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LESSON5 強姦 ※
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頭がくらつく。
そう言えば背後から近付いて来た車が止まったと思ったら、中に引き摺り込まれて、何か薬品のような物を嗅がされた。
頭を振って周囲を見回すと、何処かのホテルの一室。
ベッドの上で手を後ろ手に縛られていて、衣服は全て剥かれて丁寧に壁に掛けられていた。
「気が付いたか?」
不意に声が掛けられた方へ視線を遣ると、男が一人。
「芹澤柚希で間違いないな?」
男の正体も何もわからない。
状況がわかるまで黙っている事にした。
「黙りか…面白いじゃないか。」
顎を掴んで来て唇を押し付けて来る。
「んっ、んっ!」
首を振って逃れようとするが、あっさりと唇を舌で割られて、舌の侵入を赦してしまう。
咄嗟に舌に噛み付いた。
「っ…危ない子だな。少し乱暴にしてやった方が、大人しくなるかもしれないな。」
足の間に割って入り、股間を押し付けながら首を噛んでくる。
「やめ…っ…!」
荒い愛撫に身を震えさせて、身体を捩って逃れようとする。
身体のあちこちに跡が付けられていく。
内腿までいくとすぐにペニスが咥えられ、後ろにローションが付着した指が挿れられる。
「や…め…っ!んぅ…っ!」
前後への愛撫に腰を逃がすように動くと、前立腺の位置を確かめて来る。
「んっ!」
腰が跳ねてしまう。
男はその反応に満足すると、口と指を引かせ、勃起を宛がう。
「っ…!お願いだから、挿れないで…っ!」
逃げられないのに、必死に腰を動かして回避しようとする。
「鷹宮への操立てか?ますます汚してやりたくなる…。」
そう言うと無遠慮に腰を進めてくる。
「っん!抜いて…っ!お願いだからぁっ!」
拒否の意を込めて、首を振って懇願する。
「ねだり上手じゃないか!」
「あっ…ああっ!うご……な…いでっ!」
指で確認していた前立腺が激しく突き上げられると、どんなに耐えていても快楽に浸ってしまう。
「ああっ…く……も…ゃめ…っ!」
「さあ、種付けだ…っ!」
「…っ!出さな……中は…ぁっ!!」
「奥でたっぷり…味わえっ!」
「んっ……っっ!!」
男がイった瞬間『私』はウィッグを外し、髪に仕込んでいた剃刀の刃を男の首許に振り切る。
腕の拘束はとうに解いていた。
イく瞬間が一番無防備になるはずだから。
「くっ!?」
男の薄皮一枚を切ったが、かわされるとは……。
男と睨み合う。
「成程、入れ替わっていたか。」
最近柚希を狙う視線があった。
涼一が仕事の都合で出かける間を狙って来るだろうと話し合っていた。
柚希には言わず、ウィッグによる交換を願い出たが、柚希は何も言わず引き受けてくれた。
「決して無茶はしないで…。」
と約束させられたというのに…。
「気の強いのもいいが、俺のタイプは安らげる子でね。」
「これ以上柚希の周囲を騒がせるなら…刺し違えてでもお前を殺す!」
殺気を向けて隙を窺った。
「ふっ、面白いじゃないか。鷹宮とお前と二人から惚れ込まれるような柚希か。いずれ会いに行くと伝えてくれ。」
「その伝言は出来ない。柚希に近寄れば必ず私が殺すからな。」
「全く、鷹宮はここが法治国家だと教えていないのか?」
「その涼一から許可を貰っている。柚希に害為す者は殺して構わないと。」
