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第1章過去編
第2話 地獄絵図
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本棚の影に隠されたレバーを引くと本棚が横にスライドし地下への梯子が姿を現した。
「さて、急いでいきましょう。禁書はこの奥にあります」
エドヴァンとマザーは中に入ると再び秘密の入口を閉鎖した。ここは魔力の痕跡を消す部屋でもあることから他の魔族に探知される恐れはない。マザーは光魔法アルテナを唱え、辺りに光の空間をもたらした。
足元に優しい光が照りつき辺りの様子が分かるようになった。少し湿っぽい空気が充満し、埃っぽさは否めない。狭い廊下は人二人が横に並んで通れるほどの幅だった。
しばらくそんな道が続くと目の前に重厚な扉が見えた。この先に子供たちが先に避難しているはず、そしてその奥にマザーのみ入ることを許されている部屋がある。そこに禁書が封印されているのだ。
マザーは扉に向かって祈りを捧げた。すると扉に刻まれた魔法陣が赤く照り輝きロックが解除された。エドヴァンがマザーの代わりに重い扉を開くと中から香しい臭いが中から溢れ出した。まるで蓋を外されたシュールストレミングのような激しい刺激臭が鼻を駆け抜けた。
マザーは再び、咳込みその場にうずくまった。エドヴァンはマザーの手を肩に掛け部屋の中に入り、絶望の光景に目を疑った。
目の前に広がる悲惨な惨状。床に転がる教え子の孤児の亡骸が無数に転がっていた。繋がっていた首から切断された者、小さな体から悍ましいほどの血涙が滴り床に溢れこびり付いていた。全部で10人の亡骸。そして、奥に背後を向いた形で1人立っている子供がいた。
その子の手には鉈が握られていた。その鉈から血が滴り落ち床に流れていた。エドヴァン達の視線、気配に気づいたのか、その子はこちらを振り返った。
「さて、急いでいきましょう。禁書はこの奥にあります」
エドヴァンとマザーは中に入ると再び秘密の入口を閉鎖した。ここは魔力の痕跡を消す部屋でもあることから他の魔族に探知される恐れはない。マザーは光魔法アルテナを唱え、辺りに光の空間をもたらした。
足元に優しい光が照りつき辺りの様子が分かるようになった。少し湿っぽい空気が充満し、埃っぽさは否めない。狭い廊下は人二人が横に並んで通れるほどの幅だった。
しばらくそんな道が続くと目の前に重厚な扉が見えた。この先に子供たちが先に避難しているはず、そしてその奥にマザーのみ入ることを許されている部屋がある。そこに禁書が封印されているのだ。
マザーは扉に向かって祈りを捧げた。すると扉に刻まれた魔法陣が赤く照り輝きロックが解除された。エドヴァンがマザーの代わりに重い扉を開くと中から香しい臭いが中から溢れ出した。まるで蓋を外されたシュールストレミングのような激しい刺激臭が鼻を駆け抜けた。
マザーは再び、咳込みその場にうずくまった。エドヴァンはマザーの手を肩に掛け部屋の中に入り、絶望の光景に目を疑った。
目の前に広がる悲惨な惨状。床に転がる教え子の孤児の亡骸が無数に転がっていた。繋がっていた首から切断された者、小さな体から悍ましいほどの血涙が滴り床に溢れこびり付いていた。全部で10人の亡骸。そして、奥に背後を向いた形で1人立っている子供がいた。
その子の手には鉈が握られていた。その鉈から血が滴り落ち床に流れていた。エドヴァン達の視線、気配に気づいたのか、その子はこちらを振り返った。
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