255 / 256
7 お化け屋敷と空中ブランコ
40
しおりを挟む
それを聞いた久遠は、安心したように、胸に手をあて目をつむり、肩を落とした。
一体久遠になにがあったのか。ますます気になってきたが、みんなの前でいうことを、断固として拒否している久遠を見て、乙葉は二人に、なにがあったのか聞くことを、すんなりとあきらめた。柚子も、なにも言わないところを見るかぎり、乙葉とおなじなのだろう。
「ねえ、はやく家に帰ろー」
これまでなにも言わずに、空中でのんきに浮いていたルーカスが、はやく夕飯を食べたいのか、その場の空気をいいようにこわし、みんなを急かして言った。
「そうね、私、お腹が減ったわ」
柚子も同調した。
「まだ話は終わってないんだが」
京一は、ムッとした顔をしながら、イライラしているように見えた。
「もう、かたいこと言わないでよ。すこしくらいなら、遊んだって別に、かまわないでしょう? 鍵探しばかりしていたら、ストレスがたまっちゃうもの」
もう完全にバレているとわかり、とうとう開き直った乙葉が、堂々とそう言った。
「そうそう! そうだよ」
ルーカスが頷きながら言った。
「僕たち、一回ずつしか、空中ブランコに乗ってないんだよ。まあ、僕は二回だけど……でも、あとはずっと鍵探しだから」
「一回ならいいと思うなよ。そんなの鍵探しが終わったあとに、いくらでもできるんだから」
もう京一は、完全に怒っていた。
「それは、たしかにそうだけど……」
怒っている京一を前に、乙葉は言い淀んだ。
「ちゃんと鍵探しに集中しろよ」
京一は真剣だ。
乙葉はどうしようか迷ったが、最終的に言い返す言葉も見つからず、うつむきながら、
「——ごめん」と言った。
そして、柚子とルーカスの二人も、乙葉につられて、反省してしゅんとしていた。
そんな三人を見た京一は、長いため息をもらし、
「俺たちには、時間がないんだ。一度だけは見逃してやるけど、次はないと思えよ」と、きびしく言った。
一体久遠になにがあったのか。ますます気になってきたが、みんなの前でいうことを、断固として拒否している久遠を見て、乙葉は二人に、なにがあったのか聞くことを、すんなりとあきらめた。柚子も、なにも言わないところを見るかぎり、乙葉とおなじなのだろう。
「ねえ、はやく家に帰ろー」
これまでなにも言わずに、空中でのんきに浮いていたルーカスが、はやく夕飯を食べたいのか、その場の空気をいいようにこわし、みんなを急かして言った。
「そうね、私、お腹が減ったわ」
柚子も同調した。
「まだ話は終わってないんだが」
京一は、ムッとした顔をしながら、イライラしているように見えた。
「もう、かたいこと言わないでよ。すこしくらいなら、遊んだって別に、かまわないでしょう? 鍵探しばかりしていたら、ストレスがたまっちゃうもの」
もう完全にバレているとわかり、とうとう開き直った乙葉が、堂々とそう言った。
「そうそう! そうだよ」
ルーカスが頷きながら言った。
「僕たち、一回ずつしか、空中ブランコに乗ってないんだよ。まあ、僕は二回だけど……でも、あとはずっと鍵探しだから」
「一回ならいいと思うなよ。そんなの鍵探しが終わったあとに、いくらでもできるんだから」
もう京一は、完全に怒っていた。
「それは、たしかにそうだけど……」
怒っている京一を前に、乙葉は言い淀んだ。
「ちゃんと鍵探しに集中しろよ」
京一は真剣だ。
乙葉はどうしようか迷ったが、最終的に言い返す言葉も見つからず、うつむきながら、
「——ごめん」と言った。
そして、柚子とルーカスの二人も、乙葉につられて、反省してしゅんとしていた。
そんな三人を見た京一は、長いため息をもらし、
「俺たちには、時間がないんだ。一度だけは見逃してやるけど、次はないと思えよ」と、きびしく言った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
【完結】だるま村へ
長透汐生
児童書・童話
月の光に命を与えられた小さなだるま。 目覚めたのは、町外れのゴミ袋の中だった。
だるまの村が西にあるらしいと知って、だるまは犬のマルタと一緒に村探しの旅に出る。旅が進むにつれ、だるま村の秘密が明らかになっていくが……。
転校生はおんみょうじ!
咲間 咲良
児童書・童話
森崎花菜(もりさきはな)は、ちょっぴり人見知りで怖がりな小学五年生。
ある日、親友の友美とともに向かった公園で木の根に食べられそうになってしまう。助けてくれたのは見知らぬ少年、黒住アキト。
花菜のクラスの転校生だったアキトは赤茶色の猫・赤ニャンを従える「おんみょうじ」だという。
なりゆきでアキトとともに「鬼退治」をすることになる花菜だったが──。
夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~
世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。
友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。
ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。
だが、彼らはまだ知らなかった。
ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。
敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。
果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか?
8月中、ほぼ毎日更新予定です。
(※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)

弟は、お人形さんになりました
るい
絵本
あるところに、お母さん、お父さん、お兄ちゃん、弟くんの4人で出来た、ごく普通の家庭がありました。
この家族は貧しくもなければ潤沢な訳でもなく、ごくごく普通の家庭でした。
お母さんは優しいし、お父さんはサラリーマン、お兄ちゃんはたくましい。
でも弟くんは、お人形さん。
【注】このお話は少しホラーテイストになっております。苦手な方は十分注意の上閲覧ください。
そうして、女の子は人形へ戻ってしまいました。
桗梛葉 (たなは)
児童書・童話
神様がある日人形を作りました。
それは女の子の人形で、あまりに上手にできていたので神様はその人形に命を与える事にしました。
でも笑わないその子はやっぱりお人形だと言われました。
そこで神様は心に1つの袋をあげたのです。
大嫌いなキミに愛をささやく日
またり鈴春
児童書・童話
私には大嫌いな人がいる。
その人から、まさか告白されるなんて…!
「大嫌い・来ないで・触らないで」
どんなにヒドイ事を言っても諦めない、それが私の大嫌いな人。そう思っていたのに…
気づけば私たちは互いを必要とし、支え合っていた。
そして、初めての恋もたくさんの愛も、全部ぜんぶ――キミが教えてくれたんだ。
\初めての恋とたくさんの愛を知るピュアラブ物語/
ICHIZU~とあるコーギー犬の想い~
花田 一劫
児童書・童話
ママちゃん大好きなコーギー犬のラム。「ハアッ・ハアッ」ラムの犬生が終わろうとしていた。ラムの苦しさが無くなったが、それはあの世の世界だった。ラムはそれを知らずにママちゃんを探した。 そこに津軽弁で話す神と思われるケヤグ(仲間)が現れた。神の力でラムはママちゃんに会えるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる