ルーカスと呪われた遊園地（上）

７ お化け屋敷と空中ブランコ

３９

　京一が、おそろしい顔でそう言った。
「えーっと……」
　気まずそうに、顔を引きつらせながら、乙葉が言った。
　これはまずい。
　京一は、ルーカスの言葉を、途中までしか聞いていなかったにもかかわらず、空中ブランコという単語を、ぴったり言い当ててきた。
　このままなにも言わなければ、バレずにすんだことが、ルーカスのうっかりによって、非常にまずい状況になってしまった。
　どうしたものかと、乙葉がうろたえながら、考えていると、
「お前ら、俺たちが、真剣に鍵を探している時に、三人でのんきに、遊んでいたってわけか？」と、京一がいっさい笑わずに、低い声でそう言った。
「あら、なんのことかしら？」
　うそがあまり得意ではない乙葉は、京一と目を合わせず、明後日の方向を見ながら、不自然にそう言った。
「とぼけるなよ」
　きっぱりと京一が言った。
「でもさあ、それを言うなら、京一くんと久遠さんの二人だって、なんだかあやしいと思うわ」
　とっさに柚子が、乙葉に助け舟を出した。
「どういうことだ？」
　眉をしかめて、京一が言った。
「だって久遠さん。最初に会った時、あきらかに私たちから目をそらしていたし、なにか隠しているんじゃないかと思って」
　柚子が言った。
　乙葉は、柚子もそう思っていたことを意外に思いながら、心の中で、柚子ナイス！　と思っていた。
「それはこいつが——」
　京一が、なにかを言いかけていたようだったが、久遠のなにかを拝むような、強い眼差しを受けて、途中でいうのをやめたように見えた。
「こいつが？」
　乙葉が聞きかえした。
　しかし、京一は、となりにいた久遠が、首をはげしく横に振っているのを見て、
「なんでもない」と言った。