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6 久遠類の恋心
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(今日も学校だ)
乙葉がいるから毎日楽しくなりはじめていた学校も、乙葉がいなければ、もう楽しくもなんともない。また乙葉がいなかった日常に、戻るだけだ。
行方不明と、乙葉の妹は言っていたけれど、いまごろ、乙葉はどこで、なにをしているのだろう。連絡をしても、なにも返ってこないのだから、知りようがない。
でも、とにかく無事であってほしいと、そう願った。
久遠は行方不明になった乙葉のことを思うたびに、心配でたまらない気持ちになるのだった。
それから、ふと猫のいる場所を見ると、もうすでに、餌を食べ終えたのか、毛繕いをはじめていた。こっちにくる素振りは、ちらりとも見せない。
そのあと、また乙葉のことを考えつつ、サンドイッチと飲むヨーグルトを、交互に口に運んで、ぼんやりとテレビを見た。いまは、ニュースのあとの、CMが流れている。
(倉本さん……会いたいな……)
するとCMが終わると同時に、突然、乙葉の顔が、テレビに大きく映し出された。
「……えっ⁉︎」
考えていたら、テレビに映った……!
久遠は目を見開いておどろき、どうして乙葉がテレビに映っているのか、わけがわからないまま、テレビに釘づけになった。
そして、どうにか落ち着きをとり戻し、テレビから出てくる音に、耳を傾けることにした。
「行方不明になっているのは、東京都に住む、高校二年生の倉本乙葉さんです。倉本さんは二日前の朝、散歩に行くと言って、一人で家を出て行き、行方不明となりました。警察は倉本さんの家族から——」
そうか、行方不明の報道だったのか。どうりで、テレビに映し出されたわけだ。
納得しつつも、こうしてはいられないと、焦燥感にかられ、久遠は飲みかけの飲むヨーグルトと、食べかけのサンドイッチを、猫に食べられないように、急いで冷蔵庫にしまい、学校へ行く準備をしに、部屋にもどった。
大急ぎで着替えたあと、部屋から出て、洗顔と歯磨きを手短にすませ、鞄を持って玄関まで走った。そして不思議そうに自分を見ている、リビングから玄関までついてきた猫たちに向かって、
「行ってきます」と、一言だけ言って、家を出た。
乙葉がいるから毎日楽しくなりはじめていた学校も、乙葉がいなければ、もう楽しくもなんともない。また乙葉がいなかった日常に、戻るだけだ。
行方不明と、乙葉の妹は言っていたけれど、いまごろ、乙葉はどこで、なにをしているのだろう。連絡をしても、なにも返ってこないのだから、知りようがない。
でも、とにかく無事であってほしいと、そう願った。
久遠は行方不明になった乙葉のことを思うたびに、心配でたまらない気持ちになるのだった。
それから、ふと猫のいる場所を見ると、もうすでに、餌を食べ終えたのか、毛繕いをはじめていた。こっちにくる素振りは、ちらりとも見せない。
そのあと、また乙葉のことを考えつつ、サンドイッチと飲むヨーグルトを、交互に口に運んで、ぼんやりとテレビを見た。いまは、ニュースのあとの、CMが流れている。
(倉本さん……会いたいな……)
するとCMが終わると同時に、突然、乙葉の顔が、テレビに大きく映し出された。
「……えっ⁉︎」
考えていたら、テレビに映った……!
久遠は目を見開いておどろき、どうして乙葉がテレビに映っているのか、わけがわからないまま、テレビに釘づけになった。
そして、どうにか落ち着きをとり戻し、テレビから出てくる音に、耳を傾けることにした。
「行方不明になっているのは、東京都に住む、高校二年生の倉本乙葉さんです。倉本さんは二日前の朝、散歩に行くと言って、一人で家を出て行き、行方不明となりました。警察は倉本さんの家族から——」
そうか、行方不明の報道だったのか。どうりで、テレビに映し出されたわけだ。
納得しつつも、こうしてはいられないと、焦燥感にかられ、久遠は飲みかけの飲むヨーグルトと、食べかけのサンドイッチを、猫に食べられないように、急いで冷蔵庫にしまい、学校へ行く準備をしに、部屋にもどった。
大急ぎで着替えたあと、部屋から出て、洗顔と歯磨きを手短にすませ、鞄を持って玄関まで走った。そして不思議そうに自分を見ている、リビングから玄関までついてきた猫たちに向かって、
「行ってきます」と、一言だけ言って、家を出た。
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