「面白い男だ。」
男に隙を見せないように制服を身に付けた。
「何故柚希を狙う?」
「事業がね、鷹宮が居る限り俺は一番になれなくてね。唯一の弱点が恋人だと聞いたら狙うだろう?」
「そんな事のために…。」
不愉快に思った私はやはりここで殺した方が良いのかと思案する。
「それに、君…リシェールと言ったか、それに鷹宮と言いなかなかレベルの高い人間に、二人にも愛される人間に興味を持たない方がおかしい。」
…やはり私の事も調べてあったようだった。
「これ以上の睨み合いは無駄だろう。それに、迎えが来てるようだ。」
柚希と交換していたスマホが投げて寄越される。
画面を見てすぐに走る、とにかく男に先に行かせてはいけないと。
EVを待っていられなかったので、階段を全て飛び降りて地上を目指した。
出口を出ると不安そうな顔の柚希が居た。
GPSを切っておくべきだった。
男が追い付く前に柚希の前に立つ。
逃げても良かったが、後ろからの攻撃に合ったらと思うと…私はともかく柚希に危害が加えられたらと。
「成程、よく見たら随分違うな。」
「貴方がリシェールに酷い事をしたんですか?」
私の後ろで柚希が男を睨みながら、私の腕の拘束跡を労わるように撫でてくれる。
「連れ去ろうとしたのは君の方だったんだが……。」
「涼一の仕事の競合相手らしい。」
先程の情報を柚希に伝える。
「佐伯克成だ。」
「佐伯……克兄さん!?」
「…っ…ゆず、か?」
二人は何故か知り合いらしかった。
「そんなに覚えていないものなのか?」
思わず疑問を口に出してしまう。
私だったとは言え、似た顔を見ていたらわかりそうなものだと。
「10年前、1年しか隣に居なかったからな。年頃だった俺はゆずの姉さんの美月に憧れていた。ゆずはまだ小さかったからさすがに弟としか思っていなかった。」
「で、その克兄さんはどうしてこんなことを?」
柚希がもう一度佐伯を睨む。
「商売敵の、鷹宮の恋人を人質に取ろうと思った。」
やっぱり殺そうと考えたが、柚希から離れるのが不安で動けない。
「…リシェール、大丈夫。辛い思いさせて御免ね……。」
そう言って私の頭を撫でる。
どんなに私が身体を張ろうと、柚希がしてくれる事には敵わない。
「僕は、昔の克兄さんが変わってないと信じてます。」
佐伯が近付いて来る。
私は柚希に制されているので動けない。
佐伯は柚希の前に立つと、柚希の頬を撫でる。
「昔は…何も考えないで楽しく過ごせた。今は…何をしても疲れるばかりだ。それでも働いただけの成果を出せたと言うのに。」
柚希は佐伯と視線を合わせたままで黙って聞いている。
「鷹宮は仕事を奪っていった。何もかも持っている。だから恋人ぐらい奪ってもと思った。」
「涼一さんは汚い事はしてません。」
「本当にそうか?」
佐伯は私に視線を向けるが、視線を外してしまう。
「まあいい、とにかく……癒されたいんだ…。」
佐伯は柚希を抱き締める。
私はいつでも佐伯を捕縛出来るように、髪紐を解いて手の平に忍ばせる。
「……克兄ちゃん泣きたかったら泣いていいよ?柚希が隠してあげるから…。ね、こうして…。」
柚希は佐伯の頭を自分の肩に乗せるようにして背中を抱き、片手で佐伯の頭を撫でた。
「…!?…ゆず……ああ、昔のままのゆずだ…。」
佐伯は泣きこそしなかったが、目を閉じてされるままになっていた。
一瞬後、佐伯は柚希の唇を奪う…油断した!
