ルーカスと呪われた遊園地（上）

７ お化け屋敷と空中ブランコ

３８

　それを聞いた京一は、すかさず、
「え？　楽しかった？」と聞きかえした。
　一体なんのことだと言わんばかりの、不審な顔つきをしている。
　乙葉と柚子はぎくっとして、額から汗を滴したたらし、バツの悪そうな顔をして、その場で静止した。
「鍵探しが楽しかったのか？　ルーカス」
　絶対に聞き逃すまいというような態度で、京一が追求した。
「ううん。鍵探しじゃなくて、空中ブ……」
　ルーカスがすべてを言いきる前に、乙葉と柚子は急いで、ルーカスの口元を、手でふさいだ。
　するとルーカスは、
「うっ」という声を出すと同時に、手足をバタバタさせて、二人の手から逃れようとした。
「ちょっと！　ルーカス！」
　柚子が焦りながら言った。
　その横では、乙葉が、
「あはは、まったく、なにを言ってるのかしら、ルーカスったら」と、必死に笑って誤魔化した。
　京一はその様子を、腕を組んで、疑いの眼差しで見ていた。その一方で、久遠は、混乱した顔で三人を見ている。
「ぷはー！」
　やっと、乙葉と柚子の手から逃れたルーカスが、大きく息を吐いた。
　そして、急に怒った顔になると、
「もう、二人とも！　なにするの？」と言った。
「だって、ルーカス、それは言っちゃいけないって、何度も言っておいたでしょ？　忘れちゃったの？」
　乙葉が京一たちに聞こえないくらいの小声で、ルーカスに言った。
　するとルーカスは、いまさら思い出したというような様子で、
「あっ、そうだった！」と、大きな声で言った。
　それを聞いた乙葉は、呆れた顔でルーカスを見た。
「で、お前たち、空中ブ、ランコがどうしたって？」