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7 お化け屋敷と空中ブランコ
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——北側——
「こっちの方には、なにがあるんです?」
北に向かって、ひたすら歩きながら、京一に向かって久遠が聞いた。
「午前中にもいった観覧車とか、食堂とか、あとは、お化け屋敷があるな」
久遠より前を歩いている京一が、考えながらそう言った。
「お、お化け屋敷?」
顔をしかめながら、久遠が言った。
「苦手なのか?」
京一が聞いた。
「い、いや。別にそういうわけでは」
本当は、お化け屋敷なんて大の苦手だけれど、ここで認めてしまうと、なんだか京一に、負けてしまうような気がして、久遠はとっさに強がった。
「そうか。俺は一度だけ、あの場所にいったことがあるんだ」
こともなげに、京一が言った。
「でも、久遠がお化け屋敷にいけるのなら、もう一度いって、探してみるのも悪くないな。もしかしたら、見落としている部分もあるかもしれないし」
「ええっ? そんな、とんっ——」
とんでもない、と途中まで言葉が出かかっていたけれど、久遠は、すぐに思いなおして、口をとじた。
「とん?」
京一がなんのことだと言わんばかりに、久遠をけげんそうに見つめた。
「いや、とんでもなく楽しそうだなー、と思いまして……」
久遠はこわがっていることを、京一に見透かされないように、無理やり言葉を作った。
「なんか、意外だな。お前、そんなにお化け屋敷が好きなようには、見えないのに」
おどろきながら京一が言った。
「でも、そんなに好きなら、きっとあそこは久遠にとって、期待を裏切らない場所になると思うぞ。なにせあそこは、そこらにある普通のお化け屋敷よりも、スリル満点のお化け屋敷だったからな」
「こっちの方には、なにがあるんです?」
北に向かって、ひたすら歩きながら、京一に向かって久遠が聞いた。
「午前中にもいった観覧車とか、食堂とか、あとは、お化け屋敷があるな」
久遠より前を歩いている京一が、考えながらそう言った。
「お、お化け屋敷?」
顔をしかめながら、久遠が言った。
「苦手なのか?」
京一が聞いた。
「い、いや。別にそういうわけでは」
本当は、お化け屋敷なんて大の苦手だけれど、ここで認めてしまうと、なんだか京一に、負けてしまうような気がして、久遠はとっさに強がった。
「そうか。俺は一度だけ、あの場所にいったことがあるんだ」
こともなげに、京一が言った。
「でも、久遠がお化け屋敷にいけるのなら、もう一度いって、探してみるのも悪くないな。もしかしたら、見落としている部分もあるかもしれないし」
「ええっ? そんな、とんっ——」
とんでもない、と途中まで言葉が出かかっていたけれど、久遠は、すぐに思いなおして、口をとじた。
「とん?」
京一がなんのことだと言わんばかりに、久遠をけげんそうに見つめた。
「いや、とんでもなく楽しそうだなー、と思いまして……」
久遠はこわがっていることを、京一に見透かされないように、無理やり言葉を作った。
「なんか、意外だな。お前、そんなにお化け屋敷が好きなようには、見えないのに」
おどろきながら京一が言った。
「でも、そんなに好きなら、きっとあそこは久遠にとって、期待を裏切らない場所になると思うぞ。なにせあそこは、そこらにある普通のお化け屋敷よりも、スリル満点のお化け屋敷だったからな」
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