「やはり、鷹宮を下して、ゆずを迎え入れる。」
私は柚希に決して当てない位置で佐伯に回し蹴りを放つ、がやはりかわされる。
「今度は迎えに行くよ、ゆず。飯でも食おう。」
「……これは何事だ?」
「涼一さんっ!」
柚希が心から安堵した表情になる。
「…佐伯とか言ったな。」
素性は調べたらしい。
涼一は佐伯をねめつけた後、私に視線を向ける。
「涼一の商売敵だそうだ。」
それだけ答えれば涼一ならわかるだろうと短く言う。
「って事は、中国の妨害はお前だな?」
そうやって涼一を日本から離したようだった。
「ゆず……柚希を渡せば今後一切鷹宮の邪魔はしないぞ?」
「柚希が居たらどんな妨害があろうと平気だ。そもそも俺は柚希を養う金があれば他は要らないんでな。」
言いながら涼一は、引き寄せた柚希に口付けた。
「んっ…んっ―!」
人前である事で恥ずかしいらしく、柚希は真っ赤になりながら慌てている。
私は見慣れているので特に思う事は無かったが、佐伯は私に意外そうな視線を向ける。
これぐらいで妬いていたら一緒になど居られないだろう。
「…わかった、今日は引き下がろう。ゆず、必ず攫いに行く。」
「っ…!」
涼一が口付けを離して、佐伯に殺気立って睨む。
佐伯は敢えて愛称で呼んで涼一を挑発した。
心配になって柚希を見ると今にも泣きそうな顔をしていた。
「柚希!」
思わず私が名前を叫んでしまうと、涼一も佐伯も気付いて明らかにオロオロしだす。
やはり柚希は強い。
佐伯が去ると涼一が何故ここに居るのかという疑問が漸く湧く。
確か海外に行って一週間は戻らない筈。
「佐伯の妨害を蹴散らした後、柚希から連絡を貰ってすぐプライベートジェットで戻った。海外っても今回は中国だったしな。」
「じゃあ一週間って言っても何かの時はすぐに戻れるんだ?でもあんまり迷惑掛けないようにするね。今回は御免なさい、リシェールが心配で…。」
柚希は私のために涼一に連絡を取っていたのか。
それを聞くだけで嬉しくなってしまう。
「柚希は何にも望んでくれないから、こういう風に頼られたいんだけどな?」
真っ赤になる柚希。
柚希を抱き締める涼一。
そっと離れて先に帰ろうと思った。
「リシェール。助かった。お前が居なかったら柚希がどんな目に合ってたか…。」
言いながら涼一が近付いて来た。
「入れ替わる案は涼一のアイデアだ。私は自分から乗っただけだ。」
「……その時も言ったが、あんまり無茶はするな。俺にとってはお前も大事な、身内だからな。」
「…有難う、涼一。」
「飯に行こう。」
涼一は私の頭をくしゃっとさせると、それだけ言って柚希の元に戻る。
家族が全員死んでしまった私にとって、嬉しい言葉だった。
side:リシェール
そう言えば背後から近付いて来た車が止まったと思ったら、中に引き摺り込まれて、何か薬品のような物を嗅がされた。
頭を振って周囲を見回すと、何処かのホテルの一室。
ベッドの上で手を後ろ手に縛られていて、衣服は全て剥かれて丁寧に壁に掛けられていた。
「気が付いたか?」
不意に声が掛けられた方へ視線を遣ると、男が一人。
「芹澤柚希で間違いないな?」
男の正体も何もわからない。
状況がわかるまで黙っている事にした。
「黙りか…面白いじゃないか。」
顎を掴んで来て唇を押し付けて来る。
「んっ、んっ!」
首を振って逃れようとするが、あっさりと唇を舌で割られて、舌の侵入を赦してしまう。
咄嗟に舌に噛み付いた。
「っ…危ない子だな。少し乱暴にしてやった方が、大人しくなるかもしれないな。」
足の間に割って入り、股間を押し付けながら首を噛んでくる。
「やめ…っ…!」
荒い愛撫に身を震えさせて、身体を捩って逃れようとする。
身体のあちこちに跡が付けられていく。
内腿までいくとすぐにペニスが咥えられ、後ろにローションが付着した指が挿れられる。
「や…め…っ!んぅ…っ!」
前後への愛撫に腰を逃がすように動くと、前立腺の位置を確かめて来る。
「んっ!」
腰が跳ねてしまう。
男はその反応に満足すると、口と指を引かせ、勃起を宛がう。
「っ…!お願いだから、挿れないで…っ!」
逃げられないのに、必死に腰を動かして回避しようとする。
「鷹宮への操立てか?ますます汚してやりたくなる…。」
そう言うと無遠慮に腰を進めてくる。
「っん!抜いて…っ!お願いだからぁっ!」
拒否の意を込めて、首を振って懇願する。
「ねだり上手じゃないか!」
「あっ…ああっ!うご……な…いでっ!」
指で確認していた前立腺が激しく突き上げられると、どんなに耐えていても快楽に浸ってしまう。
「ああっ…く……も…ゃめ…っ!」
「さあ、種付けだ…っ!」
