ルーカスと呪われた遊園地（上）

５ ドキドキ観覧車

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　それを聞いたルーカスは、急にあせった様子になり、
「待って、待って、僕を置いていかないで！」と言って、空からいきおいよく下降した。
　そしてルーカスが、皆の元へ戻ってくると、
「さすがに全員で乗るとせまいだろうから、二組のペアにわかれて乗ろう」と言った。
　すると、柚子の体が突然、ピクッと動いた。
「えっと、じゃあ、私は頼りになる京一くんと——」
　柚子が恥じらいながら、途中までそう話していたのだが、いきなりルーカスが、柚子の前に出てきて、
「僕、柚子と久遠と一緒に乗りたいなー。だって僕、まだ二人のこと、あんまり知らないんだもん」と、話をさえぎった。
　京一はそれを聞くと、
「そういうことなら、柚子と久遠とルーカスのペア。俺と乙葉のペアで、ゴンドラに乗って、園内を調査しよう」と言った。
「ええっ」
　柚子が声を上げた。
「どうした？　なにか不満でもあるのか？」
　京一がいぶかりながら言った。
「ううん、なにも」
　柚子はすぐに首を横に振った。
「そうか」
　京一が言った。
　しかし本当は、京一と一緒に乗りたかったのか、柚子はショックを隠せないでいるようだった。
　なぜかとなりにいた久遠まで、失望した顔になっている。
　もしかしたら久遠は、さきほどルーカスに眼鏡をとられたことが、よほどトラウマになっているのかもしれない、と乙葉は思った。
　しかし京一は、そんな皆の心情を察しようともせずに、たんたんと、
「じゃあ皆、はやく乗りにいこう」と言った。
　そして全員は、観覧車の乗り場にいき、各々がゴンドラの中に入っていった。
　すると乙葉たちを乗せたゴンドラは、ゆっくりと景色を変えて、上へ上へとあがっていく。