりそうだ。
有難くいただいた振りをし、村を出るとすぐアイテムボックスを村の倉庫に転移させ、さっさと次へ走る。
毒の沼……土魔法で強制的に埋め立てた。
山に山賊……見えない程度の風魔法を使い転ばせて捕縛。
山賊のアジトで捕まっていた少女を見つける……山頂付近にドラゴンが住み着いていて、少女はその生贄になるために山に入ったという事だった。
危ないから少女を連れて山を登り、立ちはだかったのは火龍だったので、少女に魔法の事を口止めし、敢えて火魔法でドラゴンを倒す。
俺の『降参するまで撃ち続ける魔法』で。
しかも俺の魔法は出が速いから、ドラゴンが一歩も歩けないまま戦闘は終了した。
自分の属性で倒される屈辱を与えてやる方が、屈服する率が高いからだ。
あとこいつを殺す気はないからな。
火龍は正気に戻ると、例の暴走した神の悪気の影響を受けて正気を失っていたと説明してきた。
成程、龍でさえ影響を受けるのだから、近しい精霊や下手すりゃ人も遅かれ早かれ悪に染まってしまうだろう。
大体この世界をどうすればいいか理解した俺は、効率重視でここからは回る事にした。
「魔道士様、アリアナと申します。」
「ウェルナートだ。」
山賊から助けた少女が、俺と龍が語り終えて解決したのを見て名乗った。
「ウェルナート様…。」
「呼び捨てで頼む。」
帰りたい気持ちが強まるので、様付けを遠慮した。
「あの、麓に降りたらそこに村があるので、是非歓迎させて下さい。」
「村には寄るが歓迎は辞退させてもらう。急ぎの旅だからな。」
「あの、ではせめてお礼を…。」
アリアナは服を脱ぎ始めた。
ここは山の中腹だから人は滅多に来ないのだろう。
暴れドラゴンも居たから尚更。
だから心配なしに服を堂々と脱げるのだろう。
脱いだアリアナに着衣の魔法を使って秒で服を着せる。
「俺には妻が居る。」
「居てもいいんです!私を…。」
「浮気する気も無い。俺は妻にベタ惚れで他の事が考えられないぐらいに夢中だからな。」
アリアナはやはりショックを受けた顔をした。
アリアナは確かに可愛い顔だ。
それゆえ振られる事に慣れていないようだ。
それでも本当の事だから仕方無い。
「急いでる。つまり妻の元に早く帰りたい。アリアナの村の位置を正確に頭に描く事は可能か?」
「あ、はい。」
ちょっと涙ぐんでいたアリアナが俺の言葉を真剣に聞いて頷く。
アリアナが村の位置を思い描き始めた瞬間、俺は転移の魔法でアリアナと村へ移動した。
村に着くと村人が姿を現し、アリアナからドラゴンとの一連の話を聞いていた。
そして俺の方へ振り返る。
「ウェルナート殿、アリアナを救っていただき有難うごさいました。」
「礼はその言葉で丁重に受け取らせてもらった。」
それだけでいいと話を打ち切るつもりだった。
「アリアナはドラゴンの生贄に選ばれる程の器量と魔力です。どうかアリアナを貰っては頂けませんか?」
「聞いているとは思うが、俺は妻帯者だ。」
話の感じアリアナの母らしかった。
「第二夫人でも…!」
「…俺の妻は類い稀な美しさだ。慈愛に満ち、誰からも愛されている。そんな妻と張り合えるとでも?」
「そんな方が…わかりました。」
この手のは少々強目に言わないと長引くだけだと考えたが、どうにか引き下がってくれた。
「妻の出過ぎた真似をお許しください。せめて歓迎の食事を。」
アリアナの父が祝宴を申し出てくれたが、俺は急いでいるので丁重にお断りした。
「そうだ、山の中腹に山賊の群れを捕縛してある。それを引き取ってくれ。俺への礼ならそれで頼む。」
村人達はキョトン顔になる。
そりゃそうだろう。
山賊をギルドのような場所に突き出せば、恐らく金になる。
それを、恩ある相手に逆にくれてやると言われているのだから。
「俺は急いでいる。だからそれが俺に取って助かる。」
今一納得出来ない風ではあるが、受け入れる住民達。
すぐに村の男達が山へと向かう。
「う、ウェルナート殿。せめてこれを受け取ってくれまいか?」
アリアナの父に渡された物を見て、どうすべきか迷う。
アイテムボックスだった。
俺は腐っても神。
上位互換である空間に仕舞う…ゲームで言うところのインベントリ的な能力は当然持っている。
恐らくこのアイテムボックスは村の宝。
これを「持っている。」と断るのは色々と都合が悪い。
更に時間を食うことにもなりそうだ。
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