Mediocre Magic

猫町氷柱

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第2章 始まりの地

第2話 死霊の還る場所レディベト

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ロレッタはおじいさんに貰った地図を片手にレディベトを目指して歩んでいた。丁寧に最果ての地と書かれたおじいさんたちの家の場所もチェックされていた。
 第一の目的地であるレディベトまではそこまで距離は離れていない。間に森がありここを抜ければすぐのはずだった。なのに歩いても歩いても森を抜けない。もしかして迷子になってしまったのか。一先ず広く開いた箇所で焚火をたいた。こういう時にこそ冷静さを忘れてはいけない。
 焚火の火でお茶を沸かし、身体を温めた、一本道の見晴らしの良かった小道は気づけば霧が立ち込めていた。視界が完全に奪われるほど濃い濃霧に行く先を見ることが出来ない。
 (はぁ……困ったなぁ……これだけ濃い霧だとおばけとか出たりして)
不吉な感じが辺りに充満し、ついつい話をその思いに呼応するかのように周りの木々がざわめき出し、正面の霧の中から突如として黒い影が姿を現した。
 その影は徐々に霧を抜け姿を現した。ロレッタは老夫婦から与えられた銀の刀を抜き身構えた。ガチャガチャとその影が歩むごとに軋むような音が鳴り響いた。それは姿が骸骨だったから。しかも一体や二体といった数体という数じゃない足音を辿るに10体、20体近くはいるだろうか。
 手に剣を持つモノ、鍬を持ってるものなど様々なタイプがいた。それらは黒いローブを羽織り見えるのは顔だけだがやはりどう見ても骨だった。
(なんなのこいつら……一体どこから湧いてきたの)
全く気配は感じなかった。というよりも魔力の探知は出来ないから魔力がらみの幻術だとしたら厄介極まりない。
 骸骨たちはロレッタの方に歩み寄ると武器を高々と振り上げた。
(敵意丸だしね。今こそ修行の成果を見せる時)
  ロレッタは相手の攻撃を避ける。思ったほど攻撃は早くないから避けるのはたやすい。問題なのは数が多いこと。逃げ場がなくなれば圧倒的にこちらが不利になる。
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