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第13話 沙羅さんは私の想い人―4
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逢坂親子を除いた関係者には、ロビー側のカフェで待機してもらっていた。ところが今私は、反対側のエレベーター近くで深く頭を下げられている。
今までしたことのない経験に、私は目を丸くした。
「本当に、申し訳ありませんでした!」
「あ、あ、あの?」
「堀井さんには、信じられないほどのご迷惑をおかけして……っ」
「朝比奈さん、顔を上げてください……!」
私の懇願を聞き入れた朝比奈恵さんが、ようやく頭を上げてくれた。さらりと揺れるロングヘアは、相変わらず絹糸みたいに綺麗だ。
「あの、いったい何に謝られているのか……」
「私の母が、貴女に大変なご迷惑をかけたと聞きました」
監禁のことを?
加世子さんを追求する場面に出くわした後、私の前の現れた沙羅さんはいつも通りの彼だった。
掻い摘んだ事情説明の後、警察に通報するか否かを再確認された。私が出した答えは否だった。タイガ君が今後危害を加えられることがないのなら、それでいいと思ったのだ。
そのこともあり、関係者にも日下部先生と除いて実状を説明することはしなかった。それなのに、彼女はどこまで事情を知らされているのだろう。
「私は、沙羅さんが好きです」
思わず、息をのんでしまう。
「以前お仕事を一緒にさせていただいたときに、真摯な態度の彼に、一瞬で惹かれました。彼はすごく優しくて、真っ直ぐで」
「っ、あ……」
「でも、こんなことになっては、きっともう」
俯いた彼女が、スカートの裾を握りしめる。
白くなった拳を眺めていると、その視界に一滴落ちていくのに気づいた。彼女はすぐさま目元を拭う。
「ごめ、なさい」
朝比奈さんは本当に沙羅さんが好きなんだ。それも、私よりもずっと前から。
「母には、私からもきつく言いました。もうこんなことは二度としないようにとお願いしました。こんな当たり前のことも目が行き届かなくて、本当に申し訳ないです」
「そんな、それだって、朝比奈さんのせいじゃありませんから」
「堀井さんは……優しい人ですね」
苦しみの中で咲いた彼女の儚げな笑顔に、胸がどきんと震える。
「私だったら、とてもそんな気丈には振る舞えません。それなのに、あなたは」
「あ、あの。確かに怖い思いはしました。でも、結果的にタイガ君も何も気づかないままで済みましたから」
「……本当ですか?」
必要以上に首を縦に振る。すると朝比奈さんは、ひどく安心したように息を吐いた。
「よかった。ほんの少しですけど、心が軽くなりました」
「ですから、そこまでで思い悩まないでください。さっきも言いましたが、朝比奈さんは何もしてないんですから……!」
「でもきっと……彼はそうは思わないから」
静かに告げられ、目を見張る。彼女に満ちたままの悲しみの根元は「そこ」なのだ。
告げることもできないまま、周囲の嵐に揉まれて消えるしかない恋。
「堀井さん」
「え?」
「こんなこと貴女に頼むのは、おこがましいことだとはわかってます。でも、私……っ」
再び感極まり始める朝比奈さんに、慌てて肩をさする。目元をぎゅっと押さえた後、大きな瞳がまっすぐ私を映し出した。
「貴女から、沙羅さんに取りなしてもらうわけには、いきませんか……?」
「……え?」
「母がしたことが、決して許されないこととはわかってます。それでも、やっぱり私、沙羅さんのこと……っ」
そこまで言うと、朝比奈さんは私の首もとにすがり泣き始めてしまった。
「堀井さんの言葉なら、きっと沙羅さんも耳を傾けてくれると思うんです」
「朝比奈、さ……」
「難しいでしょうか、堀井さん……っ」
肩口に感じる熱い涙の感触に、胸がぎゅっと苦しくなる。それはまるで、昨日までの私と同じだと思った。
想いを伝える前に叶わないと気づかされた、衝撃。沙羅さんの真摯な心に惹かれる、恋心。
誰かにすがり助けを求める、弱い気持ちも。
「それは、できません」
これ以上ないと言うくらい、固く強ばった声が出た。私の返答に一瞬だけ泣き声を止めた朝比奈さんが、静かに寄りかかっていた体を持ち上げる。
「朝比奈さんのお願いは、私にはきけません」
「ごめんなさい」はっきり告げ、深く頭を下げた。心臓が、胸を痛いくらいに叩いている。
改めて見つめた朝比奈さんは、濡れた瞳を大きく見開いていた。
「それに、沙羅さんはそんな人じゃないと思います。沙羅さんは、色眼鏡で人を判断する人じゃありません。朝比奈さんの想いは朝比奈さん個人のものとして、きちんと受け取ってくれる……そんな人です」
そう考えたから、私も自分の想いを伝えようと決心できたのだ。朝比奈さんは、表情を変えないまま私の言葉を聞いている。
「それにやっぱり、人を介して伝えるより、朝比奈さん自身の言葉で伝えた方が」
「はっきり言ったらいいじゃない。私も沙羅さんが好きだから、貴女に協力できないって」
……え?
