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6 久遠類の恋心
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さかのぼること二ヶ月前——。
「あー、まただわ。英語のテスト、どうしてこんなに低いのかしら」
乙葉は返ってきたばかりの、英語のテスト用紙を見て、うなだれていた。
「乙葉って、英語苦手だもんねー」
乙葉の机のまわりに群がる、友達の一人、結衣が、同情するように、乙葉の右肩に手を置いた。
「そうそう、ほかのテストは、まあまあ点数とれてるのにね」
また別の友達、莉子も同情するように、乙葉の左肩に手を置いた。
「そうなのよねー。あーあ、私が帰国子女だったらなー」
そう言いながら、ふと、となりの席に座っている、久遠の方を見た乙葉は、机上に置かれているテスト用紙を目にした。そして偶然にも、右上に書かれている点数を、久遠の指の隙間から、ちらりと見た。
「えっ、久遠くん、百点⁉︎」
言われた久遠は目を丸くして、おどろきながら乙葉の顔を見た。
そして乙葉の一言で、まわりにいた結衣と莉子は、久遠の点数に興味津々そうに、声を上げはじめた。
「久遠、すごいねー」
「満点じゃん」
口々に褒められ、久遠の顔は、みるみる赤くなっていった。
「英語、得意なのね!」
親しげに乙葉が言った。
「い、いえ、別に得意というほどでは……」
そう言うと、久遠は恥ずかしく思いながら、うつむいた。
「私なんて、全然なのよ。だから久遠くんがうらやましいわ」
微笑した乙葉が言った。
すると突如、
「あ、私ちょっと、お手洗いにいってくる」と、結衣があわただしくそう言った。
「じゃあ私もいく。乙葉はどうする?」
莉子に聞かれ、乙葉は一瞬、迷っているようなそぶりをすると、
「私はいいわ。二人でいってきて」と言った。
それから二人は、教室から足早にいなくなった。
久遠はこの時、乙葉と二人きりになってしまったことに、少々気まずさを感じていた。
(なにか、僕から話しかけた方がいいのだろうか……)
「あー、まただわ。英語のテスト、どうしてこんなに低いのかしら」
乙葉は返ってきたばかりの、英語のテスト用紙を見て、うなだれていた。
「乙葉って、英語苦手だもんねー」
乙葉の机のまわりに群がる、友達の一人、結衣が、同情するように、乙葉の右肩に手を置いた。
「そうそう、ほかのテストは、まあまあ点数とれてるのにね」
また別の友達、莉子も同情するように、乙葉の左肩に手を置いた。
「そうなのよねー。あーあ、私が帰国子女だったらなー」
そう言いながら、ふと、となりの席に座っている、久遠の方を見た乙葉は、机上に置かれているテスト用紙を目にした。そして偶然にも、右上に書かれている点数を、久遠の指の隙間から、ちらりと見た。
「えっ、久遠くん、百点⁉︎」
言われた久遠は目を丸くして、おどろきながら乙葉の顔を見た。
そして乙葉の一言で、まわりにいた結衣と莉子は、久遠の点数に興味津々そうに、声を上げはじめた。
「久遠、すごいねー」
「満点じゃん」
口々に褒められ、久遠の顔は、みるみる赤くなっていった。
「英語、得意なのね!」
親しげに乙葉が言った。
「い、いえ、別に得意というほどでは……」
そう言うと、久遠は恥ずかしく思いながら、うつむいた。
「私なんて、全然なのよ。だから久遠くんがうらやましいわ」
微笑した乙葉が言った。
すると突如、
「あ、私ちょっと、お手洗いにいってくる」と、結衣があわただしくそう言った。
「じゃあ私もいく。乙葉はどうする?」
莉子に聞かれ、乙葉は一瞬、迷っているようなそぶりをすると、
「私はいいわ。二人でいってきて」と言った。
それから二人は、教室から足早にいなくなった。
久遠はこの時、乙葉と二人きりになってしまったことに、少々気まずさを感じていた。
(なにか、僕から話しかけた方がいいのだろうか……)
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