ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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6 久遠類の恋心

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「やっぱり二人、あやしい」
 結衣が言った。
「そうそう。だって、家にこいだなんて言ってたし」
 すかさず莉子が同調した。
 そのあと二人は、
「ねー」と、同時に言いながら、顔を見合わせた。
「だからちがうって言ってるでしょー!」
 乙葉は声を張り上げた。
 しかし二人はどちらも、乙葉と京一の関係を疑っているようだった。
「じゃあさ、好きな人のタイプってどんなの? 私はね、頭がよくて、格好よくて、スポーツができて、優しい人かな」
 指を一本ずつ曲げて数え上げながら、結衣が言った。
「ちょっと結衣、いくらなんでも、欲張りすぎじゃない?」
 呆れたように莉子が言った。
「なによー。じゃあ、莉子はどうなの?」
 結衣は不満そうに言った。
「私はねー、顔はそんなに気にしないんだけど、とにかくまじめで誠実な人かな」
 悩むように、莉子が言った。
「それ、いいわね」
 乙葉が莉子に向かって言った。
「でしょ?」
 莉子は得意げだ。
「で、乙葉はどんな人がタイプ?」
 結衣と莉子は、真剣なまなざしで、乙葉に注目した。
「私は……強い人、かしら」
 言いづらそうに乙葉が言った。
 それを少し離れた場所で聞いていた久遠は、耳をぴくつかせた。
「強い人?」
 乙葉の答えを意外だと思ったのか、結衣が聞きかえした。
「そう。まあ滅多にないとは思うんだけど、例えばね、道端で刃物を持った不審者が、急におそいかかってきたとするでしょ? そしたら、その強い人が私を守るために、不審者とたたかうの。結果的に、不審者はあっという間に強い人に倒されて、私は無事に助けられる。ね? そうなったら格好いいでしょ? だから私、そういう人がいいの」
 まるで夢を見るような目をしながら、手を組んで乙葉が言った。
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