見えないはずの空気が、青ざめた気がした。
「貴女も、沙羅さんが好きなんでしょう? だったら、綺麗事を並べないでそう言えばいいじゃないですか。ねえ、堀井さん」
言葉とは正反対の柔らかな笑みを向けられ、混乱する。
「でも、確か昨日言ってましたよ。沙羅さんにとって堀井さんは『あくまで友人』なんですって」
「!」
「そう考えれば、あなたも私と同じなんですよね。気持ちを伝えられないまま、想いを胸に閉じるしかない……悲しいですよね」
哀愁の表情を浮かべながら、肩にそっと朝比奈さんの手が乗せられる。
その手はとても美しく、重かった。
「最初に一緒にお仕事をさせてもらった時、彼はまだ慣れない私にとても優しくしてくれました。それで私、勘違いしてしまったんですね。沙羅さんはただ、誰にでも優しいというだけなのに」
そしてそれは、貴女も同じなのよ。そう言われた気がした。
「もしかしたら、貴女も私も、彼を忘れる努力をした方がいいのかもしれませんね」
「私は、諦めません」
肩に乗せられた朝比奈さんの手が、ぴくりと反応した。
「朝比奈さんの仰りたいことはわかります。でも、この気持ちは、どうしても諦められません」
「……」
「ですから、私は……、っ!」
その瞬間、彼女の美しく彩られた爪が、肩にぎりっとめり込むのを感じた。
「あ、朝比奈、さん?」
「使えませんね。どいつもこいつも」
一層強められた力に、眉を寄せる。ついに皮膚が裂けるような痛みが走るも、振りほどくことはしなかった。
だって、こんなことに、負けたくない……!
「その手を離してください」
冷たく落ちてきた声に、鋭い痛みが消えた。
「何をしているんですか、朝比奈さん」
沙羅さん。出かけた私の掠れ声は、朝比奈さんの明るい声にかき消された。
「いえ、何も。小鳥さんと意気投合して、少し話が盛り上がってしまって」
「ね?」華やかな笑顔で同意を求める彼女に、ぞくりと背筋が凍る。この人はプロの女優なんだと、今更ながら実感した。
「小鳥さん?」
「……は、い。すみませんでした。皆さんを連れてくると言ったのに、遅れてしまって」
「……そうですか」
穏やかな眼差しで告げた沙羅さんが、小さく頷いた。
かすかに疼く悔恨を、ぐっと胸の底にしまいこむ。まるで朝比奈さんに屈してしまったように見えただろうか。
でも、沙羅さんに告げ口するみたいなことはしたくない。
「朝比奈さん」
「はい。私もすぐに荷物を持ってきますね」
「俺は貴女に嘘を吐きました。小鳥さんは、あくまで友人だと」
「え……」
「小鳥さんは、他の誰よりも大切な人です」
引き寄せられた胸板に、そっと顔を押し当てられる。
「そして、大切な人のことは何をしても守り抜きます。犯罪紛いの手段を使われても……人を操るような、賢しい手段を使われても」
厳しい口調とは裏腹の、熱い言葉。
遅れて理解できた状況に、上せるような熱がこみ上げてくる。
「貴女は、きっと業界を担う女優になると思います」
腕の中に閉じこめられていて、二人の表情は見ることはできない。それでも、背後からかすかに息をのむ気配が届いた。
「嘘じゃありません。初めて貴女に会ったときに思いました。プロの女優というのは、こういう人のことを言うのだと」
「……」
「どうかこれからも、純粋に貴女を応援させてください。朝比奈さん」
「……ええ。もちろんです」
回されていた手がわずかに緩み、そっと後ろに視線を向ける。朝比奈さんはかすかに瞳を潤ませ、静かに頷いた。
先ほどまでの完璧な笑顔とは違う、感情が溢れた美しい笑顔だった。
今までしたことのない経験に、私は目を丸くした。
「本当に、申し訳ありませんでした!」
「あ、あ、あの?」
「堀井さんには、信じられないほどのご迷惑をおかけして……っ」
「朝比奈さん、顔を上げてください……!」
私の懇願を聞き入れた朝比奈恵さんが、ようやく頭を上げてくれた。さらりと揺れるロングヘアは、相変わらず絹糸みたいに綺麗だ。
「あの、いったい何に謝られているのか……」
「私の母が、貴女に大変なご迷惑をかけたと聞きました」
監禁のことを?
