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7 お化け屋敷と空中ブランコ

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 とぎれとぎれに、京一が怒ったように言った。
 その答えにたいして、久遠はなにも言わず、ただ身をまかせた。
 それから、京一のくわえた火事場の馬鹿力により、久遠はしだいに、橋の上へとあげられていった。
 川から伸びている手の力も強かったけれど、どうやら京一の力には、とうてい敵わなかったようだ。久遠の足をつかんでいた四本の手は、足からさっと手を離すと、大人しく退散するように、川の中へと潜っていった。
 久遠が完全に橋の上へとあげられると、京一は残りの、久遠の足をつかんでいる二本の手を、思いきり力をこめて何度か踏みつぶした。
 すると、川の中にいるであろう人物の手は、ビクッと動いて、そのまま他の二人とおなじように、川に向かって、一目散に逃げていった。
 その様子を、最後まで見届けた京一は、
「久遠、大丈夫か?」と、心配したような声で言った。
 しかし、久遠は下を向いたまま、なにも言わなかった。
「おい、久遠。どうしたんだよ」
 ふたたび京一が話しかけても、久遠は放心状態になっていて、変わらず無言をつらぬいていた。
 それですっかり、京一は呆れた様子になって、
「あのさあ久遠。一つ聞きたいことがあるんだけど、お前、なんであの手に引っ張られてる時、最後まで抵抗しなかったんだ?」と、履いていたズボンのポケットに、両手を突っ込みながら言った。
「なんでって言われても……」
 返答に困りながら久遠が言った。
「もう力が出せなくて、限界だったからか? でも俺には、まだ力が残っているように見えたけどな。それなのにお前は、あきらめて無抵抗になっていた」
 京一が言った。
「え……?」
 久遠はおどろいて京一を見た。
(なんで、なんでわかるんだろう……)
 京一には久遠の考えていたことが、全部お見通しのようだ。しかし、なぜなのか久遠にはわからず、ひたすら疑問に思った。
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