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7 お化け屋敷と空中ブランコ
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「くるって、な、なにがくるんですか?」
おびえながら久遠が言った。
しかし、京一はなにも言わずに、ふたたび先を進みはじめた。
久遠にはそれが、なにがなんだかさっぱりわからなかった。まわりを見たかぎりでは、別に、変わったところはなにもなかったはずだ。それなのに、なにに気をつければいいというのか。
久遠がそう考えながら歩いていると、すでに先へと進んでいた京一が、また、橋の上を勢いよくとんだ。
「こいつら、しつこいな」
うっとうしそうに、京一が言った。
なにも見えていない久遠には、京一の言っている、こいつらとは一体誰のことなのか、疑問に思うばかりだった。
すると突然、久遠は何者かに両足を引っぱられ、
「うわあああっ」と、大声を上げながら、橋の上に倒れた。
そしてそのまま、橋の下に向かって、ずるずると引きずられていく。
「久遠! ああ、だからあれほど言ったのに」
京一は久遠を見ながら、小さく舌打ちをした。
(誰かに足を引っぱられている。それもすごく強い力だ)
久遠はどんどん引きずられていき、ついには橋から体をほうり出され、川に落とされそうになった。それでとっさに、欄干を両手で握りしめ、なんとか落ちることをまぬがれた。
「下に落ちなくてよかった……」
ひやひやしながら、久遠が言った。
そこで久遠はようやく、誰かにつかまれている自分の足元を見た。
すると、青白く、不自然に長い二本の手が、久遠の両足を、ガッチリとつかんでいるのがわかった。
「ひっ」
久遠は短く悲鳴を上げた。
そしてよく見ると、どうやら、その手は川から出ているようだった。つまりは、川の中に誰かがいて、久遠をどこかに引きずり込もうとしている、ということだろうか。
いままで京一が、
「足元に気をつけろ」と言っていた意味が、ここでようやく理解できた。でも同時に、きちんと説明してくれたらよかったのに、と京一を責める気持ちが出てきた。
おびえながら久遠が言った。
しかし、京一はなにも言わずに、ふたたび先を進みはじめた。
久遠にはそれが、なにがなんだかさっぱりわからなかった。まわりを見たかぎりでは、別に、変わったところはなにもなかったはずだ。それなのに、なにに気をつければいいというのか。
久遠がそう考えながら歩いていると、すでに先へと進んでいた京一が、また、橋の上を勢いよくとんだ。
「こいつら、しつこいな」
うっとうしそうに、京一が言った。
なにも見えていない久遠には、京一の言っている、こいつらとは一体誰のことなのか、疑問に思うばかりだった。
すると突然、久遠は何者かに両足を引っぱられ、
「うわあああっ」と、大声を上げながら、橋の上に倒れた。
そしてそのまま、橋の下に向かって、ずるずると引きずられていく。
「久遠! ああ、だからあれほど言ったのに」
京一は久遠を見ながら、小さく舌打ちをした。
(誰かに足を引っぱられている。それもすごく強い力だ)
久遠はどんどん引きずられていき、ついには橋から体をほうり出され、川に落とされそうになった。それでとっさに、欄干を両手で握りしめ、なんとか落ちることをまぬがれた。
「下に落ちなくてよかった……」
ひやひやしながら、久遠が言った。
そこで久遠はようやく、誰かにつかまれている自分の足元を見た。
すると、青白く、不自然に長い二本の手が、久遠の両足を、ガッチリとつかんでいるのがわかった。
「ひっ」
久遠は短く悲鳴を上げた。
そしてよく見ると、どうやら、その手は川から出ているようだった。つまりは、川の中に誰かがいて、久遠をどこかに引きずり込もうとしている、ということだろうか。
いままで京一が、
「足元に気をつけろ」と言っていた意味が、ここでようやく理解できた。でも同時に、きちんと説明してくれたらよかったのに、と京一を責める気持ちが出てきた。
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