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「……ん」
気づけば辺りには、温かくて豊かな匂いが立ちこめていた。
くつくつと小さく耳に届くのは、何かを煮詰める音だろうか。
伏せられたまつげに、ふわりと湯気が触れる心地がする。
……伏せられた?
「……っ!」
我に返った望は、がばりと顔を上げた。
瞬間、肩に乗せられていたものが床にするりと落ちていくのがわかる。
顔を上げた先には、少し小さめの鍋に向き合い口元を綻ばせている女性の横顔があった。
小皿に注いだ味を確かめた女性は、とても幸せそうに微笑む。
最愛の人に笑いかけるような表情に、望は一瞬目を奪われた。
「あ。目を覚まされたんですね」
「……っ、すみません。店内でうたた寝なんて、とんだご迷惑を……!」
「いえいえ。そんなに時間は経っていませんよ。十分弱といったところです」
気に留める風でもない女性だったが、望は内心冷や汗を掻いていた。
今日は重要書類を持ち帰ってはいないが、初見の場所で眠り込んでしまうなんて自分にとってはあり得ない。
先ほど肩から滑り落ちたものを拾い上げる。
ふわふわと柔らかな手触りの膝掛けだ。
どうやら女性がかけてくれたらしい。
「ここの開店時間は夜遅くですから。皆さんお疲れで、待ち時間に眠ってしまうこともそう珍しくはないんです」
「そ、そうですか」
「それに、不思議なことに皆さん、お料理ができあがる頃合いにはすうっと自然に起きてくださるんですよ」
ふふ、と微笑みながら、女性は手慣れた様子で器に料理を盛り付けていく。
小さな手で進められていく細やかな作業を眺めていると、あっという間に木製のトレー上に料理たちが出揃った。
カウンターを出た女性が、望の元まで歩みを進める。
「お待たせいたしました。お客さまの本日のお夜食、ロールキャベツでございます」
目の前に置かれたのは、ほかほかと温かな湯気をたたえた夜食たちだった。
真っ白にピンと立ち上がった白米に、中で味噌の濃淡がふわふわと揺れるお味噌汁。
そしてメインの器に控えるのは、きれいな俵型に整えられたロールキャベツだ。
着物のように美しく巻かれたキャベツは鮮やかな黄緑色で、豊かなだしの香りをたっぷりとまとっている。
「美味そうですね」
「ふふ。今の季節は、春キャベツが一番の旬なんですよ」
無意識に漏れていた言葉に、女性は嬉しそうに答えた。
「キャベツに含まれる主な栄養素はビタミンCやカルシウムがありますが、とくに特徴的なものがビタミンUです。こちらは胃薬に用いられることもある栄養素で、疲れた胃の働きを助けてくれると言れています。キャベツは大きく春キャベツと夏キャベツ、冬キャベツに分けられますが、今はまさに春キャベツの季節ですね」
「そうなんですね。春キャベツと冬キャベツは知っていましたが、夏キャベツは初めて聞きました」
「そうでしたか。冬キャベツは葉っぱは厚く、巻き具合が締まっていますね。煮込んでも形が崩れにくいことから、ロールキャベツやミルフィーユ煮におすすめとされることが多いです。夏キャベツは、春キャベツと冬キャベツの中間の特徴を持っていて、葉っぱは柔らかいですが巻き具合はきっちりしていますね」
「な、なるほど」
「春キャベツは巻き具合が優しく、葉っぱもとても柔らかいんです。煮物に向かないと言われることもありますが、そのぶん噛み切りやすくてとても食べやすいんですよ。よろしければぜひ、だし汁までお楽しみください。しみ出たキャベツの栄養素までしっかりお客さまの身体の一部になって、頼もしい応援団になってくれると思います!」
「……!」
高揚感を宿した赤色の頬に、小さなえくぼが見えた。
「ではどうぞ、ごゆっくり過ごされてくださいね」
「……ありがとうございます」
カウンターへと戻っていった彼女を見送り、望は今一度目の前に置かれたトレーを眺める。
ふわふわと食欲をそそる香りと、こちらを労るような淡い湯気。
思えばこんな風に食べ物とゆっくり向き合う時間も、久しくなかったように思う。
自分の身体の一部になる、頼もしい応援団──か。
