Mediocre Magic

猫町氷柱

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第1章過去編

第1話 聖なる森

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 薄っすらと霧が立ち込めてきた。足元もおぼつかないこの地表では最悪の天候である。どんどん霧が濃くなり足元を雲が覆っているかのような状態に陥った。方向感覚とロザの姿がたちまち霧に隠れてしまった。

「ロザ、どこにいるの?」
完全に姿が見えなくなって不安を感じた私は大声を出した。辺りから謎の共鳴音が鳴り響く、どこか鈍い重低音が合唱を奏でていた。その音は脳をかき混ぜ平衡感覚を欠如させていく。
目の前が歪むと共に三半規管が異常をきたし、猛烈な吐き気を催した。床に這いつくばり意識が遠のく中、目の前に巨大な黄色い目がギロリとロレッタのことを捉えた。大きな黒い影の中からひものようなものが飛び出、ロレッタに巻き付いた。
 ひどくべとついた何か……これはベロ??認識と共に一気に暗がりへ引きづり込まれかけた。

 ロレッタは舌に絡まれながらもなんとか呑み込まれまいと必死に抵抗した。とその時辺りに赤い魔法陣が姿を魅せた。

 「血肉へと帰りたまえ煉獄の炎、煉獄の鎮魂歌バーニングカーニバル
突如、高熱の焔柱の渦が巻き起こり、魔物を喰らいつくしていった。するとようやく霧が晴れ夜空が姿を現した。夜なのに霧に惑わされるなんて本当に不思議な土地だと感じた。これも魔法が生み出す幻惑なのだろうかと……

ロザが即座にロレッタの元に駆け寄った。

「ロレッタ……怪我はない??」
優しい瞳が私の顔を覗き込んだ。ロザはどうやら私の位置を探知魔法で感知し、そこに混ざっていた獣の匂いを頼りに炎魔法で焼き払ったという。
その後に残った黒き灰からここの主の殺人蛙だったことが窺えた。
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