Mediocre Magic

第2章 始まりの地

第2話 死霊の還る場所レディベト 城奪還編

　地下から駆けあがり、必死にアシュトトの元へ向かった。教会の外には墓から這い出たアンデットの群れがアシュトトを取り囲むように立ち並んでいた。様子を伺っていた一体がアシュトト目掛けて飛びかかったかと思うと連鎖反応で次々と襲いかかっていった。
「やれやれ死者を使って人々を苦しめるのは何とも穏やかじゃないねぇ。この力を持ったリンネ様には同情するよ」
アシュトトが手に握る十字架のネックレスが柄となり、紫色のブレードが火を噴いた。
「哀れなる傀儡よ。土に還りたまえ。霊葬魔斬」
ブレードから黒い火が弾けると周りのアンデットに火が燃え移る。そして髑髏のような波紋が浮かび上がると瞬く間に燃え尽き土に還っていった。
アシュトトは戦闘後深く黙祷を捧げ死者を弔った。そのあまりの火力に驚き思わず見とれてしまった。
「やあ、ロレッタ。鍵は見つかったかい？」
アシュトトの言葉でロレッタは現実に戻った。
「は、はい。無事に手に入れてきました。それとアルカノアという女性にも出会いました。彼女にリンネ様を救うように託されました。アシュトトさんはすべて知った上で私をあそこに送ったんじゃないですか？あまりに鍵を手にするまでスムーズだったので驚いてしまいましたよ」
　ロレッタは城門を開ける鍵を取り出しアシュトトに渡した。
「そうか……アルカノア様にお会いに……」
アシュトトは小声で囁いた。その囁きに何か言いましたか？とロレッタは首を傾げた。
「いや、何でもないよ。そっか地下にも人がいたんだね。何より無事戻って来てくれて嬉しいよ。さあ、ここに長居しても追手が来てきりがない。急いで城に向かおう」
アシュトトはロレッタの手を取るとレディベトの外に向け駆け出した。
石碑の前を通り抜け、奥の橋に差し掛かった。ここを渡った先にアーデンシュレイン城が待ち構える。
　橋を渡り、進んで行くと開いた場所に髑髏を模した石碑が祀られていた。石碑には偉大なる王ここに眠ると記載されていた。
  石碑を見ようと止まった時、禍々しい紫色の光が轟き辺りを包み込んだ。