手を合わせ、望はレンゲを手に取った。
ロールキャベツのだし汁をひとすくいし、口に運ぶ。
瞬間、口内に広がったまろやかな味わいが、身体にじんわりと沁みていくのがわかった。
手に取った箸で、キャベツをそっと解していく。
すると中からは、予想以上に色どり豊かなタネ部分が姿を見せた。
「ロールキャベツの中身は、挽肉とタマネギだけではないんですね」
「はい。鶏挽肉の中に、タマネギとにんじん、パプリカにブロッコリー、それから卵とお豆腐が入っています」
「すごいな。自分の想像以上に、たくさんの野菜が入っていたみたいです」
「お野菜もそうですが、特にお豆腐のタンパク質は優秀で、溜まった疲れを解してくれると言われているんですよ」
自分はそんなに疲れを溜めているように見えたのだろうか。
望は密かに苦笑するが、確かにそうかもしれないと思った。
いつもそれなりに多忙な仕事ではある。
しかし最近はそれに加え、プロジェクト主戦力の男性社員の妻が緊急入院になった。
彼の分の仕事は早急に現場で割り振られたものの、内容を熟知している自分に加わった業務割合はやはり小さくはない。
こういった事態は持ちつ持たれつなので、不満は特になかった。
それでもその分、仕事以外の時間は確実に削られていた。
必要があれば遠慮なく仕事を振ってくれと部下たちに言われても、この程度なら自分で対処できると判断し、キャパシティーを見誤った。
ああ。そうか。
自分は疲れていたのだな。
だから身体が無意識に、この店へと引き寄せてくれたのかもしれない。
何か、美味しいものを喰わせてほしいと。
「ご馳走さまでした」
「はい。お粗末さまでした」
代金の支払いを終えた望が丁寧に告げると、女性もまた深く頭を下げた。
そのとき、エプロンの胸元に留められた小さな名札に気づく。
淡い色彩のフェルトで作られたらしいそれは、どうやら手作りのようだった。
名前の横には可愛らしい人形の頭が添えられ、ダークブラウンのボブショートに緑色のベレー帽を被っている。
「素敵な名札ですね」
「お得意さまの奥さまが作ってくださったんです。お客さまに、私の名前をすぐに覚えていただけるようにと」
「そうでしたか」
それならば、自分が女性の名を覚えても差し支えないのだろうか。
誰に言い訳するわけでもなく心の中で呟くと、望は再度ちらりと女性の名札に視線をやった。
沙都。
花岡、沙都さん。
「よろしければまたどうぞお越しください。それから、お客さまにこちらを」
「え」
そう言って沙都から手渡されたのは、二つ折りに丁寧に畳まれた一枚の紙だった。
レジカウンターを出てから差し出されたそれに、思わずどきっと心臓が跳ねた。
「春キャベツをおうちでご笑味いただくときの、おすすめの調理レシピです。とても簡単なものなので、よろしければおうちでもぜひ作ってみてくださいね」
「……」
ああ、なるほど。
レシピか。
「それは、わざわざありがとうございます」
店員として向けられた厚意に、わずかでも期待してしまった自分が情けない。
落胆を気取られないように素早く笑顔を浮かべ、望はその紙を受け取った。
扉を開く。
夜が更けた街並みは星が瞬き、徐々に望を現実世界へと誘っていく。
それでも、訪れたときよりもよほど夜の街並みが美しく映っていた。
「ごはん、きちんと食べなくちゃ駄目ですよ」
振り返ると、扉先で何かを抱えながら見送る沙都がいる。
両手に抱えたそれは、大きな春キャベツだ。
「身体は食べたもので作られるんです。忙しいときほど、美味しいものを食べることを忘れないでくださいね」
「……はい。ありがとうございます」
まるで春キャベツを人形に見立てるみたいに話す沙都に、自然と笑みが漏れる。
今一度頭を深く下げ、望は今度こそ家路についた。
背中の向こうでは、春キャベツを抱えたあの人がいつまでも自分を見守ってくれているような気がした。
気づけば辺りには、温かくて豊かな匂いが立ちこめていた。
くつくつと小さく耳に届くのは、何かを煮詰める音だろうか。
伏せられたまつげに、ふわりと湯気が触れる心地がする。
……伏せられた?