加世子さんを追求する場面に出くわした後、私の前の現れた沙羅さんはいつも通りの彼だった。
掻い摘んだ事情説明の後、警察に通報するか否かを再確認された。私が出した答えは否だった。タイガ君が今後危害を加えられることがないのなら、それでいいと思ったのだ。
そのこともあり、関係者にも日下部先生と除いて実状を説明することはしなかった。それなのに、彼女はどこまで事情を知らされているのだろう。
「私は、沙羅さんが好きです」
思わず、息をのんでしまう。
「以前お仕事を一緒にさせていただいたときに、真摯な態度の彼に、一瞬で惹かれました。彼はすごく優しくて、真っ直ぐで」
「っ、あ……」
「でも、こんなことになっては、きっともう」
俯いた彼女が、スカートの裾を握りしめる。
白くなった拳を眺めていると、その視界に一滴落ちていくのに気づいた。彼女はすぐさま目元を拭う。
「ごめ、なさい」
朝比奈さんは本当に沙羅さんが好きなんだ。それも、私よりもずっと前から。
「母には、私からもきつく言いました。もうこんなことは二度としないようにとお願いしました。こんな当たり前のことも目が行き届かなくて、本当に申し訳ないです」
「そんな、それだって、朝比奈さんのせいじゃありませんから」
「堀井さんは……優しい人ですね」
苦しみの中で咲いた彼女の儚げな笑顔に、胸がどきんと震える。
「私だったら、とてもそんな気丈には振る舞えません。それなのに、あなたは」
「あ、あの。確かに怖い思いはしました。でも、結果的にタイガ君も何も気づかないままで済みましたから」
「……本当ですか?」
必要以上に首を縦に振る。すると朝比奈さんは、ひどく安心したように息を吐いた。
「よかった。ほんの少しですけど、心が軽くなりました」
「ですから、そこまでで思い悩まないでください。さっきも言いましたが、朝比奈さんは何もしてないんですから……!」
「でもきっと……彼はそうは思わないから」
静かに告げられ、目を見張る。彼女に満ちたままの悲しみの根元は「そこ」なのだ。
告げることもできないまま、周囲の嵐に揉まれて消えるしかない恋。
「堀井さん」
「え?」
「こんなこと貴女に頼むのは、おこがましいことだとはわかってます。でも、私……っ」
再び感極まり始める朝比奈さんに、慌てて肩をさする。目元をぎゅっと押さえた後、大きな瞳がまっすぐ私を映し出した。
「貴女から、沙羅さんに取りなしてもらうわけには、いきませんか……?」
「……え?」
「母がしたことが、決して許されないこととはわかってます。それでも、やっぱり私、沙羅さんのこと……っ」
そこまで言うと、朝比奈さんは私の首もとにすがり泣き始めてしまった。
「堀井さんの言葉なら、きっと沙羅さんも耳を傾けてくれると思うんです」
「朝比奈、さ……」
「難しいでしょうか、堀井さん……っ」
肩口に感じる熱い涙の感触に、胸がぎゅっと苦しくなる。それはまるで、昨日までの私と同じだと思った。
想いを伝える前に叶わないと気づかされた、衝撃。沙羅さんの真摯な心に惹かれる、恋心。
誰かにすがり助けを求める、弱い気持ちも。
「それは、できません」
これ以上ないと言うくらい、固く強ばった声が出た。私の返答に一瞬だけ泣き声を止めた朝比奈さんが、静かに寄りかかっていた体を持ち上げる。
「朝比奈さんのお願いは、私にはきけません」
「ごめんなさい」はっきり告げ、深く頭を下げた。心臓が、胸を痛いくらいに叩いている。
改めて見つめた朝比奈さんは、濡れた瞳を大きく見開いていた。
「それに、沙羅さんはそんな人じゃないと思います。沙羅さんは、色眼鏡で人を判断する人じゃありません。朝比奈さんの想いは朝比奈さん個人のものとして、きちんと受け取ってくれる……そんな人です」
そう考えたから、私も自分の想いを伝えようと決心できたのだ。朝比奈さんは、表情を変えないまま私の言葉を聞いている。
「それにやっぱり、人を介して伝えるより、朝比奈さん自身の言葉で伝えた方が」
「はっきり言ったらいいじゃない。私も沙羅さんが好きだから、貴女に協力できないって」
……え?
