ルーカスと呪われた遊園地(上)

大森かおり

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5 ドキドキ観覧車

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「わあ、すごい」
 窓の外を見た乙葉が、思わず目を輝かせながら声を上げた。
「私、なんだかワクワクしちゃうわ」
「観覧車くらいで、なにをそんなに興奮しているのか、俺にはわけがわからん」
 京一はクールにそう言い放った。
「なによ、京一。そんなこと言ってるけど、本当は京一だって、観覧車に乗れてうれしいんでしょ? かっこつけてないで、素直に楽しめばいいじゃない」
 乙葉がいうと、京一はムスッとした様子で、すっかり黙り込んでしまった。
「まったく。いつも通り、都合が悪くなったら、すぐこれよ」
 この時、乙葉と京一は、せまいゴンドラの中で、向かい合わせになりながら座っていた。まさか京一とペアで乗ることになるなんて、乙葉は思ってもみなかった。乙葉はそのことを、少しだけ、意識していたのだけれど、京一の方は、そういったことを気にしている感じはまったくなく、窓の外をながめて、ただ真剣に、建物の位置などを把握はあくしているように見えた。こういうところは、本当に京一らしい、と思いながら、乙葉は京一を、しばらくじっと見つめた。
「なんだよ、俺の顔になにかついてるのか?」
 京一の窓の外に向けられていた視線は、いつの間にか乙葉に向いていた。
 乙葉は動揺し、
「別に、なんでもないわ」と、素っ気なく言った。
「あ、そう」
 そう言うと、再び、京一は窓の外に目をやった。
 自分だけが意識しているのが、なんだかばからしくなり、乙葉も窓の外に目をやって、園内を見ることにした。
 二人を乗せたこのゴンドラは、もうずいぶん高いところまできているようだった。
「まあ、見て、京一。私たち、とっても高いところまで、きてしまったみたいよ」
 笑顔になりながら、感情を高ぶらせている乙葉が言った。
 窓の外をよく見ると、小屋、メリーゴーランド、ミラーハウス、噴水の広場など、これまで見てきた乗り物や建物、まだいったことのない城などが一望できた。
 それを見た乙葉は、本当に、なんて素晴らしい眺めなんだろう、と思った。
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