ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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7 お化け屋敷と空中ブランコ

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——南側——  
 その頃、乙葉たちは、空中ブランコで遊んでいる最中だった。
「もう最高! すごく楽しい!」
 乙葉が叫んだ。
「ふー! 風が気持ちいい!」
 続けて、ルーカスも声を上げた。
 ひんやりとした風が、体に当たり、髪が後ろにふわふわとなびく。まるで空を飛んでいるようなこの感覚に、乙葉は酔いしれた。
 この空中ブランコは、すでに前から、鍵の捜索を終えている場所だった。そのため、乙葉たちは遊んでいる間、鍵探しのことをいっさい忘れて、思う存分に楽しんでいた。
 しかし、そんな中、一人だけ退屈そうにしている人の姿があった。
 その人は、操作室の中の台上にひじをつき、窓から、乙葉たちが楽しんでいる姿を、大きなあくびをしながら眺めていた。
「空中ブランコまできたのはいいけど、なんで私が操作役なのよ」
 柚子がぽつりと、小言を呟いた。
 そう、その人の正体は、柚子だ。
 柚子は空中ブランコを操作するために、一人で操作室の中にいた。従業員が、一人も存在しないこの遊園地では、乗り物に乗る時、乙葉たちの誰か一人が、その乗り物によって、運転士役を務めなければならない場合がある。
 乙葉たちは公平にジャンケンをして、その役を決めたのだけど、運悪く、柚子が運転士役に選ばれてしまったのだ。
 柚子の気分転換のために、わざわざ空中ブランコまできたのに、その本人が運転士役になるなんて、気の毒なことだと乙葉は思った。
 それからしばらく経って、柚子の操作により、ブランコは徐々に下におりると同時に、速度が落ちていった。
「ちぇー、もう終わりかー」
 残念そうにルーカスが言った。
「すぐ終わってしまったわね」
 乙葉が言った。
 そして、ゆっくりと動いていた空中ブランコは、完全に止まった。通常の遊園地なら、ここで終了のアナウンスがあるはずだが、操作室には柚子しかいないため、なんの音もなく終わった。
 そこで、ふと操作室の方を見ると、いつの間にか柚子が、外に出ていて、乙葉とルーカスの元に近寄ってきた。
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