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7 お化け屋敷と空中ブランコ
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「それもそうですよね……はは、僕、なんだかすごくパニックになってて、本当に人間がいるのかと思っちゃいましたよ」
京一に、天然だとばかにされるのではないかと、不安に思いながら久遠が言った。
しかし意外にも、京一は久遠のことをばかにする様子はなく、
「なに言ってんだか」というだけだった。
久遠はその京一の反応に、安心してホッとした。
しかしそれから、すぐに深刻な顔をして、
「でもですよ。人間じゃないにしても、あんな危険なカラクリが、お化け屋敷にあるだなんて、通常の遊園地のアトラクションにしては、ちょっと過激すぎだと思いませんか?」と、声を低くして言った。
「たしかに」
京一が言った。
「それについては、俺も久遠とおなじことを思ってた。ああいうのがひとつでもあるっていうことは、この遊園地にはまだまだほかにも、危険なアトラクションがあるっていうことで、まちがいないだろう」
「油断なりませんね」
久遠の言葉に、京一はうなずいた。
「でも少なくとも、このお化け屋敷では、もうあんなことは起こらないから、安心しろよ」
京一が言った。
「本当ですか? よかったー」
うなだれながら、久遠が言った。
「大げさだな」
京一が言うと、久遠は京一をうらめしそうな目で見た。
「それはですよ、この雰囲気だけでもこわいっていうのに、生命の危険になるようなことまであったら、僕は心臓がいくつあっても、足りないと思ったからであって……」
すると、久遠は途中で、自分が言ってしまった失言に気づいて、ハッとした。
そしておそるおそる京一を見ると、意地悪そうにこちらを見て、にやにやしているのがわかった。
「な、なんですか?」
京一に、天然だとばかにされるのではないかと、不安に思いながら久遠が言った。
しかし意外にも、京一は久遠のことをばかにする様子はなく、
「なに言ってんだか」というだけだった。
久遠はその京一の反応に、安心してホッとした。
しかしそれから、すぐに深刻な顔をして、
「でもですよ。人間じゃないにしても、あんな危険なカラクリが、お化け屋敷にあるだなんて、通常の遊園地のアトラクションにしては、ちょっと過激すぎだと思いませんか?」と、声を低くして言った。
「たしかに」
京一が言った。
「それについては、俺も久遠とおなじことを思ってた。ああいうのがひとつでもあるっていうことは、この遊園地にはまだまだほかにも、危険なアトラクションがあるっていうことで、まちがいないだろう」
「油断なりませんね」
久遠の言葉に、京一はうなずいた。
「でも少なくとも、このお化け屋敷では、もうあんなことは起こらないから、安心しろよ」
京一が言った。
「本当ですか? よかったー」
うなだれながら、久遠が言った。
「大げさだな」
京一が言うと、久遠は京一をうらめしそうな目で見た。
「それはですよ、この雰囲気だけでもこわいっていうのに、生命の危険になるようなことまであったら、僕は心臓がいくつあっても、足りないと思ったからであって……」
すると、久遠は途中で、自分が言ってしまった失言に気づいて、ハッとした。
そしておそるおそる京一を見ると、意地悪そうにこちらを見て、にやにやしているのがわかった。
「な、なんですか?」
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