「……っ!」
我に返った望は、がばりと顔を上げた。
瞬間、肩に乗せられていたものが床にするりと落ちていくのがわかる。
顔を上げた先には、少し小さめの鍋に向き合い口元を綻ばせている女性の横顔があった。
小皿に注いだ味を確かめた女性は、とても幸せそうに微笑む。
最愛の人に笑いかけるような表情に、望は一瞬目を奪われた。
「あ。目を覚まされたんですね」
「……っ、すみません。店内でうたた寝なんて、とんだご迷惑を……!」
「いえいえ。そんなに時間は経っていませんよ。十分弱といったところです」
気に留める風でもない女性だったが、望は内心冷や汗を掻いていた。
今日は重要書類を持ち帰ってはいないが、初見の場所で眠り込んでしまうなんて自分にとってはあり得ない。
先ほど肩から滑り落ちたものを拾い上げる。
ふわふわと柔らかな手触りの膝掛けだ。
どうやら女性がかけてくれたらしい。
「ここの開店時間は夜遅くですから。皆さんお疲れで、待ち時間に眠ってしまうこともそう珍しくはないんです」
「そ、そうですか」
「それに、不思議なことに皆さん、お料理ができあがる頃合いにはすうっと自然に起きてくださるんですよ」
ふふ、と微笑みながら、女性は手慣れた様子で器に料理を盛り付けていく。
小さな手で進められていく細やかな作業を眺めていると、あっという間に木製のトレー上に料理たちが出揃った。
カウンターを出た女性が、望の元まで歩みを進める。
「お待たせいたしました。お客さまの本日のお夜食、ロールキャベツでございます」
目の前に置かれたのは、ほかほかと温かな湯気をたたえた夜食たちだった。
真っ白にピンと立ち上がった白米に、中で味噌の濃淡がふわふわと揺れるお味噌汁。
そしてメインの器に控えるのは、きれいな俵型に整えられたロールキャベツだ。
着物のように美しく巻かれたキャベツは鮮やかな黄緑色で、豊かなだしの香りをたっぷりとまとっている。
「美味そうですね」
「ふふ。今の季節は、春キャベツが一番の旬なんですよ」
無意識に漏れていた言葉に、女性は嬉しそうに答えた。
「キャベツに含まれる主な栄養素はビタミンCやカルシウムがありますが、とくに特徴的なものがビタミンUです。こちらは胃薬に用いられることもある栄養素で、疲れた胃の働きを助けてくれると言れています。キャベツは大きく春キャベツと夏キャベツ、冬キャベツに分けられますが、今はまさに春キャベツの季節ですね」
「そうなんですね。春キャベツと冬キャベツは知っていましたが、夏キャベツは初めて聞きました」
「そうでしたか。冬キャベツは葉っぱは厚く、巻き具合が締まっていますね。煮込んでも形が崩れにくいことから、ロールキャベツやミルフィーユ煮におすすめとされることが多いです。夏キャベツは、春キャベツと冬キャベツの中間の特徴を持っていて、葉っぱは柔らかいですが巻き具合はきっちりしていますね」
「な、なるほど」
「春キャベツは巻き具合が優しく、葉っぱもとても柔らかいんです。煮物に向かないと言われることもありますが、そのぶん噛み切りやすくてとても食べやすいんですよ。よろしければぜひ、だし汁までお楽しみください。しみ出たキャベツの栄養素までしっかりお客さまの身体の一部になって、頼もしい応援団になってくれると思います!」
「……!」
高揚感を宿した赤色の頬に、小さなえくぼが見えた。
「ではどうぞ、ごゆっくり過ごされてくださいね」
「……ありがとうございます」
カウンターへと戻っていった彼女を見送り、望は今一度目の前に置かれたトレーを眺める。
ふわふわと食欲をそそる香りと、こちらを労るような淡い湯気。
思えばこんな風に食べ物とゆっくり向き合う時間も、久しくなかったように思う。
自分の身体の一部になる、頼もしい応援団──か。
手を合わせ、望はレンゲを手に取った。
