ルーカスと呪われた遊園地（上）

６ 久遠類の恋心

１２

　心のもやもやをどうにかするために、久遠は乙葉に、直接聞くことを決心した。
　やがて、友達二人と乙葉が、各々おのおのの机に戻ったことを確認すると、久遠はいち早く、自分の席に座った。
　すぐに話しかけようと口を開くと、運悪く別のクラスの男子が二人、すばやく乙葉に近寄ってきた。そのせいで、久遠は乙葉に話しかけるタイミングを、失ってしまった。
（ああ、もう）
　仕方なく、三人の話が終わるまで、大人しく待つことにした。
　はやく終わってくれ、と久遠は願ったが、皮肉なことに話は長い間続き、久遠の入る隙はなかった。
　いつ終わるのか首を長くしながら待っていると、ようやく話が終わりそうになった。
「あ、じゃあ俺たち、そろそろ行くわ！　またな、乙葉」
「ええ、また」
　やっと終わった、と思い、乙葉に声をかけようとすると、今度は別のクラスの女子が二人、乙葉に近寄ってきた。
　久遠はとうとう意気消沈した。
　前々から、乙葉はこのように、男女問わずよく話しかけられてはいるのだが、今日はとくに多い。久遠はそんな乙葉のことを、さすが人気者だと思いながら、尊敬のまなざしで見た。
　それから時間は刻々と過ぎた。
　はやく真相が知りたいのに、もうすぐ昼休みが終わってしまう。久遠は時計を見ながら、いまかいまかと話が終わるのを待った。
「だよねー、わかる。あ、そろそろ昼休み終わるし、また来るね」
「わかったわ、またね」
　それで女子二人はいなくなり、乙葉一人だけになった。
（長かった……でも、これでようやく聞ける）
　そして、もう誰も来ないことを確認し、頃合いを見はからうと、
「倉本さん」と、久遠は呼んだ。
「あら、久遠くん。どうしたの？」
　久遠を見て、乙葉が尋ねた。
「実は僕、廊下で、みなさんの話を偶然聞いてしまったんですけど……」
　久遠は途中で緊張し、息が詰まって、本題を聞くのに少し間があいた。しかし、なんとか持ちこたえ、平静をよそおった。