ルーカスと呪われた遊園地（上）

６ 久遠類の恋心

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　それにしても、乙葉は体調不良ということらしいが、本当の理由は、そうではない気がする。それは、あのいつも元気で人気者の乙葉が、急に体調不良で休むというのが、どうしても心に引っかかるからだ。
　久遠はそうして、裏を勘ぐった。
　その調子で、ホームルーム中もずっと、乙葉の休んだ理由について考え、ついに久遠は、あることを決心した。
　それは乙葉の家に、今日あった授業の内容を、別のノートにまとめて、届けに行こうということだった。
　そうすればきっと、なにかわかるかもしれない。
　決心してから久遠は、ホームルームが終わったあとに、早速、図書室に行き、ノートの作成に取りかかった。
　やがて、夢中になって作成していたからか、気づけばもう、窓の外は暗くなりはじめていた。
　久遠は急いで帰る準備をし、作成し終わったノートをカバンに入れると、学校から出て、乙葉の家へと向かった。
　しばらくして到着すると、久遠は門のチャイムを押した。
　しかし、誰も出ない。留守なのだろうか。
　いまの時間は、それなりに遅い時間で、家に誰か一人いても、おかしくはないはずなのだが。
　でも、せっかくノートを作ったんだ。このまま帰ってしまったら、作った意味がなくなってしまう。そう思った久遠は、家族の誰かが帰ってくるまで、待つことにした。
　家の前で、キョロキョロと視線をやりながら、周りをいったりきたりし、ひたすら誰かがくるのを待った。
　すると、一人の女の子がやってきた。セーラー服を着ているから、多分、中学生だろう。
　見ていると、女の子の方から、声をかけてきた。
　久遠はまさか話しかけられるとは思わず、戸惑いながら返事をした。
　それから話を続けると、女の子は、乙葉の妹だということが判明した。それがわかってから、久遠は作成したばかりのノートを、妹に手渡した。
　妹は乙葉に似て可愛くて、活発で明るそうな見た目だ。もしかしたら、乙葉の家族は、皆そうなのかもしれない。
　そのあと、久遠はそれとなく、妹に、乙葉の具合はどうかと聞いた。本来の目的であった休んだ理由について、遠回しに探るためだ。