ロールキャベツのだし汁をひとすくいし、口に運ぶ。
瞬間、口内に広がったまろやかな味わいが、身体にじんわりと沁みていくのがわかった。
手に取った箸で、キャベツをそっと解していく。
すると中からは、予想以上に色どり豊かなタネ部分が姿を見せた。
「ロールキャベツの中身は、挽肉とタマネギだけではないんですね」
「はい。鶏挽肉の中に、タマネギとにんじん、パプリカにブロッコリー、それから卵とお豆腐が入っています」
「すごいな。自分の想像以上に、たくさんの野菜が入っていたみたいです」
「お野菜もそうですが、特にお豆腐のタンパク質は優秀で、溜まった疲れを解してくれると言われているんですよ」
自分はそんなに疲れを溜めているように見えたのだろうか。
望は密かに苦笑するが、確かにそうかもしれないと思った。
いつもそれなりに多忙な仕事ではある。
しかし最近はそれに加え、プロジェクト主戦力の男性社員の妻が緊急入院になった。
彼の分の仕事は早急に現場で割り振られたものの、内容を熟知している自分に加わった業務割合はやはり小さくはない。
こういった事態は持ちつ持たれつなので、不満は特になかった。
それでもその分、仕事以外の時間は確実に削られていた。
必要があれば遠慮なく仕事を振ってくれと部下たちに言われても、この程度なら自分で対処できると判断し、キャパシティーを見誤った。
ああ。そうか。
自分は疲れていたのだな。
だから身体が無意識に、この店へと引き寄せてくれたのかもしれない。
何か、美味しいものを喰わせてほしいと。
「ご馳走さまでした」
「はい。お粗末さまでした」
代金の支払いを終えた望が丁寧に告げると、女性もまた深く頭を下げた。
そのとき、エプロンの胸元に留められた小さな名札に気づく。
淡い色彩のフェルトで作られたらしいそれは、どうやら手作りのようだった。
名前の横には可愛らしい人形の頭が添えられ、ダークブラウンのボブショートに緑色のベレー帽を被っている。
「素敵な名札ですね」
「お得意さまの奥さまが作ってくださったんです。お客さまに、私の名前をすぐに覚えていただけるようにと」
「そうでしたか」
それならば、自分が女性の名を覚えても差し支えないのだろうか。
誰に言い訳するわけでもなく心の中で呟くと、望は再度ちらりと女性の名札に視線をやった。
沙都。
花岡、沙都さん。
「よろしければまたどうぞお越しください。それから、お客さまにこちらを」
「え」
そう言って沙都から手渡されたのは、二つ折りに丁寧に畳まれた一枚の紙だった。
レジカウンターを出てから差し出されたそれに、思わずどきっと心臓が跳ねた。
「春キャベツをおうちでご笑味いただくときの、おすすめの調理レシピです。とても簡単なものなので、よろしければおうちでもぜひ作ってみてくださいね」
「……」
ああ、なるほど。
レシピか。
「それは、わざわざありがとうございます」
店員として向けられた厚意に、わずかでも期待してしまった自分が情けない。
落胆を気取られないように素早く笑顔を浮かべ、望はその紙を受け取った。
扉を開く。
夜が更けた街並みは星が瞬き、徐々に望を現実世界へと誘っていく。
それでも、訪れたときよりもよほど夜の街並みが美しく映っていた。
「ごはん、きちんと食べなくちゃ駄目ですよ」
振り返ると、扉先で何かを抱えながら見送る沙都がいる。
両手に抱えたそれは、大きな春キャベツだ。
「身体は食べたもので作られるんです。忙しいときほど、美味しいものを食べることを忘れないでくださいね」
「……はい。ありがとうございます」
まるで春キャベツを人形に見立てるみたいに話す沙都に、自然と笑みが漏れる。
今一度頭を深く下げ、望は今度こそ家路についた。
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