見えないはずの空気が、青ざめた気がした。
「貴女も、沙羅さんが好きなんでしょう? だったら、綺麗事を並べないでそう言えばいいじゃないですか。ねえ、堀井さん」
言葉とは正反対の柔らかな笑みを向けられ、混乱する。
「でも、確か昨日言ってましたよ。沙羅さんにとって堀井さんは『あくまで友人』なんですって」
「!」
「そう考えれば、あなたも私と同じなんですよね。気持ちを伝えられないまま、想いを胸に閉じるしかない……悲しいですよね」
哀愁の表情を浮かべながら、肩にそっと朝比奈さんの手が乗せられる。
その手はとても美しく、重かった。
「最初に一緒にお仕事をさせてもらった時、彼はまだ慣れない私にとても優しくしてくれました。それで私、勘違いしてしまったんですね。沙羅さんはただ、誰にでも優しいというだけなのに」
そしてそれは、貴女も同じなのよ。そう言われた気がした。
「もしかしたら、貴女も私も、彼を忘れる努力をした方がいいのかもしれませんね」
「私は、諦めません」
肩に乗せられた朝比奈さんの手が、ぴくりと反応した。
「朝比奈さんの仰りたいことはわかります。でも、この気持ちは、どうしても諦められません」
「……」
「ですから、私は……、っ!」
その瞬間、彼女の美しく彩られた爪が、肩にぎりっとめり込むのを感じた。
「あ、朝比奈、さん?」
「使えませんね。どいつもこいつも」
一層強められた力に、眉を寄せる。ついに皮膚が裂けるような痛みが走るも、振りほどくことはしなかった。
だって、こんなことに、負けたくない……!
「その手を離してください」
冷たく落ちてきた声に、鋭い痛みが消えた。
「何をしているんですか、朝比奈さん」
沙羅さん。出かけた私の掠れ声は、朝比奈さんの明るい声にかき消された。
「いえ、何も。小鳥さんと意気投合して、少し話が盛り上がってしまって」
「ね?」華やかな笑顔で同意を求める彼女に、ぞくりと背筋が凍る。この人はプロの女優なんだと、今更ながら実感した。
「小鳥さん?」
「……は、い。すみませんでした。皆さんを連れてくると言ったのに、遅れてしまって」
「……そうですか」
穏やかな眼差しで告げた沙羅さんが、小さく頷いた。
かすかに疼く悔恨を、ぐっと胸の底にしまいこむ。まるで朝比奈さんに屈してしまったように見えただろうか。
でも、沙羅さんに告げ口するみたいなことはしたくない。
「朝比奈さん」
「はい。私もすぐに荷物を持ってきますね」
「俺は貴女に嘘を吐きました。小鳥さんは、あくまで友人だと」
「え……」
「小鳥さんは、他の誰よりも大切な人です」
引き寄せられた胸板に、そっと顔を押し当てられる。
「そして、大切な人のことは何をしても守り抜きます。犯罪紛いの手段を使われても……人を操るような、賢しい手段を使われても」
厳しい口調とは裏腹の、熱い言葉。
遅れて理解できた状況に、上せるような熱がこみ上げてくる。
「貴女は、きっと業界を担う女優になると思います」
腕の中に閉じこめられていて、二人の表情は見ることはできない。それでも、背後からかすかに息をのむ気配が届いた。
「嘘じゃありません。初めて貴女に会ったときに思いました。プロの女優というのは、こういう人のことを言うのだと」
「……」
「どうかこれからも、純粋に貴女を応援させてください。朝比奈さん」
「……ええ。もちろんです」
回されていた手がわずかに緩み、そっと後ろに視線を向ける。朝比奈さんはかすかに瞳を潤ませ、静かに頷いた。
先ほどまでの完璧な笑顔とは違う、感情が溢れた美しい笑顔だった。
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