24 / 29
第2章 始まりの地
第2話 死霊の還る場所レディベト
しおりを挟む
「黒魔導士と何かあるのかい?まあ、彼らに何かしらの思いを持ってる人は数多くいるからね。ここで一緒に来て後悔しないと誓えるかい?少しでも弱い心があるならここで止まっていた方が身のためだよ」
今までとは違って冷たくあしらうような表情を浮かべていた。その顔はこれから先に待ち受ける困難を物語っていた。覚悟無き者は死ぬ恐れがある。だからこそその警鐘を鳴らしているのだ。
だがここで引き下がってしまっては到底レグナマリアには辿り着けないし、この先逃げ続けることになるだろう。それにロゼやマザーのためにもここで引き下がるわけにはいかない。そのために特訓を重ね、ここに立っているのだから。
「覚悟は当に出来ています。ここで逃げては犠牲になったみんなに顔向けできませんから」
凜とした顔つきでロレッタはアシュトトを見つめた。その真っすぐな曇りのない目と信念に折れたアシュトトの口角が上がった。
「君は不思議な子だ。その眼を見ていると何かやってくれそうな、そんな気がしてくる。いいよ、君の強い思いに免じてここからの同行を許可しようじゃないか」
上機嫌に笑いだしたアシュトトの姿を見て度肝を抜かれてしまったロレッタはただぼけっと立ち尽くすのだった。もしかして私の気持ちを試したの?と思いながら。
「な、なに笑ってるんですか」
「ああ、ごめんごめん。今から行くところは危険なところ、そして弱い心に憑りつく習性があるんだ。そこでどれくらいの覚悟があるか試させてもらったんだ。でも君なら大丈夫だと確信したよ。それにさっきの起点を利かせながらの戦い振りも実に面白い。君、魔法使えないでしょ?」
確信をつかれドキッとした。戦い方から察したのだろうか。それとも魔力感知が出来るのだろうか。どちらにせよ一番痛いところをつかれてしまったような気がした。
今までとは違って冷たくあしらうような表情を浮かべていた。その顔はこれから先に待ち受ける困難を物語っていた。覚悟無き者は死ぬ恐れがある。だからこそその警鐘を鳴らしているのだ。
だがここで引き下がってしまっては到底レグナマリアには辿り着けないし、この先逃げ続けることになるだろう。それにロゼやマザーのためにもここで引き下がるわけにはいかない。そのために特訓を重ね、ここに立っているのだから。
「覚悟は当に出来ています。ここで逃げては犠牲になったみんなに顔向けできませんから」
凜とした顔つきでロレッタはアシュトトを見つめた。その真っすぐな曇りのない目と信念に折れたアシュトトの口角が上がった。
「君は不思議な子だ。その眼を見ていると何かやってくれそうな、そんな気がしてくる。いいよ、君の強い思いに免じてここからの同行を許可しようじゃないか」
上機嫌に笑いだしたアシュトトの姿を見て度肝を抜かれてしまったロレッタはただぼけっと立ち尽くすのだった。もしかして私の気持ちを試したの?と思いながら。
「な、なに笑ってるんですか」
「ああ、ごめんごめん。今から行くところは危険なところ、そして弱い心に憑りつく習性があるんだ。そこでどれくらいの覚悟があるか試させてもらったんだ。でも君なら大丈夫だと確信したよ。それにさっきの起点を利かせながらの戦い振りも実に面白い。君、魔法使えないでしょ?」
確信をつかれドキッとした。戦い方から察したのだろうか。それとも魔力感知が出来るのだろうか。どちらにせよ一番痛いところをつかれてしまったような気がした。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。

白い結婚をめぐる二年の攻防
藍田ひびき
恋愛
「白い結婚で離縁されたなど、貴族夫人にとってはこの上ない恥だろう。だから俺のいう事を聞け」
「分かりました。二年間閨事がなければ離縁ということですね」
「え、いやその」
父が遺した伯爵位を継いだシルヴィア。叔父の勧めで結婚した夫エグモントは彼女を貶めるばかりか、爵位を寄越さなければ閨事を拒否すると言う。
だがそれはシルヴィアにとってむしろ願っても無いことだった。
妻を思い通りにしようとする夫と、それを拒否する妻の攻防戦が幕を開ける。
※ なろうにも投稿しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる