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5 ドキドキ観覧車

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 二人の前で言ってほしくないことを、京一にズケズケと言われ、乙葉はあたふたした。
「別にいいだろ?」
 こともなげに京一が言った。
「よくない」
 乙葉はきっぱりとそう言った。
 そんな二人のやりとりを、柚子と久遠は、しばし呆然としながら眺めていた。
「でも、お二人はこの仕切りをへだてた、おなじ屋根の下で、数日ともに寝ていらしたということですよね?」
 久遠がそう言った途端、柚子の顔がこわばった。
「そうだけど、なんでそんなことあえていうの?」
 少々いらだった声で乙葉が言った。
「あ、いや、気にさわるようなことを言ってしまったならすみません。ただ、おなじ空間にいるのに、仕切りの意味はあるのだろうかと思いまして」
 乙葉が少しばかり怒っている雰囲気を察し、久遠はすぐに理由を説明した。
「意味大ありよ! これがあるのとないのとでは、全然ちがうの!」
 力説するように乙葉が言った。
「たとえ仕切りがあったとしても、男女がこんなところで二人で寝るなんて、ハレンチよ」
 吐き捨てるように柚子が言った。
「あのねえ、柚子。この園内では、安全に眠れるところはここだけなの。それに、ルーカスもいるから、別に二人きりっていうわけじゃないし。だから安心して。二人が想像しているようなことは、ひとっつもしてないから!」
 乙葉は必死になって、二人に説明した。
 それにもかかわらず、柚子と久遠はいまだ不満そうにしていた。もう付き合っていられないと思った乙葉は、気にしないことに徹底した。
「ところで二人とも、なんでここにいるんだ?」
 いまさらのように京一が言った。
「ああ、それはですね——」
 久遠は、自分たちがきたばかりで、まだなにも知らない京一に、ここにきた経緯けいいなどを話しはじめた。
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