「…っ!出さな……中は…ぁっ!!」
「奥でたっぷり…味わえっ!」
「んっ……っっ!!」
男がイった瞬間『私』はウィッグを外し、髪に仕込んでいた剃刀の刃を男の首許に振り切る。
腕の拘束はとうに解いていた。
イく瞬間が一番無防備になるはずだから。
「くっ!?」
男の薄皮一枚を切ったが、かわされるとは……。
男と睨み合う。
「成程、入れ替わっていたか。」
最近柚希を狙う視線があった。
涼一が仕事の都合で出かける間を狙って来るだろうと話し合っていた。
柚希には言わず、ウィッグによる交換を願い出たが、柚希は何も言わず引き受けてくれた。
「決して無茶はしないで…。」
と約束させられたというのに…。
「気の強いのもいいが、俺のタイプは安らげる子でね。」
「これ以上柚希の周囲を騒がせるなら…刺し違えてでもお前を殺す!」
殺気を向けて隙を窺った。
「ふっ、面白いじゃないか。鷹宮とお前と二人から惚れ込まれるような柚希か。いずれ会いに行くと伝えてくれ。」
「その伝言は出来ない。柚希に近寄れば必ず私が殺すからな。」
「全く、鷹宮はここが法治国家だと教えていないのか?」
「その涼一から許可を貰っている。柚希に害為す者は殺して構わないと。」
「面白い男だ。」
男に隙を見せないように制服を身に付けた。
「何故柚希を狙う?」
「事業がね、鷹宮が居る限り俺は一番になれなくてね。唯一の弱点が恋人だと聞いたら狙うだろう?」
「そんな事のために…。」
不愉快に思った私はやはりここで殺した方が良いのかと思案する。
「それに、君…リシェールと言ったか、それに鷹宮と言いなかなかレベルの高い人間に、二人にも愛される人間に興味を持たない方がおかしい。」
…やはり私の事も調べてあったようだった。
「これ以上の睨み合いは無駄だろう。それに、迎えが来てるようだ。」
柚希と交換していたスマホが投げて寄越される。
画面を見てすぐに走る、とにかく男に先に行かせてはいけないと。
EVを待っていられなかったので、階段を全て飛び降りて地上を目指した。
出口を出ると不安そうな顔の柚希が居た。
GPSを切っておくべきだった。
男が追い付く前に柚希の前に立つ。
逃げても良かったが、後ろからの攻撃に合ったらと思うと…私はともかく柚希に危害が加えられたらと。
「成程、よく見たら随分違うな。」
「貴方がリシェールに酷い事をしたんですか?」
私の後ろで柚希が男を睨みながら、私の腕の拘束跡を労わるように撫でてくれる。
「連れ去ろうとしたのは君の方だったんだが……。」
「涼一の仕事の競合相手らしい。」
先程の情報を柚希に伝える。
「佐伯克成だ。」
「佐伯……克兄さん!?」
「…っ…ゆず、か?」
二人は何故か知り合いらしかった。
「そんなに覚えていないものなのか?」
思わず疑問を口に出してしまう。
私だったとは言え、似た顔を見ていたらわかりそうなものだと。
「10年前、1年しか隣に居なかったからな。年頃だった俺はゆずの姉さんの美月に憧れていた。ゆずはまだ小さかったからさすがに弟としか思っていなかった。」
「で、その克兄さんはどうしてこんなことを?」
柚希がもう一度佐伯を睨む。
「商売敵の、鷹宮の恋人を人質に取ろうと思った。」
やっぱり殺そうと考えたが、柚希から離れるのが不安で動けない。
「…リシェール、大丈夫。辛い思いさせて御免ね……。」
そう言って私の頭を撫でる。
どんなに私が身体を張ろうと、柚希がしてくれる事には敵わない。
「僕は、昔の克兄さんが変わってないと信じてます。」
佐伯が近付いて来る。
私は柚希に制されているので動けない。
佐伯は柚希の前に立つと、柚希の頬を撫でる。
「昔は…何も考えないで楽しく過ごせた。今は…何をしても疲れるばかりだ。それでも働いただけの成果を出せたと言うのに。」
柚希は佐伯と視線を合わせたままで黙って聞いている。
「鷹宮は仕事を奪っていった。何もかも持っている。だから恋人ぐらい奪ってもと思った。」
「涼一さんは汚い事はしてません。」
「本当にそうか?」
佐伯は私に視線を向けるが、視線を外してしまう。
「まあいい、とにかく……癒されたいんだ…。」
佐伯は柚希を抱き締める。
私はいつでも佐伯を捕縛出来るように、髪紐を解いて手の平に忍ばせる。
「……克兄ちゃん泣きたかったら泣いていいよ?柚希が隠してあげるから…。ね、こうして…。」
柚希は佐伯の頭を自分の肩に乗せるようにして背中を抱き、片手で佐伯の頭を撫でた。
「…!?…ゆず……ああ、昔のままのゆずだ…。」
佐伯は泣きこそしなかったが、目を閉じてされるままになっていた。
一瞬後、佐伯は柚希の唇を奪う…油断した!
