ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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6 久遠類の恋心

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 いま、となりにいる乙葉を見て、あらためて思う。乙葉が無事でよかった。
 スマホであのニュースを見てからというもの、乙葉が生きているのかどうか危ぶまれたり、警察に行く手をはばまれたり、一時はどうなることかと思った。
 しかし、こうしていま遊園地にきて、乙葉に会えて、久遠は、幸せな気持ちで満たされていた。それは、乙葉のいない学校よりも、乙葉のいる遊園地の方が、何倍も楽しいからだ。それが、食料はかぎられていて、危険なバーサークという敵がいて、遊園地に閉じ込められてしまっても、だ。
 でも、さすがに何日も、この幸せな気持ちを保たせる余裕はない。できるだけはやく、ここから出る必要があることを、久遠はもちろんわかっていた。
 だからなんとしてでも、鍵を探さなければならない。
 しかし、真夏の暑い日差しの中、鍵を探すことは、なかなか過酷だった。立っているだけで、意識が、朦朧もうろうとするほどの暑さだからだ。
 この困難な状況を前にして、久遠はさすがにまいっていた。
「外で鍵を探すのは、もうやめよう。日差しが強くなってきた。でも屋内なら、窓や扉を開ければ、なんとかなる。だから、これから二手にわかれて、屋内で鍵探しをしよう」
 近くにいた京一が、全員にそう提案をした。
「じゃあ、今度こそ私は京……」
「柚子、一緒に探しましょうよ」
 乙葉が、柚子の言葉をさえぎって言った。
「ええ?」
 まさか乙葉に誘われると思ってもいなかったのか、柚子がいやそうな顔をしながら、素っ頓狂な声を出した。
「じゃあ僕は、乙葉と柚子についてく!」
 ルーカスが元気よくそう言った。
「てことは、あまったのは、俺と久遠だな——わかった。じゃあ、俺らは北側を探すから、そっちは南側な。わかっているとは思うけど、くれぐれも無理はしないように。それじゃ、夕方までには、それぞれ小屋に戻っていよう」
 京一が言った。
 全員が賛同すると、二手にわかれて、鍵探しを開始した。
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