ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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7 お化け屋敷と空中ブランコ

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 サワッと、なにかが触れた。その正体は不明だが、確実に感触があった。久遠は、自分の頬をさわりながら、体を震わせた。
「なんだ?」
 顔をしかめながら、京一が言った。
 そしてふたたび、久遠の顔に、謎のものが触れた。
「ひえっ! まただ!」
 その途端、久遠は、京一の腕にしがみついた。
「おい久遠、離れろよ。うっとうしい」
 京一は、あからさまに迷惑そうにしている。
「だって、なにかがいるんですよ! 僕の顔を触るんです!」
 久遠は必死で、京一に訴えた。
 なんのことだかいまだにわからない京一は、
「はあ?」と言い、手探りで、周辺になにかがないか確かめた。
「あ、もしかして、これのことじゃないのか?」
 なにかを見つけたのか、京一が言った。
 そしてスマホをとり出し、ライトをつけた京一は、自身が手に持っている物を光で照らしながら、久遠に見せた。
「て……手ぬぐい……?」
 そう、京一が手にしていた物は、やぶれて古くなっている、ただの手ぬぐいだった。どうやらこの手ぬぐいは、人をおどかすために、天井から糸で吊るされている物のようだった。
 それがわかった久遠は、安心して京一の腕から離れた。
「あはは、なんだ、全然たいしたことではなかったですね」
 誤魔化しながら久遠が言った。
「いや、僕、けっしてこわがっていたわけではないんですよ? ただ、急に顔を触られて、びっくりしただけなんです。だから本当に全然、こわがっていたわけではないですから」
 続けて久遠は、必死で弁解した。
「へえ?」
 どうだか、とでもいうような目で、京一が久遠を見た。
「こわがっていたわけじゃない、ね」
「そうです、そうです」
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