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第1章過去編
第2話 地獄絵図
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血に塗れた口、そして黒く染まった瞳。その中に広がる黄色いつぶらな閃光がエドヴァンとマザーを捕らえた。
歯には人には似つかわしくない牙が生えていた。黒い修道服が返り血でべっとりと汚れていた。
「なぜです……なぜこのようなことを……リリユス=アルテミア!!」
エドヴァンは激高し、孤児の名を叫んだ。リリユスは無表情で首を鳴らした。そして、指を胸の前で構えると呪文を詠唱した。
するとリリユスの周りに闇の気配がほとばしった。空気が一気に変わる。重苦しい空気に追い打ちをかけるように空気が重みを帯びる。
「……………」
リリユスの目が赤い光を帯びた。
「リリユス……今ならまで引き返せる。罪を償いこちらへ戻って来るのだ」
リリユスにはこちらの声がまるで届いていないようだった。
「闇光線魔法スぺリマ……」
リリユスが手を前に翳し、指をエドヴァン達の方に向けると紫色の閃光が目にも止まらぬ速さで飛んできた。
危険を早急に察知したエドヴァンはマザーに覆い被さるように飛び退いた。倒れた拍子にエドヴァンの肩は射抜かれ風穴が明いた。そこから止めどなく血が溢れ、床を濡らす。
「すみません、エドヴァンわたくしのために……」
マザーの回復呪文で瞬時に蘇生した。細胞が活性化し、皮膚が瞬時に傷穴を埋めていく。
「いえ、私は当然のことをしたまでです。相手は小柄なリリユスですが魔が憑りついているようです。油断はしません」
「ええ、ですがなんとしてもリリユスの正気を取り戻させるのです」
エドヴァンは守護魔法を唱えた。鉄壁の鎧
頭と体を覆う竜族の鋼鉄の鎧が全身を覆った。
歯には人には似つかわしくない牙が生えていた。黒い修道服が返り血でべっとりと汚れていた。
「なぜです……なぜこのようなことを……リリユス=アルテミア!!」
エドヴァンは激高し、孤児の名を叫んだ。リリユスは無表情で首を鳴らした。そして、指を胸の前で構えると呪文を詠唱した。
するとリリユスの周りに闇の気配がほとばしった。空気が一気に変わる。重苦しい空気に追い打ちをかけるように空気が重みを帯びる。
「……………」
リリユスの目が赤い光を帯びた。
「リリユス……今ならまで引き返せる。罪を償いこちらへ戻って来るのだ」
リリユスにはこちらの声がまるで届いていないようだった。
「闇光線魔法スぺリマ……」
リリユスが手を前に翳し、指をエドヴァン達の方に向けると紫色の閃光が目にも止まらぬ速さで飛んできた。
危険を早急に察知したエドヴァンはマザーに覆い被さるように飛び退いた。倒れた拍子にエドヴァンの肩は射抜かれ風穴が明いた。そこから止めどなく血が溢れ、床を濡らす。
「すみません、エドヴァンわたくしのために……」
マザーの回復呪文で瞬時に蘇生した。細胞が活性化し、皮膚が瞬時に傷穴を埋めていく。
「いえ、私は当然のことをしたまでです。相手は小柄なリリユスですが魔が憑りついているようです。油断はしません」
「ええ、ですがなんとしてもリリユスの正気を取り戻させるのです」
エドヴァンは守護魔法を唱えた。鉄壁の鎧
頭と体を覆う竜族の鋼鉄の鎧が全身を覆った。
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