ルーカスと呪われた遊園地（上）

５ ドキドキ観覧車

５８

　小走りしながら久遠が言った。
「久遠くん！　具合はもういいの？」
　乙葉が尋ねた。
「はい、おかげさまで。休んだら、すっかり元気になりました」
　久遠は笑顔で言った。
「よかった」
　安心しながら乙葉が言った。
「それで、鍵はどうでした？」
　思い出したように、久遠が言った。
「鍵はダミーだったよ」
　京一が答えた。
「そうですか……」
　わかりやすく久遠は落ち込んだ。
「まあ、また探せばいいわよ。まだ二人がきて、一日目だもの」
　乙葉が励ました。
「そう、そうよ。お姉ちゃんのいうとおり。また手分けして、さがしましょう！」
　続いて柚子も、励ますように言った。
「たしかに。それもそうですね」
　二人の言葉で、久遠も前向きになったようだった。
「だな。でも、うだうだしている暇はないぞ」
　釘を刺すように、京一が言った。
　乙葉は、京一による圧力を感じながらも、次こそは鍵を見つけるぞ、と躍起やっきになった。
　今回もまた、本物の鍵ではなかったけれど、見つけるまではなにがあっても、絶対に諦めるわけにはいかない。
　全員で、この遊園地から抜け出してみせる。