「やはり、鷹宮を下して、ゆずを迎え入れる。」
私は柚希に決して当てない位置で佐伯に回し蹴りを放つ、がやはりかわされる。
「今度は迎えに行くよ、ゆず。飯でも食おう。」
「……これは何事だ?」
「涼一さんっ!」
柚希が心から安堵した表情になる。
「…佐伯とか言ったな。」
素性は調べたらしい。
涼一は佐伯をねめつけた後、私に視線を向ける。
「涼一の商売敵だそうだ。」
それだけ答えれば涼一ならわかるだろうと短く言う。
「って事は、中国の妨害はお前だな?」
そうやって涼一を日本から離したようだった。
「ゆず……柚希を渡せば今後一切鷹宮の邪魔はしないぞ?」
「柚希が居たらどんな妨害があろうと平気だ。そもそも俺は柚希を養う金があれば他は要らないんでな。」
言いながら涼一は、引き寄せた柚希に口付けた。
「んっ…んっ―!」
人前である事で恥ずかしいらしく、柚希は真っ赤になりながら慌てている。
私は見慣れているので特に思う事は無かったが、佐伯は私に意外そうな視線を向ける。
これぐらいで妬いていたら一緒になど居られないだろう。
「…わかった、今日は引き下がろう。ゆず、必ず攫いに行く。」
「っ…!」
涼一が口付けを離して、佐伯に殺気立って睨む。
佐伯は敢えて愛称で呼んで涼一を挑発した。
心配になって柚希を見ると今にも泣きそうな顔をしていた。
「柚希!」
思わず私が名前を叫んでしまうと、涼一も佐伯も気付いて明らかにオロオロしだす。
やはり柚希は強い。
佐伯が去ると涼一が何故ここに居るのかという疑問が漸く湧く。
確か海外に行って一週間は戻らない筈。
「佐伯の妨害を蹴散らした後、柚希から連絡を貰ってすぐプライベートジェットで戻った。海外っても今回は中国だったしな。」
「じゃあ一週間って言っても何かの時はすぐに戻れるんだ?でもあんまり迷惑掛けないようにするね。今回は御免なさい、リシェールが心配で…。」
柚希は私のために涼一に連絡を取っていたのか。
それを聞くだけで嬉しくなってしまう。
「柚希は何にも望んでくれないから、こういう風に頼られたいんだけどな?」
真っ赤になる柚希。
柚希を抱き締める涼一。
そっと離れて先に帰ろうと思った。
「リシェール。助かった。お前が居なかったら柚希がどんな目に合ってたか…。」
言いながら涼一が近付いて来た。
「入れ替わる案は涼一のアイデアだ。私は自分から乗っただけだ。」
「……その時も言ったが、あんまり無茶はするな。俺にとってはお前も大事な、身内だからな。」
「…有難う、涼一。」
「飯に行こう。」
涼一は私の頭をくしゃっとさせると、それだけ言って柚希の元に戻る。
家族が全員死んでしまった私にとって、嬉しい言葉だった。
side:リシェール
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