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第2章 始まりの地
第2話 死霊の還る場所レディベト 鍵奪還編
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アシュトトと共に訪れたレディベトの姿はひどいものだった。家屋は荒らされ、煙を挙げている建物もあった。町の中央には大きな石碑が立ち、数多くの名前が刻まれていた。そして背後に立ち並ぶ大量のお墓、その量に圧倒された。これが死者が還る墓標の町ということだろうか。
「これは住民のお墓ですか?」
「そう。そして歴戦の勇者の墓でもある。黒魔導士を食い止めようとし敗れた者たちも眠っていたんだがな。死霊として眠りから覚めてしまった。まあ、それを屍に戻してあげるのも僕の役目なんだけどね」
アシュトトはカバンから法具の入った箱を取り出した。棺桶のような形をした箱には厳重に鎖が絡みついていた。
「あそこの教会に目的の鍵が保管されているんだ。早速取りに行くぞ」
教会の窓は割れ中が垣間見えた。ぼろぼろの見た目から長年手入れされていないことが窺える。
教会の中は荒れていたが敵の存在は確認出来なかった。長椅子は無造作に朽ち果てステンドグラスの破片が至る所に散らばっていた。その破片が割れ歩く度に音を奏でた。何かいればこの音に感づき近寄って来るかもしれないと警戒心を常に研ぎ澄ませた。
「大丈夫、そんなに警戒しなくてももう既に周りを取り囲まれているさ。今、この教会は包囲されている」
アシュトトのその言葉にえっ……とそれはマズイのではないかと内心不安になった。でも敵の姿は見えないし一体いつの間に来たのと剣を抜き身構えた。
「そんなに身構えなくても大丈夫。ここは僕に任せて。君には重要な鍵の奪還に向かってもらう。あそこの祭壇の裏手、台の下に隠し通路を開けるスイッチがあるそれを押して地下に行ってくれ。地下は仕掛けで魔力を吸い取るトラップがあるが魔力を持たない君だからこそ問題なく奥までたどり着けるはずだ。頼んだよ。あとアクセサリーが君の手助けとなるはずだから手放さないようにね」
アシュトトは武器を取り周りに注意を向けた。ロレッタは言われた通り祭壇に向かった。
「これは住民のお墓ですか?」
「そう。そして歴戦の勇者の墓でもある。黒魔導士を食い止めようとし敗れた者たちも眠っていたんだがな。死霊として眠りから覚めてしまった。まあ、それを屍に戻してあげるのも僕の役目なんだけどね」
アシュトトはカバンから法具の入った箱を取り出した。棺桶のような形をした箱には厳重に鎖が絡みついていた。
「あそこの教会に目的の鍵が保管されているんだ。早速取りに行くぞ」
教会の窓は割れ中が垣間見えた。ぼろぼろの見た目から長年手入れされていないことが窺える。
教会の中は荒れていたが敵の存在は確認出来なかった。長椅子は無造作に朽ち果てステンドグラスの破片が至る所に散らばっていた。その破片が割れ歩く度に音を奏でた。何かいればこの音に感づき近寄って来るかもしれないと警戒心を常に研ぎ澄ませた。
「大丈夫、そんなに警戒しなくてももう既に周りを取り囲まれているさ。今、この教会は包囲されている」
アシュトトのその言葉にえっ……とそれはマズイのではないかと内心不安になった。でも敵の姿は見えないし一体いつの間に来たのと剣を抜き身構えた。
「そんなに身構えなくても大丈夫。ここは僕に任せて。君には重要な鍵の奪還に向かってもらう。あそこの祭壇の裏手、台の下に隠し通路を開けるスイッチがあるそれを押して地下に行ってくれ。地下は仕掛けで魔力を吸い取るトラップがあるが魔力を持たない君だからこそ問題なく奥までたどり着けるはずだ。頼んだよ。あとアクセサリーが君の手助けとなるはずだから手放さないようにね」
アシュトトは武器を取り周りに注意を向けた。ロレッタは言われた通り祭壇に向かった。
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