Mediocre Magic

猫町氷柱

文字の大きさ
上 下
26 / 29
第2章 始まりの地

第2話 死霊の還る場所レディベト 鍵奪還編

しおりを挟む
アシュトトと共に訪れたレディベトの姿はひどいものだった。家屋は荒らされ、煙を挙げている建物もあった。町の中央には大きな石碑が立ち、数多くの名前が刻まれていた。そして背後に立ち並ぶ大量のお墓、その量に圧倒された。これが死者が還る墓標の町ということだろうか。
「これは住民のお墓ですか?」
「そう。そして歴戦の勇者の墓でもある。黒魔導士を食い止めようとし敗れた者たちも眠っていたんだがな。死霊として眠りから覚めてしまった。まあ、それを屍に戻してあげるのも僕の役目なんだけどね」
アシュトトはカバンから法具の入った箱を取り出した。棺桶のような形をした箱には厳重に鎖が絡みついていた。
「あそこの教会に目的の鍵が保管されているんだ。早速取りに行くぞ」
教会の窓は割れ中が垣間見えた。ぼろぼろの見た目から長年手入れされていないことが窺える。
教会の中は荒れていたが敵の存在は確認出来なかった。長椅子は無造作に朽ち果てステンドグラスの破片が至る所に散らばっていた。その破片が割れ歩く度に音を奏でた。何かいればこの音に感づき近寄って来るかもしれないと警戒心を常に研ぎ澄ませた。
「大丈夫、そんなに警戒しなくてももう既に周りを取り囲まれているさ。今、この教会は包囲されている」
アシュトトのその言葉にえっ……とそれはマズイのではないかと内心不安になった。でも敵の姿は見えないし一体いつの間に来たのと剣を抜き身構えた。
「そんなに身構えなくても大丈夫。ここは僕に任せて。君には重要な鍵の奪還に向かってもらう。あそこの祭壇の裏手、台の下に隠し通路を開けるスイッチがあるそれを押して地下に行ってくれ。地下は仕掛けで魔力を吸い取るトラップがあるが魔力を持たない君だからこそ問題なく奥までたどり着けるはずだ。頼んだよ。あとアクセサリーが君の手助けとなるはずだから手放さないようにね」
アシュトトは武器を取り周りに注意を向けた。ロレッタは言われた通り祭壇に向かった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

傭兵アルバの放浪記

有馬円
ファンタジー
変わり者の傭兵アルバ、誰も詳しくはこの人間のことを知りません。 アルバはずーっと傭兵で生きてきました。 あんまり考えたこともありません。 でも何をしても何をされても生き残ることが人生の目標です。 ただそれだけですがアルバはそれなりに必死に生きています。 そんな人生の一幕

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

君が僕を呼んだから

radio
ファンタジー
「君が僕を呼んだから」 そんな声が聞こえた気がした。 そして俺は目を瞑った。 「ここはどこだ?」 目が覚めると暗い空間に俺はいた。 初めての作品です。 はめられた主人公が復讐する話。 つたない文章ですがお付き合い願えたら嬉しいです。

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

処理中です...