ルーカスと呪われた遊園地（上）

７ お化け屋敷と空中ブランコ

３７

　ルーカスを見るなり、二人が口々にいうのを、すこし遠くから歩きながら、乙葉と柚子が聞いていた。
「えへへー」
　ルーカスはとくになにも言わず、二人に向かって、笑いかけているのが見える。
「鍵は見つかったか？」
　京一がルーカスに向かって聞いた。
「見つかってないよ。そっちは？」
　ルーカスが言った。
「こっちも見つからなかった」
　がっかりした様子の京一が言った。
「まあ、そんなに落ち込まないでよ」
　お気楽に、ルーカスが京一を励ました。
　すると、三人が話している場所に、あとから乙葉と柚子の二人が、京一たちの元へと、歩いてやってきた。
「二人とも、おつかれさま！」
　明るく乙葉が言った。
「乙葉さんたちも、おつかれさまです」
　なぜか気まずそうに、乙葉から目をそらしながら、久遠が言った。
　乙葉は、なんだか久遠の様子が、すこしおかしいと思った。
　なにかあったのだろうか。乙葉は気になって、久遠の顔を、しばらくじっと見つめた。
「えっと、な、なんですか？　僕の顔に、なにかついてますか？」
　頬を赤く染めながら、動揺した久遠が言った。
「あ、ううん。ごめん、なんでもないの」
　乙葉は即座に否定した。
「そうですか？」
　首をかしげながらそう言ったあと、
「僕、今日初めて、この遊園地で鍵を探しましたけど、けっこう大変なんですね。最初は、たいしたことじゃないと思っていたんですけど、正直、舐めてました」と、笑いながら、すこしつかれたように、久遠が言った。
　そこへ、ルーカスがふわふわと浮かびながら、
「へえ、そうだったんだ！　でも、僕たちは楽しかったよね？　ね、二人とも」といい、乙葉と柚子に向かって、満面の笑みを浮かべた。